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【恋の終わりと】木三原さくらの『恋して競輪ハンター』最終回

2025/07/14 (月) 17:00

木三原さくらの『恋して競輪ハンター』最終回

6月某日、みいちゅんこと日野未来さんがガールズケイリン選手を引退しました。

前回、平原さんのコラムを書きましたが、またすぐに自分にとって特別な選手の引退は、心の整理をつけるのに時間がかかりました。
青春が終わった後は、夢の終わりがやってきました。
いつか、彼女の特別競輪やグランプリの優勝インタビューをするのが夢でした。
浮かぶのは松戸競輪や平塚競輪で、ホームストレッチに立つ私はすでに涙を堪えるのに必死でしょう。それでも優勝の喜びと感動にあふれるバンクの中で、彼女の言葉をたくさんのファンに届けるために、まずどんな言葉から始めようか。そんな想像をしたのは1度や2度ではありません。

彼女が大きな夢を叶えた時、私もその場にいられる人間でありたい。
日野選手の存在が私を奮い立たせてくれて、たくさんの勇気とそして大きな夢を持たせてくれました。

引退のことはひょっとしたら、発表より前に前に知ることができていたのかもしれません。今思うと、何かを話したそうにしていたこともありました。でも、私はそれを率先して聞くことはできませんでした。
もし、先に選手をやめると聞いていたら、まず私は引き留める言葉を伝えていたでしょう。アマチュア時代の努力、選手になってからの苦悩。たくさん辛いこと、苦しいことを乗り越えて歩んできた競輪選手としての人生を手放してほしくなかった。そういえば聞こえはいいかもしれませんが、ひょっとしたら私が自分の夢を彼女に乗せてしまったが故に、悩みを打ち明けられる友人としての存在ではいられなくなっていたのかもしれないと、今になって後悔と罪悪感が私の中に浮かびます。

この7年間で、私の中でみいちゅんは日野選手となり、そして私は日野選手に夢を乗せた、いちファンになっていたのを実感しました。
今、彼女がバンクを去り、その軌跡を見てきた友人として、そしてファンとして思います。

「本当に、たくさんの感動をありがとう」

選手になる前は、私に競輪を楽しむ気持ちを教えてくれて、選手になってからは知らない世界、たくさんの感情ー心配の気持ちから感動や喜びまでーを教えてくれて素晴らしい光景を見せてくれました。この7年、がむしゃらにもがき続けた日野未来選手を応援できたことは、私にとってかけがえない思い出です。

新しい道を進み始めたみいちゅん、あらゆる公営競技に精通する彼女は忙しく、相変わらず会えるチャンスは少ないですが、前よりももっといろんな話をして、また一緒に競輪を買えるのを楽しみにしています。

さて、夢の終わりは、また始まりでもあります。私も新たに進みたいという気持ちが芽生え、この『恋して競輪ハンター』はこれで最終回を迎えたいと思います。2017年から月2回の連載、初めてのコラムでしたが、たくさんの方に支えていただき今日まで続けることができました。関わってくださった関係者のみなさま、感想を伝えてくれた読者のみなさま、そして日々熱いレースを見せてくれた選手のみなさま本当にありがとうございました。

恋はいつしか愛に変わり、私の心の中で揺らぐことのない確かなものに変わりました。これからもたくさんの愛を持って、競輪を楽しんでいきたいと思います!

恋して競輪ハンター

木三原さくら

2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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