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『森泉宏一の実況天国』Vol.121【激闘のオートレース2025年前半戦を振り返る!】

2025/06/30 (月) 18:00

早くも2025年の折り返し地点を迎えたオートレース界。
レースの激闘はもちろんのこと、施設改修・リニューアルオープンといったハード面においても明るいニュースがあった2025年シーズン。
ちょうど半年を迎えるということで、ここでひとつ前半戦を振り返る機会を設けることにしました。
1月から順を追って紹介していきます。

【1月】

正月開催は3場。浜松は栗原佳祐選手(浜松36期)が、伊藤信夫選手(浜松24期)を抑え、2025年のオートレース界最初の優勝者に。
翌日は川口で黒川京介選手(川口33期)が優勝。6月29日時点で、すでに今年の優勝回数が10回(うちG2優勝が4回)と、早くも年間優勝回数の話題に興味が尽きない黒川選手。その始まりは地元・川口の正月開催でした。
そして山陽ミッドナイトは、岡部聡選手(山陽19期)が、雨巧者ぶりを発揮しての優勝から始まりました。
今年最初の記念開催は、伊勢崎のG1シルクカップから。優勝戦は10mオープンで、4枠の三浦康平選手(伊勢崎28期)がトップスタートから逃げますが、青山周平選手(伊勢崎31期)が中盤で捉えて優勝。大会5連覇で、今年最初の記念覇者となりました。

G1シルクカップを制した青山周平

後半は浜松のG2戦。こちらも地元選手の優勝。金子大輔選(浜松29期)が早めに鈴木宏和選手(浜松32期)をかわして、そのまま押し切り。
上記ふたつの記念優勝戦で、唯一どちらの優勝戦にも顔を出していたのは、佐藤摩弥選手(川口31期)。翌月のSG全日本選抜でも優勝戦進出を果たし、年明けからいきなり記念3連続優出を記録。その後は準決勝戦で姿を消すことが多いものの、立て直しが期待されます。

【2月】

今年最初のSGは、2月に浜松で開催された第38回全日本選抜オートレース。 優勝戦は「地元の意地」とばかりに、3枠の鈴木宏和選手が渾身のトップスタートを切りますが、そこを青山周平選手がマークする形で序盤戦が進みます。そして、鈴木選手を早めにかわした青山選手が、金子大輔選手を含めた後続勢を完封。見事、今年最初のビッグタイトル獲得、そしてSGダブルングランドスラム達成となりました。

青山周平がSGダブルグランドスラムを達成

この優勝戦で3着となった金子選手は、この後に行われた山陽G1スピード王決定戦を制覇。早々と4番手を奪い、10mオープンの8枠という厳しいシチュエーションも克服。自身6度目のG1タイトルを獲得となりました。当時は表彰式でのコメントも話題に?

【3月】

上旬に開催されたのが、川口G1開設記念グランプリレース。 初日には、黒川京介選手が、自身初となる10連勝を達成。湿走路の中、早めに2番手に上がると、逃げる根本将人選手(飯塚28期)をレース中盤で捉え、最後は後続を引き離しゴールイン。地元走路での史上15人目の快挙達成となりました。
初日から大記録が生まれた開催。優勝戦は大波乱の結末に。
準決勝戦で3連単34万超えの高配当を提供した高橋義弘選手(川口29期)が、優勝戦でもスタンドを沸かせました。スタート先制攻撃からの逃げ展開。道中で落車もある中、そのまま8周回を押し切り、自身6年ぶり4回目のG1制覇。この4回のうち、実に3回がこの川口G1開設記念と、まさに大会キラーぶりを発揮しました。

高橋義弘が地元で6年ぶりのG1制覇

準決勝戦と同様に、優勝戦も3連単29万円台と高配当決着を演出した高橋選手。 思えばこの開催は、初日から3連単135万円台が飛び出す幕開け。高額配当で始まり、高額配当で締めくくるシリーズとなりました。

この開催後には、選手表彰式が行われ、鈴木圭一郎選手(浜松32期)が2年ぶり5回目のMVPを獲得。
圭一郎選手といえば、例年に比べ今年は優勝回数のペースが鈍化しているのが気になるところ(6月現在、優出13回で優勝2回。いずれもG1優勝)。
昨年の前半戦は着外がわずか3回(5月〜7月は3着1回のみで、あとはオール2連対)でしたが、今年はすでに10回の着外と、例年に比べ波に乗り切れていない印象。
しかし、このまま終わる男ではない、ということは読者の皆様もご存知の通り。むしろ後半戦をどう巻き返してくるのか、楽しみで仕方がないというところでしょうか。

話を戻して、3月には特別G1プレミアムカップが開催され、ここは青山周平選手が1枠から押し切りで優勝。節目となる30回目のG1優勝を完全優勝で飾りました。そして自身の持つG1最多優勝回数を更新。今年も変わることなく、青山選手の強さを見せつけられた年度末となりました。

その後、開催された山陽G2ミッドナイトチャンピオンカップは、黒川京介選手が優勝。山陽キラーぶりを発揮しました。

【4月】

山陽G1令和グランドチャンピオンカップの優勝戦は、鈴木圭一郎選手が逃げる佐藤摩弥選手を前半のうちに捉え、今年初優勝を完全優勝で飾り、大会連覇。自身20回目のG1タイトル獲得となりました。
この開催は好メンバーが集結も、フライング、落車、反則妨害などが相次ぎ、有力メンバーが次々と戦線離脱。そんな中、明るい話題として、松尾彩選手(山陽34期)が地元山陽から唯一の優出と見せ場を作りました。

月末の川口SGオールスターオートレースでは、佐藤励選手(川口35期)のSG初優勝。序盤から終盤まで黒川京介選手と青山周平選手が競り合う形を後方で見ていた佐藤励選手。ゴール直前で競り合った2人の内側が空き、そこを掬う形で展開を捉えました。今回が自身SG初の優勝戦メンバー入り。しかも、完全優勝で飾るという離れ業を演じました。
さらに! 近年はSGの6日間開催が増えたオートレース界。
佐藤励選手の完全優勝イコール6連勝。これがオートレース界史上初となる「SG初優出で6連勝による完全優勝」ということになりました。
まさに初物尽くしで締めくくった佐藤励選手。年末の大一番までどう仕上げてくるか、今から楽しみですね。

快挙!佐藤励がSG初優出&完全優勝

【5月】

浜松G1ゴールデンレースは、高塚義明選手(川口29期)、佐藤大地選手(浜松34期)、そして花田一輝選手(浜松33期)と、3人がG1初優出。そして斎藤正悟選手(浜松24期)は自身25年ぶりのG1優出。そんな初々しいメンバーが揃う優勝戦は、鈴木圭一郎選手が見事大会3連覇を達成しました。

鈴木圭一郎が大会3連覇を達成

【6月】

月はじめの山陽G2ミッドナイトチャンピオンカップは、3月に同大会を制した黒川京介選手が、またも優勝。前述したように、優勝回数争いのハーラーダービートップを快走。 そして伊勢崎ではG2稲妻賞で、渡辺篤選手(浜松31期)が嬉しい記念初優勝を飾りました! 準決勝戦でも、湿走路の中で動きの良さを見せていた渡辺選手。優勝戦も雨を願うコメントがありましたが、願いが叶ったコンディションの中、食い下がる石本圭耶選手(飯塚34期)を振り切り優勝。31期ながら、今年49歳を迎える渡辺選手が、初のタイトル獲得となりました(「ナベアツが『3』枠で勝った!」と話題にも)。

そして、締めくくりは、浜松で先日終わったばかりのチャリロト杯G2浜松記念曳馬野賞。
競り合った鈴木圭一郎選手、青山周平選手の両者を従えてのトップチェッカーは、黒川京介選手。なんと今年だけで4度目のG2制覇。そして区切りの今年10回目の優勝。今年の前半戦、最も優勝の味を知る男が、それを象徴するような締めくくりとなりました。

チャリロト杯G2で黒川京介が今年4回目のG2優勝

そしてレースではありませんが、明るい話題といえばやはり飯塚オートの新スタンドオープン。
このコラムでも公営競技場の施設関係について幾度も記し、「施設マニア」の一面を持つ?筆者としても、ここに触れないわけにはいきません。
嬉しかったのは、式典で飯塚市長、議員の皆さんから「飯塚市の貴重な観光資源」「レース以外でも憩いの場、遊び場としての役割」と、地域の皆さんから必要とされるような幅広い活用について口にされていたこと。
筆者も工事中のスタンドを何度か現地で見ており、早くこの目で見ることを楽しみにしております。

さて、ここまで2025年前半戦のオートレースを振り返りました。
これから、夏本番。8月にはSGオートレースグランプリも控える中、後半戦はどんなドラマが待っているのか。激闘、好勝負に期待しましょう。

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【オートレース/今後の記念レース日程】

7月9日(水)〜13日(日)
G2小林啓二杯(山陽)

7月17日(木)〜21日(月・祝)
G1キューポラ杯(川口ナイター)

7月30日(水)〜8月3日(日)
G2ウィナーズカップ(浜松)

8月10日(日)〜15日(金)
SG第29回オートレースグランプリ(伊勢崎ナイター)

8月22日(金)〜26日(火)
G1ダイヤモンドレース(飯塚ナイター)

※写真はP-NAVI編集部が撮影
(P-NAVI編集部)

実況天国

森泉宏一

生まれは東京、育ちは広島、富山。学生時代に喋りの仕事を志し、2009年にボートレース実況でアナウンサーデビュー。2017年からはオートレース実況も始める。現在はYouTube配信番組などにも多く出演。パーフェクタナビでは「森泉宏一の実況天国」コラム連載中。プライベートでは2022年に年間100本の万車券的中を達成。試走タイムが出ない選手や逃げが得意の選手を好む傾向にある。公営競技を含めた日々の仕事の様子などを投稿している「森泉宏一のモーリーチャンネル」も更新中。

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