閉じる
平原康多の勝ちペダル

【#14】「応援をありがとうございました!」寛仁親王牌 優勝報告

2021/10/27 (水) 15:00 30

平原康多選手、寛仁親王牌優勝!(撮影:島尻譲)

今年の元旦、当コラムで「今年こそGIのタイトルを獲ります」と宣言した平原康多選手。見事、思い出深い地・弥彦でGI優勝を決めました。

“自分も、ラインのために” 一瞬の勝機を逃さず手にしたタイトル。平原選手にとって格別な優勝となった、寛仁親王牌を振り返ります。


「応援をありがとうございました!

 netkeirinをご覧の皆さん、平原康多です。

 24日に終わったGI寛仁親王牌で優勝することができました。GIのタイトルは4年8か月ぶりです。皆さん、応援をありがとうございました。

 開催場所が弥彦競輪場ということで、気持ちがいつも以上に入っていました。幼少期から14歳まで隣の岩室村に住んでいたので、思い出深い地なんです。親戚も連日、応援に来てくれていました。そこで優勝できたことは格別です。

 初日の日本競輪選手会理事長杯から振り返っていきます。自分は単騎での戦いになりました。展開は南関勢が逃げて、4番手に古性君。その後ろはインで新田君、アウトで清水君の並走。自分は清水君ラインの後ろにいたんです。ところが中団並走のまま。気がつけば9番手。展開を完全に読み違えました。最終バックを過ぎて仕掛けていき、結果は4着。ただ、あの位置から動いてのことだったので手応えは感じました。

「あの位置から動いての4着、手応えは感じました」※平原選手は5番車(撮影:島尻譲)

 ローズカップは吉田拓矢君の4番手まくりに乗り3着。準決は地元の諸橋さんを連れてのまくりでワンツーが決まりました。諸橋さんが後ろにいる緊張感を持って力を出し切れたと思います。思い出深い地で決勝に進出でき、一つの目標が達成されたという安心感もありましたが、決勝に乗って初めて優勝争いができるんだと、気持ちを入れ替えました。

準決勝、地元の諸橋選手とのワンツーを決めた(撮影:島尻譲)

自分も、ラインのために…

 迎えた決勝ですが、関東ラインは吉田君を先頭に自分、諸橋さん。東北勢は新山君が先頭で新田君、菅田君、大槻さん。前を取れればと思っていたのですが、新田君に取られ後ろから攻める形になりました。東北勢が前を取った以上、突っ張ることは分かっていました。赤板(残り2周)で吉田君が上昇すると新山君もスピードを上げました。新田君は付いていったのですが、3番手の菅田君が遅れ、その瞬間を逃さず自分が3番手を取り、吉田君を迎えいれました。一瞬の判断でしたね。ただ後ろ攻めになった時からこういう感じになるんじゃないかというビジョンはありました。吉田君が頑張って先行しようとしてくれている、諸橋さんが前を取りに行ってくれた。自分もラインのためにしなくてはならない、そんな責任感もありました。

“一瞬の判断”で北日本ラインを分断(撮影:島尻譲)

 結果的に3、4、5番手を取れたことが大きかったです。吉田君が2コーナーから仕掛けてくれましたが、出切れず。自分が新田君を追走する形になりました。新田君がまくり、直線勝負になりました。自分と諸橋さんでワンツー、どちらが優勝でもいいという感覚でした。ところが新田君の斜行で諸橋さんが落車。落ちたのはわかりました。ゴールした瞬間、手を挙げてしまいましたが、諸橋さんが落車をしているので躊躇しました。でも親戚が旗を振って応援してくれていたし、ファンの声援も凄かった。そのお礼の意味もこめてガッツポーズをしました。

ファンからの声援を背に受けて(撮影:島尻譲)

これからも“目の前のGI”に全力で

 今開催ですが、8月の小田原記念で落車した時に負った擦過傷がまだ治りきっていませんでした。それでも体は動くようになってきていたし、こうあるべきだという方向性が分かってきました。自転車のセッティングなどを見つめ直し、戦える状態にもなっていました。100%、自転車と体がマッチしたわけではないのですが、練習でもレースでも自分の中で自信を持って走れるようになりました。これでグランプリの出場が決まりましたが、自分は目の前のGIを獲ることが目標です。次の競輪祭でも全力を尽くしたいと思います。

「次の競輪祭でも全力を尽くしたい」(撮影:島尻譲)

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

平原康多の勝ちペダル

平原康多

Hirahara Kota

埼玉県狭山市出身。日本競輪学校87期卒。競輪選手・平原康広(28期)を父に持ち、その影響も受けて高校時代から自転車競技をスタート。ジュニア世界自転車競技大会などで活躍し、頭角を現していった。レースデビューは2002年8月5日の西武園。同レースで初勝利を記録。2009年には高松宮記念杯と競輪祭を制し、2010年も高松宮記念杯で勝利。その後もGⅠ決勝進出常連の存在感を示し、2013年は全日本選抜、2014年と2016年には競輪祭、2017年も全日本選抜などで頂点に輝く。最高峰のS級S班に君臨し続け、全国の強者と凌ぎを削っている。

閉じる

平原康多コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票