2023/03/30 (木) 12:00 8
加藤慎平の「筋肉診断」。今回は四日市競輪「BNR大阪・関西万博協賛(GIII)」に出場する谷口遼平選手を解説する。
⚫︎谷口遼平
公式プロフィールでは身長169cm、体重70kg。データから見てもわかるが、S級2班の自力選手としてはかなりの細身体型だ。
高校時代からスプリントチャンピオンとして、ダッシュ力やトップスピードには定評があった。ただ逆に言えば、谷口選手の強みはそれだけだった。
一瞬のキレは目を見張るものがあるものの、S級上位選手には総合力で上回られるシーンが多々あった。それがグレードレースで揉まれ続ける事によって、実にしぶとく味のある競輪選手へと進化していったのだ。
単純にモガく距離が長くなり、早めの仕掛けも可能になったので、対戦相手も谷口選手を警戒して仕掛けも早くなる。そうすると必然的に、谷口選手が得意とする捲りが決まるようになるのだ。
競輪という競技は、なにより“自分の見せ方”が重要だ。何回捲られても、何回合わせられても、積極的に攻める姿を見せ続ける事により、相手はその選手を警戒するようになる。
その時点で、レース前でも一歩相手より優位に立っていると言える。今や谷口選手のカマシや捲りは、GIの勝ち上がりでも充分通用するようになってきたのだ。
全国的に戦力不足の中部地区にとって、谷口選手の自力は極めて重要だ。今節は地元記念になるが援護も乏しい。何とか1人でも多くの中部勢を決勝戦に乗せる事が谷口選手の使命とも言える。
4日間、浅井康太選手とともに地元勢を引っ張って欲しいと思う。
⚫︎本レースで注目すべき選手は…?
SS級が新山響平選手と守澤太志選手のみ。さらに渡邉一成選手、成田和也選手をそろえる北日本勢が、圧倒的に分がある。
いかんせん地元中部勢の戦力が心許ない状況なので、触手が動くのは遠征勢か? 浅井康太選手の自力を含めた立ち回りに期待したい。
さぁ約2年にわたり続いてきた当連載。しかしここ最近は、もはや筋肉など診断していないコラムとなっていた。初期は毎回テーマに沿って筋肉を診断していたが、筆者はだんだんと気付いていった……。
“人の筋肉は簡単に変化していかないので書くネタがない”と。
やはり筋肉にフォーカスをあてるコラムは無理があったのだ(笑)。と言うことで、次回から加藤慎平コラムはリニューアルします。
高望みはしませんが、引き続き続けて楽しんで頂けたらなと思います。
加藤慎平
Kato Shimpei
岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。