2023/08/14 (月) 14:58
夏の甲子園が盛り上がっている。スポーツ紙を見ると、「父は元〇〇の〇〇」という文言が目に付く。二世選手は何も野球だけではない。競輪選手の二世も頑張っている。今夏、北海道で開催された「高校総体(インターハイ)」の自転車競技で、2人の二世選手が金メダルを獲得した。
まずは、男子のスプリント。杉浦颯太(千歳高校)が優勝した。父は、北海道58期の杉浦康一。かつてはS級でも活躍し、現在もA級2班で頑張っている58歳だ。当初から優勝候補と目されており、地元開催のプレッシャーをはねのけての優勝は、将来が楽しみだ。スプリントで杉浦と並び、優勝候補に挙げられていた大塚城(星稜)は、S級に在籍する大塚英伸(静岡82期)の息子だ。惜しくも4位という結果に終わったが、こちらも楽しみな逸材だろう。
そして、ポイントレースで優勝した成田光志(学法石川)は成田和也(福島88期)を父に持つ。まだ1年生というのだから、今後の伸びしろに期待した。杉浦、大塚は競輪選手の道を歩むと思われるが、成田は種目もポイント、1年生ということもあり、将来は分からない。しかし、3人に共通して言えるのは、「自転車DNA」の凄さであろう。
楽しみな若手と言えば、UCI自転車世界選手権大会のトラック競技「男子ケイリン」で銅メダルを獲得した中野慎詞(岩手121期)だ。この種目で男子がメダルを獲得したのは、2020年の脇本雄太の銀メダル以来3年ぶり。「ケイリン」競走で、あと1周の時点で、6番手に置かれる最悪のパターンだったが、イチかバチかの仕掛けが届いた形だ。こういった度胸の良さを持つ日本人が増えれば、もっと世界で活躍できると思っている。加えて世界選初出場でのメダルは、来年のパリ五輪へ期待が膨らむばかりだ。元々、日本競輪選手養成所を早期に卒業した有望株でもある。
日本は毎回、五輪ではメダル有力と期待されてきたが、肝心な本番で結果を残せていなかった。2008年の北京五輪で永井清史がケイリンで銅メダルを獲得して以来、遠ざかっている。来年のパリ五輪に向け、どのように調整していくか。スタッフの手腕が問われることになるだろう。中野と同様に期待できるのが、太田海也(岡山121期)だ。世界選手権のケイリンの結果は8位だったが、十分に世界で通用する力を示してくれたと思う。女子に目を移せば、今回の世界選手権は残念でならない。この結果を受け、どう立て直してくるかだ。
中野、太田は15日に開幕する第66回オールスター競輪(G1)に参戦する。ハードな日程で調整具合は気になるが、中野にはメダリストらしい走りを見せてもらいたい。次世代を担う若手に対し、脇本雄太、古性優作、平原康多、新田祐大らがどう受けとめていくのかも興味深い。優勝候補の筆頭はやはり脇本だろうが、個人的には平原を応援したい。
Text/Norikazu Iwai
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター