2023/03/24 (金) 12:00 9
加藤慎平の「筋肉診断」。今回は玉野競輪「瀬戸の王子杯争奪戦(GIII)」に出場する柏野智典選手を解説する。
⚫︎柏野智典
公式プロフィールでは身長165cm、体重70kg、年齢は筆者と同じ44歳。GI出場常連のベテランマーク選手だが、間違いなく小柄で細身である。
特徴は、安定したテクニックと直線の伸びを完備したソツのなさ。どんなメンバー構成でも3着には突っ込んできてくれる。車券を買うファン達からしたら、先行の番手よりも後方に位置したときの方が期待度が増すというレアな選手だ。
安定したマーク技術も持っており、追い込み選手としての仕事もちゃんとこなす。中国地区自力選手達の信頼も厚く、選手間での評価も高いのだ。主役タイプではないが、“主役を引き立てる”典型的なタイプ。名レースと呼ばれる時には必ず柏野選手の存在がある。
加齢による筋力や視力の衰えはあるものの、それに対抗しうるテクニックを持ち合わせているので、今後も長くS級で走り続けていくだろう。
今回は地元となる瀬戸の王子杯争奪戦ということで、本人の気持ちも昂っているはずだ。
松浦悠士選手を筆頭に、太田海也選手や取鳥雄吾選手など、目標に困ることはない。勝ち上がりから難しいレースが続くだろうが、最低でも決勝戦進出がノルマか。
シリーズ最高の名脇役として柏野は絶対に必要なのだ。柏野選手の匠な技術と突っ込みを刮目せよ。
⚫︎本レースで注目すべき選手は…?
地元中国勢が非常に面白い。特に太田選手には競輪ファンの期待が一心に集まる。ナショナルチーム仕込みのスピードを、ここホームバンクの玉野で見せつけてくれるはずだ。
加藤慎平
Kato Shimpei
岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。