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平原康多の勝ちペダル

【#28】平原康多が心を許す先輩・藤井克信さんが登場! 普段見せない素顔がチラリ!?

2022/09/28 (水) 15:00 58

平原選手が慕っている先輩・藤井克信さんと!

今回は平原選手により素の表情を出していただくために、一番親しくしている先輩の藤井克信さん(東京74期=14年5月引退)に同席をお願いしました。2人はやんちゃな兄弟のような間柄で、競輪場では見せない平原選手のいたずらな顔が見られたり、好きな異性の話なども飛び出しました。

…ゴールデンコンビ? みんなでレベルアップしたい!

ーーまずは今月の振り返りからお願いします。岐阜G3と、G2共同通信社杯(名古屋)お疲れ様でした。共同決勝の落車は大丈夫だったのですか?

 この通りピンピンしています。巻き込まれた落車で不運でしたけど、和田真久留君に乗り上げ、けががなかったのが不幸中の幸いでした。

ーー3連勝で勝ち上がっていただけに、落車という結末は残念でした。

 正直(優勝が)あるかなと思っていたので、落車直後は痛みよりもチャンスを逃してしまったことに呆然としていましたね。

3連勝で決勝に進んだが…(撮影:島尻譲)

ーー次の寛仁親王牌までは1カ月あるので、ゆっくりケアしながら調整できますね。

 空きすぎると駄目なんですよ。練習がきついので、目標のレースがないと集中して練習できない。だから、追加の要請があれば参加を考えようかと思っています。

ーー岐阜G3の決勝は、またしても松浦悠士選手の2着でした。ゴール直後に2人で話していた映像が流れましたが、何を話したんですか?

 それは聞かれると思っていました(笑)。ゴールがその前の富山とまったく同じ光景だったので、またお前か!! と。レースが終わればノーサイドですから、そこは素直に讃えました。目の前で松浦の優勝を2連発で見て、改めてすごい選手だと感じましたね。

「またお前か!!」レースが終わればノーサイド(提供:島尻譲)

ーー松浦選手の強さの秘訣はどこでしょうか?

 競輪のことで何かを問いかけると、すぐに返事が返ってくる。人よりも競輪に向き合っている時間が長い証拠だと思います。彼はお酒も飲まないし、ストイックですよね。

ーー岐阜では3度も眞杉匠選手との連係がありました。関東の新しいゴールデンコンビといってもいいのではないでしょうか?

 確かに岐阜は、眞杉との信頼を深めた3走でした。性格はゆるいけど、レースになると負けず嫌い。何も言わなくても貫いていける選手だと思います。ただ、ゴールデンコンビというのはちょっと。ヨシタク(吉田拓矢)もいますし、吉田有希たちも成長している。みんなでレベルアップしたいです。

岐阜は眞杉との信頼を深めた3走でした(撮影:島尻譲)

ーー他に印象的なレースはありましたか?

 2次予選で久々に芦澤大輔に付いてもらったレースは気合が入りましたね。同い年だけど、僕がリスペクトする選手なんです。

ーーマーク職人という言葉がぴったり当てはまる選手ですね。

 以前よりも芦沢は得点を落としたけど、やっぱり安心感がありました。

ーー続いて共同通信社杯の話になりますが、森田優弥選手に付いた準決勝は、番手まくりではなく追い込みで勝ったところに価値があるように思いました。

 バンマクで勝つのは簡単なんです。でも、自力が自力に前をまわす以上は、1メートルでも長く頑張って欲しい。それが可能性を伸ばすことになるし、成長につながると思うんです。

ーー同じ開催で森田選手は失格スレスレのレースもありました。

 失格の回数は気にしていましたね。僕も若いころは、大きなレースで何度も失格をして叩かれたことがあるから、彼の気持ちは良く分かります。反省は今後に生かしてくれるでしょう。

ーー森田選手の成長を感じた開催だったのですね。

 そうですね。数年前の大垣G3の準決で連係した時、彼は同期の宮本隼輔にライバル意識を持って走っていた。仕掛けが遅く、結果は僕が2着で森田は4着。ところが、森田はレース内容よりも着に悔しがっていました。同期に対する思いは分かるけど、悔しがるポイントが違うぞ、と苦言を言いました。彼は急いでいたので、階段を踏み外さず、1歩ずつ上ったやつが本物になれるというようなことも言いました。今はその意味を分かってくれていると思います。

埼玉の後輩・森田優弥選手(撮影:島尻譲)

ーー名古屋には注目のルーキー中野慎詞選手がいました。彼をどう評価しましたか?

 脚力があるのは誰もが分かっています。連勝記録というものに注目が集まり、辛い立場だったと思います。本人は気にしていないと言っても、周囲やメディアは許してくれませんからね。僕は他地区なので客観的に見ていました。特に最終日に新田祐大の前でどういう走りをするかに注目していたんですけど、彼はラインを引き出す走りをした。これで彼はスタートラインに立ったんじゃないですかね。それでも他の選手よりもスタートに立つのが圧倒的に早いんですけど(笑)。

平原は面食いというよりも〇〇フェチ(笑)

ーーここからは藤井さんにもお話に加わっていただきましょう。一番近くで平原選手を見てきた藤井さんの平原評を聞かせて下さい。

藤井 後ろを回ったこともありますけど、瞬時の判断がすごいし、抜群に頭がいいですね。レースについての考えがあまりに深いので、こっちにプレッシャーがかかるんですよ。

「平原はレースについての考えがあまりに深い」

ーー平原選手にとって藤井さんはどのような存在ですか?

平原 ただの面食いですね、はははは。

藤井 やめろ、おい!

平原 藤井さんと(宿口)陽一は面食い。ストライクゾーンがめちゃ狭い(笑)。

藤井 コイツはこの通りさわやかイケメンですからモテましたよ。きっとガールズ選手にもモテるんでしょう。

平原 何を言ってるんですか。僕は既婚者ですから。

ーー平原選手は推しのガールズ選手はいるんですか?

平原 名古屋で奥井(迪)さんの優勝(ティアラカップ)を見たんですけど、あれには感動しました。真面目に競輪と向き合って、スタイルを貫いての結果ですから、本当に良かったですね。

藤井 そういう話じゃないだろ。

ーー選手だと言いづらいですよね。芸能人ではどういう方がタイプなんですか?

平原 昔は森高千里、今は長沢まさみの一択です。

ーー十分に面食いじゃないですか(笑)。

平原 はははは。でも、アイドルとかは興味がなくて、K-POPのがいいかな。

藤井 平原は面食いというよりもスタイルフェチですね(笑)。

平原 年々ストライクゾーンは広がっている気がします(笑)。

年々ストライクゾーンは広がりつつある!?

ーー藤井さんが引退されてもう8年が経ちますが、お2人の関係性は変わらないですね。

平原 去年も僕と陽一がG1を勝ったお祝いの会を藤井さんが開いてくれて。僕が知る限りで最も人のいい先輩です。人がよすぎるから心配になりますよ。

ーー藤井さんを慕う若手選手は今でも多いですね。

藤井 ありがたいことです。陽一もそうだし、吉沢純平とかも親しくさせてもらっています。平原にも世話になりっぱなしで。

ーー最近のエピソードはありますか?

藤井 引退後に飲食店で働いていたんですが、いろいろあって悩んでいました。そんな時に平原が「辞めればいいじゃないですか」と。背中を押して欲しかったわけじゃないけど、頭のいい平原に言われると、そうだよな、なんて自然に思えて。今は知人のハウスクリーニングの仕事を手伝わせていただいています。

平原 前に藤井さんが勤めていたお店は美味しくて何度も行ったんですけどね。でも、藤井さんは仕事が丁寧だし、今の仕事は向いていると思いますよ。

藤井 おかげさまで少し軌道に乗ってきました。

ーー選手の引退後の仕事は簡単ではないですね。平原選手は引退のことなんて考えていないと思いますが、今後の戦法チェンジは頭にありますか?

平原 追い込みで戦っている自分は想像できませんね。今の競輪はタテのレベルが格段に上がっている。その中で追い込みというカテゴリーで戦うのは本当に大変だと思うんです。(佐藤)慎太郎さん、諸橋(愛)さん、オグリュー(小倉竜二)さんらはすごいですよ。

藤井 平原はヨコも強いけど、やっぱり自力で輝きます。陰ながら応援しています。

藤井さんが現役を引退し8年が経つも、変わらない関係性。

ーー藤井さんは昨年の静岡グランプリには観戦に行かれてましたね。

藤井 はい。陽一も乗っていたし、現地で見たくて。佐久間仙行さんと一緒に応援に行きました。今年こそ取って欲しいですね。

ーー平原選手にとってグランプリとは?

平原 もちろん勝ちたいけど、グランプリに乗りたくて頑張るという感じではないですね。一戦一戦の積み重ねで出られるものだし、やっぱりG1を勝つというのが一番の目標です。

ーー近年のグランプリは何度も勝てそうで勝てない展開が続いています。

平原 20年のワッキー(脇本雄太)に付いた平塚は、勝てたかもしれない展開でした。でも、付いていて一杯になる経験は初めてだったし、4角から前に踏んでいたとしても、清水(裕友)には行かれていたんじゃないかな。

ーーあの時の清水選手へのブロックは度肝を抜かれました。弟の啓多選手とこの話をした時に、優勝を逃しても評価が上がるんだからずるいと言っていました(笑)。

平原 あいつめ、これですね(げんこつを落とすふりをして)。

ーー今年こそは期待しています!

平原 まずは出場を決めないといけませんから。頑張ります。

(文中敬称略)

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平原康多

Hirahara Kota

埼玉県狭山市出身。日本競輪学校87期卒。競輪選手・平原康広(28期)を父に持ち、その影響も受けて高校時代から自転車競技をスタート。ジュニア世界自転車競技大会などで活躍し、頭角を現していった。レースデビューは2002年8月5日の西武園。同レースで初勝利を記録。2009年には高松宮記念杯と競輪祭を制し、2010年も高松宮記念杯で勝利。その後もGⅠ決勝進出常連の存在感を示し、2013年は全日本選抜、2014年と2016年には競輪祭、2017年も全日本選抜などで頂点に輝く。最高峰のS級S班に君臨し続け、全国の強者と凌ぎを削っている。

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