2022/08/26 (金) 20:00 46
今月から、当コラムがリニューアル! これまでのスタイルから一変、一問一答形式でお届けしていきます。リニューアルするきっかけとなったのは、netkeirinで連載中の、とある選手のコラム…?
ーー今回からコラムのスタイルを変えて一問一答形式になりました。これは平原選手の希望だったようですね。
中川誠一郎さんのコラムが面白くて、読んでいて引き寄せられるじゃないですか。自分もああいう感じで自分を出せたらなと思ったんです。中川さんって普段はおとなしそうだけど、あのコラムで話すきっかけにもなったし、人間的にも面白い人だと知れました。
ーー業界内視聴率ナンバーワンの中川誠一郎コラムに、ファン投票ナンバーワンが対抗心を燃やしたということでよろしいですか?
はははは、僕はあんなにボキャブラリーがないですよ。ちょっとこれまで自分が美化され過ぎているというか、戸惑いがありました。僕は普通の人間ですから。それを分かってもらえたらいいですね。
ーー前回の中川コラムでは、平原選手を利用してやろうという趣旨の発言がたくさんありました。
読みました(笑)。逆に中川さんの読者にこっちも読んでもらえたらいいですね。これまではレースの振り返りがほとんどだったので、楽しく読んでもらえる内容にしたいです。
ーーコラムを書いている選手はたくさんいますが、松浦悠士選手とかは物事をすごく詳細に語りますよね。
彼は細かく分析しているし、それを言葉にもはっきり出しますよね。あんなに全部言えるのはすごいと思います。
ーー対して清水裕友選手はぼくとつとしていて、松浦選手とは真逆なタイプに映ります。
僕は松浦と清水なら、清水に近いタイプだと思います。分析はもちろんするんですけど、けっこう気分に左右される部分も多いんですよ。
ーーそれは意外な感じがしますね。では、黒い平原康多もこれからは出していきましょう。
はははは。
ーー今日は脇本選手が立川で20連勝を達成しました。彼の強さをどう感じていますか?
今に始まったことじゃないけど、競輪界で抜けていますよね。頭ひとつどころじゃない。一緒に走るたびに、まざまざと感じさせられますよ。
ーー個の力では相手にならない脇本選手を今後どうやって倒していきましょうか?
ラインの結束力で対抗するのはもちろんですけど、普通にまとまっても、その上をどうしようもないタイムでまくられてしまう。だから関東のみんなが個々にスピード域を上げて、その上で連係して初めて倒せると思います。今はどの地区がまとまっても、歯が立っていませんからね。
ーーとはいえ関東は若い力が育ってきました。平原選手からはどう見えていますか?
自分の中では、若い子たちの活躍の仕方がいいと感じています。眞杉匠、菊池岳仁、吉田有希、特にこの3人はビッグレースにおいて先行で勝ち上がっていく力がある。
ーー最近は、その3人と連係する機会が多いですね。
そういう選手たちが、すごい選手になるために魅せる走りをしてくれて、強くなってきている。勝ちたくてすぐに小さい走りをするのではなく、彼らは将来を見据えています。周りの目を引くし、僕の中でも評価が高いですね。きっと今後の糧になると思います。
ーー眞杉選手のブレークは、関東ラインに好影響を与えました。
眞杉がS級に上がった前後かな。勝てない時期も見ていたんですけど、彼の走りには一貫性がありました。これは何かのきっかけで化けるなと思っていたんです。そうしたら、いきなり来ましたよね(笑)。
ーー以前、眞杉選手が結果を出せなかった頃に、先輩選手から怒られている場面を見たことがあります。そういう“うるさ型”の先輩も必要と思うのですが、平原選手は、後輩に物申す時はどうしているんですか?
後輩達に厳しいことは言っています。でも言い方は厳しくないです。感情的に怒鳴ることはしませんね。レースの失敗は誰にでも起こることだし、相手の心を動かすには、次また頑張ろうと思わせてあげることが重要だと思うんです。
ーーそれって簡単に出来ることではないですよね。それが出来るのは、これまでの経験ですか? それとも元々の性格的なものなんですか?
両方だと思います。
ーー平原選手も怒られた時期はあったんですね? コイツうるせえなと思った先輩はいますか(笑)?
思い当たる人はいますけど、ここでは止めておきます。はははは。
ーー脇本選手の話に戻りますが、実は2人は仲がいいですよね?
あんなに強くなる前から良く話していて、それが今でも変わらないって感じですね。色々教えてくれるんですよ。
ーー敵に塩を送る余裕があるんですね。
いやいや、ワッキーは誰に対してもそうなんじゃないですか。実は、オールスターの間にも色々アドバイスをもらったんです。
ーーそれは体の使い方ですか? それともセッティングですか?
どちらもなんですけど、主に練習内容ですかね。どういう練習をして、それがレースのどこに生きるかを意識づけてやるということです。オールスターから中4日で富山記念だったんですけど、その4日間で試せたし、身になりました。
ーーオールスターは準決の落車もありました。よく満身創痍で富山を走ったなというのが正直な感想でした。
痛みはあったんですけど、今後のためにワッキーに教わったことを試したかったんです。自分の今後の方向性を見つけるという目的があったので体や精神がきつい状態でも、富山を走るのは楽しみでした。
ーーでは、その富山の話を聞かせて下さい。初日は、宿口陽一選手、吉澤純平選手の3番手になりました。予想外の並びだったんですが、その経緯は?
もともと陽一と純平は一緒に旅行するぐらい仲がいいんですよ。その2人が「関東3人でまとまりたい」と言ってきました。僕も2人には世話になっているし、3番手でいいから、あとは2人で決めろと。で、あの並びになりました。
ーー初日は2人の頑張りもあって1着でしたが、二次予選は吉沢選手の番手を渡部幸訓選手に割り込まれたシーンもあり、ヒヤリとしました。渡部選手は最近荒っぽいレースも多かったですけど、データはありましたか?
あのレースに関しては、渡部どうこうではなく、自分のミスでした。西武園の落車で内臓を打っていることと、股ズレもあって、車輪を差して回せず、純平から1輪空いてしまった。けがの影響があったとはいえ、渡部クラスになると、そこを見逃さないというのも良く分かりました。
ーー準決は佐々木悠葵選手の番手でした。実は、二次予選で付いた宿口選手が佐々木選手の走りに苦言を呈している記事を読みました。
そうだったんですか。実は、準決のメンバーが出た時に佐々木とは少し押し問答があったんです。最近の走りに自信がなさそうだったので、最初は自分が前でやるよと言ったんです。
ーーそれではさすがに佐々木選手もばつが悪いでしょう。
ですね。そうしたら彼が「待って下さい、頑張るので任せてもらえませんか」と。 で、任せることにしたんです。何かが変わるきっかけになれば良かったのでしょうけど、レースはうまくいきませんでした。でも、彼のポテンシャルが高いのも知っていますし、また次に頑張ってくれればいいですね。
ーーそれでも自力で力強くまくってピンチを乗り切りました。
あのまくりでワッキーのアドバイスと、自分の決めた方向性の正しさが証明できました。
ーーそこにつながるんですね。
オールスターでワッキーと話して、これまでの自分の考え方を取っ払うことができたし、オールスターの7日間で過去の自分は捨てました。
ーー富山記念を走っていたのは“ニュー平原”だったということですか。
実はそうなんですよ(笑)。決勝は勝てなかったけど、あれ以上は無理。あとゴールまで2メートルあれば、とは思いましたけど、限界までの力を出せたので納得はしています。
ーーさかのぼりますが、地元オールスターの感想もお願いします。ファン投票1位で臨んだ地元ビッグレースでした。
選んでもらって本当にありがたかったです。決勝に勝ち上がることは出来なかったけど、その経験も今後に生かしたいと思います。準決で落車したけど、(ファン投票1位の)責任もあるし、何とか最後まで走りたかった。最終日は吉田有希の頑張りもあって1着で終えることが出来ました。その時の歓声が、まるでGIを勝ったみたいで。ああ走って良かったなと思えた瞬間でしたね。
ーーこのコラムで好感度をさらに上げて、来年も1位に選んでもらいましょう。
1位で選んでもらえるのは今年で最後ですよ(笑)。
ーーそれは去年も聞きました(笑)。
そのためにも自分がもっと脚力を上げないといけませんね。ワッキーとはまだ明らかなフィジカルの差がある。背格好は似ているのに、以前は彼の自転車に乗ると、よくこんなの乗れるなという感じだったんです。でも、こないだのアドバイスの後には、少し感覚がつかめた部分もありました。
ーー来年もオールスターは西武園で開催されます。
その時までにしっかり精進します。
(※文中敬称略)
平原康多
Hirahara Kota
埼玉県狭山市出身。日本競輪学校87期卒。競輪選手・平原康広(28期)を父に持ち、その影響も受けて高校時代から自転車競技をスタート。ジュニア世界自転車競技大会などで活躍し、頭角を現していった。レースデビューは2002年8月5日の西武園。同レースで初勝利を記録。2009年には高松宮記念杯と競輪祭を制し、2010年も高松宮記念杯で勝利。その後もGⅠ決勝進出常連の存在感を示し、2013年は全日本選抜、2014年と2016年には競輪祭、2017年も全日本選抜などで頂点に輝く。最高峰のS級S班に君臨し続け、全国の強者と凌ぎを削っている。