2025/10/26 (日) 08:00 25
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
第34回寛仁親王牌世界選手権記念トーナメント決勝メンバーが出そろいました。この大会は各地区の自転車競技大会を経て全日本プロ選手権を勝ち抜いた選手が優先的に出られるため、あまり馴染みのない選手が出場するのが特徴です。その中で塩島嵩一朗(神奈川・125期)がいい走りをしていましたね。格上ばかりだったので、“とにかく先行で名前を売る”と開き直って走ったことがいい方向に向きました。これからどう進化するのか楽しみです。
大会初日は脇本雄太(福井・94期)が圧倒的なスピードを見せて幕が開きます。それに続いたのが寺崎浩平(福井・117期)や山口拳矢(岐阜・117期)です。関東の核となる眞杉匠(栃木・113期)は堅調といったところでしょうか。
準決勝は前橋バンク特有の傾斜を生かした判断が明暗を分けました。10Rは眞杉の番手、吉田拓矢(茨城・107期)が有利に進め、河端朋之(岡山・95期)の一発が決まります。あの展開で1着を取った吉田のデキも光りました。11Rは脇本の当日欠場があり、犬伏湧也(徳島・119期)が主役に躍り出ます。それをしっかり掴めたのは見事でした。12Rは人気の近畿勢が先行をあまり考えていなかったことが敗因でした。その影響がどう決勝に反映されるでしょうか。
メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①古性優作(大阪・100期)
②吉田拓矢(茨城・107期)ー⑥恩田淳平(群馬・100期)
③清水裕友(山口・105期)ー⑧河端朋之(岡山・95期)
⑤嘉永泰斗(熊本・113期)
⑨犬伏湧也(徳島・119期)ー⑦松本貴治(愛媛・111期)ー④小倉竜二(徳島・77期)
⑨犬伏の先行一車と見ていいですね。ただ、押さえ先行で勝ち上がっていないのは不安要素です。カマシ先行は展開に左右されるので、突っ張り先行や押さえ先行と比べて安定感では劣ります。各選手も⑨犬伏の十八番(=先行)を分かっているだけに、そちらに持って行きたくないところです。では、犬伏を後方に置いた時に誰が先行しているのでしょう。
近況の⑨犬伏は“誰が相手でもカマシを決める”のがテーマだと思います。優勝した向日町記念(奈良競輪場)や準優勝の岐阜記念でも、その姿勢は際立っていました。今回も自分の型を貫くはずです。もし前が取れなくても、“ブーメラン”で前受けの選手を追い込むでしょう。前の選手が先行する気がなければ、⑦松本との勝負になるでしょう。犬伏が前受けで考えます。
S.⑨⑦④ ① ②⑥ ③⑧ ⑤
③清水が動いて②吉田が続きます。犬伏は中団で粘ることなく後ろに引くでしょうね。
←⑨⑦④
H.③⑧ ① ②⑥ ⑤
⑨犬伏のカマシが決まらないのは、打鐘がトップスピードの時です。②吉田や③清水にその対応を求めるのは酷かな…と思います。私の見解は⑨犬伏の“カマシが決まる”ですね。
・9=7-41258
番手の⑦松本が離れるかどうかが焦点だと考えました。
・9-152-1526
脇本が準決勝を欠場して、流れは一気に犬伏に向きました。その流れを掴めるかどうか注目の一戦です。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。