2025/09/04 (木) 08:00 2
いや、参った。
「直腸カルチノイドです」なんて急に言われても、何のこっちゃわからん。聞き覚えもなけりゃ、使ったこともない。こちとら、胃腸薬のCMくらいしか腸に関わったことはない。
事の始まりは、「そろそろ検査くらい行っときなさいよ」とカミさんに半ば強制的に引っ張られて、大腸の内視鏡検査を受けに行ったこと。案の定ポリープが見つかって、その場でチョキン。
ここまではよくある話だとタカをくくってた。ところが術後、担当医が何やら深刻そうな顔して、「カルチノイド、見つかりました」って。隣で聞いてたカミさんの空気が一変。すぐさまスマホを取り出して、検索、検索また検索。いつの間にか顔つきがベテランの女医みたいになり、こっちに専門用語混じりで解説してくるわけ。
なんだか知らんが、こっちもその説明にだんだん引き込まれて、「あ、オレもうダメかもな…」って、暗い気持ちになっていった。そして迎えた手術当日。カミさんはまるで修学旅行の引率の先生みたいに「大丈夫、大丈夫!」と笑顔で励ましてくれる。
でも、ちょっと待て。お前、数日前には「もしかして転移してるんじゃない?」なんて言ってたよな?(あの不安を煽る解説はどこ行ったんだよ?)と心の中でツッコミながら、手術室へ。無事に終わって、術後の説明タイム。そこでもカミさん女医が登場し、医者とタメ口で話してる。「先生、それは浸潤(しんじゅん)してないってことですよね?」とか言ってて、もう完全に同業者(笑)。オレの立場、ないじゃん…。
後日の病理検査で「異常なし」のお墨付きをもらいホッと胸をなでおろしたけど、今後はカミさん医師の厳重な健康管理のもと、日々を送らねばならないらしい。まあ、生きてるだけマシかとも思うが、日が立つに連れモゾモゾと「酒が飲みて〜」虫が頭をもたげ出した。ああ、この病気は一生直らね〜!
さあて、健康優良児…いや、猛者たちがズラリと顔を揃えた長良川鵜飼カップ。この夏の暑さと同じくらい、バンクも熱を帯びてきたね。
S班からは岩本俊介、脇本雄太、清水裕友の参戦予定だったが、脇本と岩本の欠場で犬伏湧也が追加ってことでS班はふたり! そこへ菅田壱道、松井宏佑、嘉永泰斗、村田雅一と。まさに混戦激戦の様相ってな感じ。清水裕友は、犬伏湧也と連係できる強みがあり、頭ひとつリードか! 本格化したオールラウンダー菅田壱道が自力自在に立ち回り不気味な存在になる。一方、南関松井宏佑が孤軍奮闘になるか。主役たちはこんな感じだろう。
しかしバイプレイヤーも一筋縄ではいかない。荒れる要素がプンプンってことは穴党の出番ってこと! 筋書き通りにいかないのが競輪。だからこそ妄想タイムの始まりだ。
まずは地元勢、志智俊夫。もう存在感が別格。競輪を知り尽くしたその姿勢は、重鎮そのもの。派手さはないが、勝負どころでは狭いコースをズバッと突っ込んでくる。そんな志智に、地元の後輩たちが“志智さんのために”と走らないわけがない。そして“妄想枠外”の栗山和樹。準決進出は最低ノルマで、そこから先、決勝で何かやらかしてくれそうな雰囲気があるんだな。
他地区からは上杉嘉槻。最近アグレッシブな走りが光ってるね。この勢い、止まらないかもよ。ベテラン伊藤信も侮れない。脚をタメて一発ズドン。大物食いの可能性、十分ある。そして、西田優大。まだ粗削りだが、競輪ってのは“磨かれてナンボ”。今、彼の走りにはその“光”が見え始めてる。もうひとり挙げるなら、今村麟太郎だな。鋭いまくりは、一瞬の隙を突くタイプ。展開さえハマれば、存在感が増してくるぞ。
最後に、石毛克幸、菅原裕太、横関裕樹、坂田康季といったあたりが、大会をさらに面白くしてくれるはず。
妄想タイムは6Rをいってみる。いつもの並びの整理から。①栗山和樹-⑨川口公太朗-③鈴木伸之の中部ライン、⑦佐藤一伸-②内藤宣彦の北日本に⑤佐々木和紀が続く東日本ライン、中四国は⑧畝木努-④棚橋勉、⑥島田竜二は単騎戦。
初手はスタートは佐々木が早く佐藤が前受けから。ここを栗山が追う(⇐⑦②⑤・①⑨③・⑥・⑧④)。これなら畝木が押さえてしまえば、栗山がその上を行って(⇐①⑨③・⑥・⑧④・⑦②⑤)となり、ライン決着が濃厚ってことに!
川口、栗山で直線勝負を本線に⑨-①、鈴木の流れ込み⑨-③、いや3番手の鈴木の差し脚侮れず川口が栗山を庇えば強襲逆転が待ってる。そこで①③⑨ボックスで押さえておく手もあるべ。佐藤が畝木を突っ張り栗山へ飛びつきなら①=⑦、佐藤が脚を使えば内藤の強襲逆転で⑦=②。あれ? これが本線なのかね!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。