2025/03/06 (木) 09:00
脇本雄太が優勝して終わった今年最初のG1全日本選抜競輪。脇本はこれで史上5人目となるグランドスラムを達成したと同時に、グランプリスラムをも成し遂げた。正直なところ、グランプリスラムという言葉は聞き覚えがなかった。戦前からそういった言葉はメディアで出ていたが、ピンときていなかった。ファンの間でもグランプリスラムという言葉がどこまで浸透していたか疑問でもある。とはいえ、脇本が史上初の偉業を成し遂げたことは、紛れもない事実である。
テニスではグランドスラム達成者が五輪で金メダルを獲得すると、ゴールデンスラムというらしい。もし仮に、脇本が東京五輪で金を獲得していたら、どう呼ばれたのだろうか考えてしまう。まあ、競輪と自転車競技はあくまでも別なので、そこまで関係者も考えてはいなかったのだろう。開催前には腰の状態が思わしくなく、一部では欠場説まで流れていた。それを乗り越えての優勝なのだから、改めて脇本の底力が証明された。寺崎浩平があくまでも自分が優勝を狙った競走をしたからこそ、それが功を奏したのではないだろうか。
決勝は近畿勢が6人進出し3人ずつの別線勝負を選択した。これはプロとして当然の選択であろう。ラインから優勝者を出すという地域もあるだろうが、近畿は昔からガチンコ勝負だった。引退した村上義弘氏の影響なのかもしれないが、ファンにとっては清々しいし、納得できる。ファンだけでなく、選手も納得できるだろう。最高峰のG1決勝で5番手、6番手を回っては勝負権がなくなる。プロとしての在り方を見せてくれた決勝だったのではないだろうか。
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さて、開催前にはショッキングな報道がなされた。北井佑季がドーピング違反となりしばらく欠場するというもの。北井は元Jリーガー。わずか3年でタイトルを奪取し、トップスターに駆け上った。最初に聞いたときは耳を疑った。好きな選手だったので私自身もショックを受けている。
ドーピングに関しては過去、何人かの選手が処罰を受けているらしいが、ここまで大々的に発表したのは珍しいことだ。あくまでも複数のメディアが報じたことを参考にして書けば、北井がドーピング検査対象選手に選定されて検査を受けたとのこと。これがもし本当ならば、ガールズグランプリを含めた全員の検査も実施すべきではないだろうか。また、普段の開催やビッグレースにおいても参加選手全員、それができなくても、準決勝に進出した選手は検査をすべきではないか。
結果的に何も知らないのは私達ファンである。いくら検査結果が陽性であっても、その場で結果が出ず、車券はそのままになってしまう。これは腑に落ちない。改めてドーピング検査の実施方法などを見直すべきであろう。
Text/Norikazu Iwai
Photo/P-NAVI編集部
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター