2024/03/28 (木) 12:00
取手競輪場で行われた「第8回ウイナーズカップ(G2)」は、脇本雄太が久々のビッグレースで優勝した。万全の状態で走れることが最近はなかった脇本だが、G2といえども、勝つことがこれ以上ない良薬になったことだろう。
レースを振り返ると、窓場千加頼が脇本と古性優作を連れたフルスロットルで発進。先行実績で上回る北井佑季を一度も前に出させない侠気先行を見せた。脇本も番手の仕事をしっかりこなしていた。
そして、古性である。北井をブロックした結果、さらに捲ってきた清水裕友までも失速。古性の動きがなければ、清水が優勝していたかもしれない。窓場、脇本、古性の近畿3人がそれぞれのやるべきことをした結果が、脇本と古性のワンツーに繋がった。窓場もこういう大きな大会の決勝で、脇本、古性を引き出す競走ができたのだから、今後は周囲の見方も変わってくるだろうし、窓場自身も戦いやすくなっていくであろう。
5着の伊藤颯馬は抜群のスピードで、あわやのシーンを見せてくれた。6着の坂井洋も今後に期待を抱かせる内容だった。やはり競輪は9車だと、改めて実感したものだ。ゴール前の激しい攻防は、7車では味わえない。これこそ競輪の醍醐味だろう。
ガールズケイリンコレクション2024取手ステージは、坂口楓華が逃げた久米詩の後位から番手捲りを放った石井寛子をマークし、直線で余裕の差し切り。見事、ビッグレースを制した。問題なのは、児玉碧衣だ。体調不良で1カ月以上、レースから遠ざかっており、復帰したのは直前の別府。しかしながら、決勝には進んだが6着。予選2走とも2着で1着はなかった。練習不足が響いた感じではあったが、残念でならない。パリ五輪を控え、佐藤水菜がいない今こそ、児玉がガールズを引っ張っていかなければならないのだから、今一度、初心に戻り、ファンを湧かせてほしい。2着の吉川美穂もポテンシャルは高い。もう少し動いてレースを作ることができれば、G1でも可能性はあるだろう。
今回の売り上げは、目標の75億円には届かず74億1965万9100円だった。最近では珍しく目標を下回ったわけだ。理由はいくつかあるだろうが、やはり選考基準だと考える。ウィナーズカップの裏で行われた平塚競輪F1には郡司浩平が参加し、3連勝。もし、郡司がウィナーズに参加していたら、売り上げも変わっていただろう。郡司は今年初戦のG1チャンピオンなのだから、特例を認めて参加させてもよいのではと考える。ここ数年、売り上げが好調だと浮かれてはいるが、もっと柔軟な考えを持ってもいいのではないだろうか。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター