2023/10/07 (土) 08:41
今年からガールズケイリンのG1が新設された。3大会あり、記念すべき第1弾は、6月に岸和田競輪場で行われた「パールカップ」。優勝は児玉碧衣だった。そして、今月4日に終わった第2弾は「オールガールズクラシック」は、佐藤水菜が圧倒的な強さを見せ、栄冠に輝いた。
レースを振り返ってみよう。尾方真生が前を取り、吉川美穂、久米詩、太田りゆ、児玉、佐藤、石井寛子で周回を重ねた。レース後、児玉のコメントにもあったが、前後にナショナルチームがいるというのは、非常にやりづらい。というのも、児玉はナショナル組に対して相当なライバル心を持っているからだ。逆に、ナショナル組も持っているだろうが、児玉には「ガールズケイリンを支えてきたのは私」という自負がある。
レースが動いたのは打鐘。児玉が一気に先頭へ飛び出した。尾方にしてみれば、児玉の先行、それもこれほど早く仕掛けるとは頭になかったかもしれない。児玉は児玉で、女王としてのプライドで先行したのだろう。決して体調が万全でない中、この選択は児玉らしいと言える。太田が捲って出るが、児玉のスピードの比ではなかった。その後ろで様子を見ていた佐藤は、この時点でサラ脚。余裕があった。最終2コーナーから佐藤が抜群の加速を見せ、1着でゴールを駆け抜けた。
佐藤も強かったが、このメンバーで堂々と逃げた児玉も素晴らしかった。「パールカップ」の時は、ナショナル組は出場していなかった。だからこそ今回、ナショナル組にはどうしても勝ちたかった。児玉には、負けてなお強しの印象を受けた。佐藤は、直前までアジア大会に出場し、ケイリン、スプリントで2冠。帰国翌日が前検日というハードスケジュールの中、完全優勝は立派の一言に尽きる。2着の吉川、3着は久米だが、佐藤、児玉に比べて、まだまだ見劣りしてしまった。
オールガールズクラシックは初開催のG1だったが、売り上げは、目標の25億円を5億円以上も上回る、30億3,670万3,700円と大成功だった。ガールズケイリンが始まって10年。この売り上げを見れば、オールガールズの開催を、普段から増やしてもいいのではないかと思われる。もちろん、力差があるので、一概には言えないが、少なくとも、チャレンジレースよりはファンの興味を引いているのではないか。あえてもの申すなら、今後は、しっかりとした判定基準を設けることだろう。最近は、ヨコの動きがある場面もある。競技ルールを守るのか、それともプラスして競輪のルールを組み入れるのかが問われる。キッチリした判定基準ができれば、もっと人気も出てくるだろう。それと、あくまでも彼女らはプロのアスリート、勝ってなんぼだということを改めて思ってほしい。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター