2023/09/24 (日) 01:47
若手の登竜門と言われるG2、第39回共同通信社杯は、深谷知広(静岡96期)が、若手の野望を打ち砕いて、見事、優勝した。深谷がG2以上の、いわゆるビッグレースを制したのは、2014年松戸のG2サマーナイトフェスティバル以来、約9年ぶりのタイトル獲得となった。
決勝は、渡邉雄太に深谷知広。新山響平、嘉永泰斗が単騎。佐々木豪に清水裕友、隅田洋介。近畿勢は三谷竜生に南修二。人気は、地元の新山と、準決勝で9番手捲りを決めた嘉永が集めた。
レースは中四国勢が抑えたところを、渡邉が巻き返し、深谷が続く。その後ろに新山。新山にとってはベストポジションだが、最終ホームから自力発進。後続を引き離し、優勝かと思われたが、渡邉から切り替えた深谷が、寸前で新山を捕らえた。嘉永も捲っていったが、深谷を越えられず敗れ去った。深谷はこれでグランプリでの賞金争いで圏内(共同通信社杯の終了時点で賞金ランキング8位)に入った。
売り上げは、目標の80億円には遠く届かない、69億4143万8300円だった。このところ、ビッグレースでは目標をクリアしてきただけに、反省が必要だろう。現地で戦った知人は、不満が多かったそうだ。まず第一に挙げたのが、レース順。今回は自動番組ということで一次予選、二次予選は、選考順位などで番組が決まる。追い込みだけのレースや、逆に、自力が多かったレースなど、運も左右される勝ち上がりだった。自動番組については、賛否あるだろうが、筆者は肯定派だ。毎回、同じような組み合わせでは、マンネリ感が半端ない。追い込み選手は、自力選手のありがたみを感じたに違いないだろう。
問題は、レースの順番だと言ってきた。初日は第3レースに新田祐大、第4レースに平原康多、第5レースに佐藤慎太郎、第6レースにオールスターを制した眞杉匠、第8レースに守澤太志、第9レースに古性優作、そして、第11レースに新山で、最終12レースに郡司浩平となっていた。
そして、初日の1レースの1番車は浅井康太だ。レース番を決めるのは、青森競輪場の番組編成だが、新田、平原を前に置いた意図が分からない。後半に向けて、盛り上がっていくべきだと思っているからだ。新田については、あまり午前中のレースを走ったことは記憶にないだろう。平原も同じだし、佐藤もだ。古性にいたっては、現在の賞金ランクトップで、今年はすでにG1を2回制している。レース番に関しては、こちらの方が売れると判断したから、このようなものになったのだろう。S級S班の選手からも不満の声は上がっていたらしい。
知人がもう一つ言ったのが、青森競輪場には電光掲示板がなく、レース終了後の結果が音声だけだったということに、驚いたという。これでは、金網の傍で見ている人間にとっては優しくない。音声だけでは聞き取れない時もあり、次の車券を買うのにタイムロスが生まれたという。ファンは、結果が出た瞬間に切り替える。的中したなら、プラスがいくらかを計算して、次のレースに入れる。電光掲示板は修理中だったのだろうか? もし、修理中であったのならば、ビッグレースに間に合わせられなかったのだろうか。目標を大幅に下回ったことと、少なくとも関係があるのかもしれない。関係者は、この結果をいかに総括するのかだ。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター