2023/07/12 (水) 14:53
7月に入り、養成所を卒業した123、124回生が各地で続々と戦い始めた。本題の前に、デビューについて思ったことを書いておきたい。123、124回生は、5月に「ルーキーシリーズ」なるものを走り、プロとしてのデビューを飾っている。ただ、スポーツ紙を含む各メディアを見ると、7月からは「本格デビュー」と書いているところが圧倒的に多い。
デビューとは本来、「初めて」「始まり」といった意味である。そもそも、JKAが5月デビューを決めているのだから、「本格デビュー」という言葉は、メディアの造語であって、意味的にはおかしいと筆者は思っている。野球の場合は「1軍デビュー」「2軍デビュー」など、意味は分かるが、競輪に関しては、全く意味が通らない話しであろう。各メディアの表現は、その社の決めごとであるが、日本語として果たしてどうなのだろう。言いたいことは分かるが、やはりこの業界は、業界人だけが分かっていればいいという風潮なのだろうか。もっと言えば、JKAが各メディアに対して、表現方法を提示してもいいのではなかろうか。
さて、本題は「ルーキーシリーズ」である。以前、といっても数十年前には「新人リーグ」なるものが存在した。その結果によって、A1、A2、A3等に格付けされた。A級1班に格付けされるのは、確か数人だったと記憶している。A1なら初日は特選からスタートできるアドバンテージがある。だから選手は、皆、真剣に勝負していた。もちろん、今も真剣に走っているとは思うが、ハングリー精神とでも言うのか、それが違ったように思える。
実際に「ルーキーシリーズ」は、本場に行って、車券も買った。参考になるスポーツ紙のコメント欄には、ほぼ100%「自力」や「自在」の話しが載っていた。男子の場合は、それでも決勝になるとラインを組むようなコメントが出ていたが、予選、準決勝では皆無に等しかった。いざ、レースになるとコメントとは全く違い、マークに徹する選手が半数以上いただろうか? 車券を買うファンの立場にしてみれば、意味のないコメントだった。それ以上にレースが、酷かった。まるで養成所の競走訓練みたいに、最終ホームがゴールのように逃げていた選手もいた。卒業記念レースに行ったことがある人なら、分かる話しではあるが……。
結局のところ、「ルーキーシリーズ」で好成績を残さなくても、格付けは一律「チャレンジ」なのだ。あくまで筆者の個人的な意見だが、まるでトレーニングのように走っている選手もいるように感じた。これでは、お金を賭けている身にとっては、やりきれない気持ちになろう。「ルーキーシリーズ」を存続するなら、キチッと格付けするようにした方が良い。情報は養成所時代の成績だけでは、車券戦略も立てられない。ハッキリしたことは分からないが、おそらくではあるが、売り上げは伸びていないのではないだろうか。「ルーキーシリーズ」は廃止し、その分、養成所の卒業を1カ月延ばすことも考えていいと感じている。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
※掲載写真はイメージで本文の内容とは関係ありません。
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター