アプリ限定 2025/10/26 (日) 18:00 12
10月23〜26日に前橋競輪場で「第34回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」が開催された。あまりにも激し戦いが続き、落車と失格が多かった…。勝負している結果に違いないので選手はやることをやって…なのだが、ファンからすれば気持ちが下がる面は否めない。
失格の判定としては「あれ、これは?」「こっちは?」というファンも多かったようだが、審判は細かく規定に従ってのものなので、失格となるところはそこに明確な理由がある。セーフとなるところにしてもそうだ。
村上博幸(46歳・京都=86期)の失格は、前の選手の動きとの連動で…に見えた感じはあったものの、前の選手の位置と、村上の位置と、と判断するポイントがあった。基本的に競輪という競技が複雑なものであるので、しっかりと審判判定を聞いて見る目を養うことが大事だ。
落車は…ないことを祈るしかない。わずかな隙でも突いていかないと、勝てない、勝ち上がれない。また、気持ちが入りすぎて動きが大きくなりがち…というのはやむを得ない部分もあるだろう。ただし、「技術面で落ちている」という選手側からの指摘もある。落車しないための技術を養うことにも目を向けてほしい。
初日の一次予選6Rで山田英明(42歳・佐賀=89期)が伊藤旭(25歳・熊本=117期)に付かないレースがあった。山田としては過去に任せていてどうにも納得のいかない走り、自分がやってきた競輪と合わない、というむずがゆさがあったのだろう。苦渋の決断で自分でやる、という決断をした。
その分、前に前にと踏んでいき、自分がやってきた競輪で勝ち上がりを決めた。伊藤は伊藤で脚をためてのまくりで1着を手にした。『競輪』という全体からみれば、気持ちよく九州で連係して、一緒に勝ち上がりを決めてほしいというものがある。
伊藤のサーカスチックな走りが、受け入れられていないところだろうが、伊藤はさらに大きくなって九州を引っ張る選手になってほしい。山田が付けない、という選択をしたことも伊藤に対する叱咤の一つの形でもある。
また、北日本別線でもガチンコで踏み合うようなレースもあった。様々な並びがドラマを生む。やはり、競輪、そしてラインというものを生んだ人々は、天才だ。
そんな前橋の激闘がある中、地球の裏側では世界選手権がチリで開催された。女子スプリントで佐藤水菜(26歳・神奈川=114期)が銀メダル、男子オムニアムでは窪木一茂(36歳・福島=119期)がこちらも銀メダル。スプリントもオムニアムも、実力でしか勝ち取れないものだ。2人の進化は素晴らしいとしか言いようがない。
日本時間26日深夜では女子ケイリンのサトミナの戦いに期待が集まる。昨年大会で悲願の優勝。連覇で、その実力を知らしめてほしい。
男子ケイリンでは太田海也(26歳・岡山=121期)が4位とメダルにもう少しだった。悔しいばかりの一年になっているとはいえ、まだ11月小倉競輪祭(GI)が残っている。中野慎詞(26歳・岩手=121期)や山崎賢人(32歳・長崎=111期)の奮起にも期待したい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。