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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】寛仁親王牌に出場する深谷知広選手を解説!

2021/10/21 (木) 12:00 8

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は弥彦競輪「寛仁親王牌(GI)」に出場する深谷知広選手を解説する。

⚫︎深谷知広

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 身長は169cm、体重は79kgと自力型トップレーサーの中では小柄だ。

 ただ、体重は間違いなく79kgを超えているだろう(笑)。ひと目みれば分かるほど、大腿四頭筋(太もも)に大臀筋、ハムストリングはビルドされている。体幹部は筋肉で固められたドラム缶のように太い。79kgなわけがない。

 深谷知広選手のデビューは非常にセンセーショナルだった。最速でS級まで昇級すると、あっという間にGIを制覇し、トップレーサーにのぼり詰めた。徹底先行型スーパールーキーの登場に、競輪界は沸き上がり、歓喜の渦に包まれたのを今でも鮮明に覚えている。

 最近の山口拳矢選手や町田太我選手といったスター候補生達の活躍も華々しいが、深谷選手はまさに別格だ。今でもそう思う。

 深谷選手の強さは、誰よりも自転車を速く進ませる事が出来るところだ。その要因は決して筋肉量だけではない。いくら深谷選手が努力して筋肉量を増やしても、脚に付随出来る筋肉の量も限りがある。身長180cmクラスのアスリートと比べると、どうしても劣ってしまう。

 では、筋肉量以外に裏づけされている、深谷選手の強さはどこにあるのか。それは「全身が動く」ことだと考える。

 筆者が深谷選手の番手を何度も回った経験から分析すると、深谷選手は「モガキ時」が非常に特徴的だ。肩甲骨と股関節が左右に小刻みに動きまくる。それもしっかりと連動しながらだ。高速回転をする股関節の動きを妨げないよう、肩甲骨が小刻みに動きガイドする。その動きに対しても、肩甲骨の柔軟性により決して減速しない。

 一見、乗車フォームがガチャガチャしているように見えるが、その状態こそ理想的と言えるのだ。強靭な関節と反射能力(神経系)の両方を持ち合わせているからこそ出来る芸当だ。

 余談だが、深谷選手の車好きは競輪界でも有名だ。定期的にアップしてくれるSNSには、コロコロ変わる愛車が頻繁に登場する。筆者はそれを楽しみにしているのだが、深谷選手には1つ特技がある。

 それは「知り合いに高級車を買わせる」事だ。車の素晴らしさをプレゼンテーションするのが得意で、愛車購入に迷っている友人を後押しするのがうまいのだ。しかもよく高級な車を購入させている。

 人には色々な能力があるはずだが、深谷選手が競輪選手をやっていなかったら、間違いなくメルセデス・ベンツの営業マンだ。日本トップセールスを誇り、本場ドイツで毎年表彰を受けていただろう。

 最後に、あくまで筆者の想像だが…。深谷選手はベンツの事をきっと…『メルツェデス』と言うはずだ。間違いない。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 脇本雄太選手の欠場により、一気に混戦ムードになった。その中で鼻息を荒くするのが新田祐大選手だろう。

 新田選手は東京オリンピックに照準を当てていたため、オールスターから国内競輪に本格参戦。そこから数場所を経て、いよいよアジャストしてきた。近況、先行勝負が多いのはGI決勝で得意の捲くりを決める為の布石だろう。

 筆頭は南関東勢。郡司浩平選手を中心に、深谷知広選手もいる。郡司選手にとっては、深谷選手がグランプリに乗るかどうかで、勝率が間違いなく変わってくる。アシスト能力にも長ける郡司選手の立ち回りにも注目だ。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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