2024/06/27 (木) 10:52
北井佑季。
いつかはG1を獲るとは思っていたが、これだけ早く獲るとは思いもしなかった。個人的には来年がチャンスかなと考えていた。16日に終わったG1「第75回高松宮記念杯競輪」は、郡司浩平の侠気先行を利した北井が、最終2コーナーから番手捲りを放ち、歓喜のVゴール。ゴール後に落車し、ヒヤッとしたが表彰式には元気な姿で現れた。
北井は元Jリーガーだが、J1の経験はない。聞いた話しだが、当時所属していた「松本山雅FC」がJ1に昇格するとき、自らが出場機会を求めて移籍したとのこと。その頃から勝負に飢えていたのだろう。デビューしてからは、何しろ先行にこだわってきた。後ろの選手が勝つことが先行選手の勲章だという、昭和スタイルの走りを見せ続けてきた。北井の恩恵を受けた選手は数知れない。
すでに「KEIRINグランプリ2024」の出場を決めている郡司にしてみれば、先行に迷いはなかった。脇本雄太が後方から襲いかかっても、あの位置からでは郡司が踏んでいるだけに、いくら脇本とて行けるものではなかった。北井は郡司の気持ちを汲んで、躊躇(ちゅうちょ)なく番手から出た。プロフェッショナルということを、改めて感じたレースだった。今後は本来のスタイルに戻り、自力で2個目のタイトルを獲ってこそ、もっと高い評価を受けるだろう。
高松宮記念杯競輪が終わっですぐ、G1第67回オールスター競輪、女子オールスター競輪の出場選手が発表された。男子の1位は古性優作、女子の1位は8年連続で児玉碧衣だった。女子の2位は日野未来。日野は元々人気はあったが、最近はレースでも実績を積んできたのが評価されたものだ。男の2位は脇本。今年は苦戦が続いているが、それでも2位というのは、脇本の走りに感動を覚えるファンが多いからに違いない。順序は逆になったが、児玉の1位は納得できる。
男子は1位~9位までがドリームレース。9位が北井で10位が郡司という結果には、何とも言えない感情を抱いた。高松宮記念杯終了時にはすでにファン投票は終わっていただけに、やはり北井に対するファンの思いは強かったのだろう。ファン投票の17位は新田祐大だった。オールスター競輪には出場できないが、誘導員早期追い抜きで長らく戦線を離れていただけに、17位という結果自体は本人が一番喜んでいることだろう。これも北井と同様、新田に対する期待の表れだ。20位だった窓場千加頼は大ブレーク中。やはりファンは、レース内容を見て決めるのだろう。
女子の3位、5位にはパリ五輪に出場する佐藤水菜と太田りゆが入った。普段のレースでは見られないが、五輪への期待感が結果に繋がったのだろう。投票上位の選手は、ファンの期待を裏切らないような走りを期待したい。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
***************
【岩井範一の過去コラムはこちら】
石井貴子の復活優勝
開幕直前!高松宮記念杯競輪
全プロ記念に思うこと
ルーキーシリーズの矛盾
悲願のダービー王!
ガールズケイリンの課題
激戦必至!ガールズケイリンのG1戦
新鮮味とは
競輪の醍醐味
候補生への期待
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター