2024/07/25 (木) 10:45
夜の王者を決めるG2「サマーナイトフェスティバル」が15日まで、松戸競輪場で開催され、眞杉匠が巧い立ち回りから最終2コーナーで捲り、G2初制覇を成し遂げた。昨年末から今年前半はケガに悩まされ、結果が出ていなかっただけに、喜びも半端ないだろう。1570万円を加算した眞杉は、賞金ランクでも10位に浮上し、「KEIRINグランプリ2024」が射程圏に入ってきた。
眞杉の強さをどう表現するか、いつも悩まされる。高松宮記念杯競輪を勝った北井佑季ならば「先行」。古性優作なら「総合力」。脇本雄太なら「絶対的なスピード」と出てくるが、眞杉はパッと頭に浮かばないのだ。眞杉のストロングポイントとは? やっとひねり出したのが「柔軟性」だ。力強さは脇本などに比べたら落ちると思うが、それをカバーできる柔軟性が眞杉にはあるように思える。
決勝は脇本雄太・古性優作対北井佑季・郡司浩平・松谷秀幸の神奈川勢に注目が集まった。1番車は北井。大方の予想は北井が前を取って突っ張り先行。だが前を取ったのは古性だった。脇本が前に入り、こうなると脇本が意地を張るのは目に見えている。北井が上昇しても脇本が突っ張り、両者のもがき合いに場内は沸いた。
そして、やはりここで古性である。郡司を弾き、北井の裸先行にしたのだ。と、なれば脇本が絶好の2番手をキープ。郡司が追い上げるが、今度は最終ホームから脇本が北井を叩く。脇本にしてみれば、北井をつぶしておく、北井には負けないというプライドがあったのだろう。これだけもつれれば、近畿の後ろにサラ脚でついていた眞杉には、何の障害もない。勝った眞杉は別にして、脇本と古性のプライドを改めて見せつけられた決勝でもあった。
今回が最後になる「ガールズケイリンフェスティバル」も併せて行われ、尾方真生が堂々の逃げ切りでビッグ初優勝を飾った。尾方は小林優香、児玉碧衣と同門。その先輩2人を破っての優勝だけに価値がある。残念だったのは児玉だろう。3日間、強い児玉のレースが見られなかった。児玉に求められているのは、常に勝つこと。そのプレッシャーは計り知れないが、そこを乗り越えてこその女王だろう。2着の小林は復調気配が伺えた。11月のG1「競輪祭女子王座決定戦」では軽視できない存在になる。そしてもう1人、一番悔しかったのが當銘直美だろう。尾方の後ろを回り、直線では2番手。千載一遇のチャンスを逃したのだから、悔しさが分かる。ここでしっかり尾方を差せるようになれば、さらに上のステージでも楽しみなのだが。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター