2024/08/19 (月) 10:10
パリ五輪が終わった。残念ながら日本は、メダル「ゼロ」の結果だった。今回の五輪は前にも書いたが、勢いのある若手がそろい、過去の大会以上にメダル獲得が期待されていた。女子(トラック短距離)は佐藤水菜と太田りゆ。特に佐藤は世界でも名が知られており、ケイリンでは決勝までは順当に勝ち上がれると思われていた。
しかし、まさかの準々決勝で敗退。6車中4位までがセミファイナルへ進出できたのに、5位。スプリントでは日本記録を出すなど健闘したが、やはり世界の壁は厚かった。
男子に目を向けると、これはもう、不運という言葉しかでてこない。チームスプリント、スプリント、ケイリンの3種目、どれもメダルの可能性はあった。チームスプリントはフランスと対戦。勝てばタイムで決勝、または3位決定戦に進めるはずだった。スタート直後、日本がフライング、仕切り直しで今度はフランスがフライング。互いに、あと1回フライングすれば失格になる。緊張感に包まれた再々発走。世界トップクラスの1走と言われている長迫吉拓が失敗。車輪が滑ってしまい、大きくロス。2走の太田海也が差を詰めたが、フランスの前に屈した。タラレバは勝負事に禁句ではあるが、悔やまれた。
スプリントは太田海也と小原佑太。太田は準々決勝で1本先取し、2本目も先着したが、相手側の抗議でまさかの降着。相手が先に右肘を出し、それに太田も対応したが、判定は太田降着。最後の3本目、太田は頑張ったが、モチベーションが下がっていたことは否めない。
ケイリンはもっと納得いくものではなかった。中野慎詞が前のレースで3位、ファイナル進出を決めた。続く太田も3位で入線。だが、落車があり太田に原因ありと判定。降着ではなく、失格となった。悔し涙を流す太田。これほどまでに運に見放されたとは、日本国民も声が出なかった。ケイリン決勝は中野が落車しながら4位。落車がなければ……。
今回の大会は自転車競技だけでなく、他の競技でも判定に対する不満が多かった。出てしまったものは、よほどのことがない限り覆らない。メダルはゼロに終わったが、4年後のロス大会には希望が見えたと思う。まだまだ世界との差はあるが、確実にその距離は縮まっていることを感じた。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター