2022/02/26 (土) 09:42
今年初のG1となった「第37回読売新聞社杯全日本選抜競輪」の決勝が23日に行われた。決勝メンバーを見てみると、G1ノンタイトルは太田竜馬(徳島)だけという豪華な顔ぶれだった。成田和也(福島)も久しぶりのファイナルで気合が入っていた。郡司浩平(神奈川)、吉田拓矢(茨城)は勝ち上がれなかったが、戦前から見応え十分だと思っていた。
レースを見てみよう。単騎が平原康多(埼玉)、深谷知広(静岡)。福島勢が3人、中部近畿が2人。そして太田に松浦悠士(広島)。珍しかったのは、新田祐大(福島)が前を取らなかったことだ。9番車の松浦が号砲と同時に物凄い勢いで飛び出し、太田を迎え入れた。3番手に古性で、5番手から福島勢。単騎の深谷と平原は8、9番手からになった。果たして、誰が一旦は抑えて、前にでるのか? まずは深谷が動いていくのではと思い、テレビ観戦していたが、一向にに動く気配がない。中団の新田も一度は仕掛ける素振りを見せたが、結局は5番手のまま。意を決した太田が、そのまま先行勝負へ__。
近年稀に見る、単調なレースになった。この形態だと競輪を知らない人間でも、レースの流れがわかるほどだった。平原も位置取りに失敗した。深谷が一度は動くと思い、そこに付いていたのかは定かではないが、平原らしくない位置取りだったように感じる。新田が最終バックから捲ると、松浦も合わせて番手から捲る。直線に入り、一瞬の隙を突いた古性が松浦の内に入り、両者の踏み合いも古性が制して、昨年の「オールスター競輪」「KEIRINグランプリ2021」に続くタイトルを手にした。
グランプリを制したことで、古性はレースに落ち着きが出ていたように見えた。焦ることもなく、冷静に流れを見られていた。内に入るタイミングもドンピシャ。ちょっと遅れていたら、伸びも違ったであろう。いずれにせよ、古性の成長は著しい。今回不参加の脇本雄太とタッグを組めば、それこそ2人でタイトルのたらい回しもできるのではないかと思う。
売り上げは、目標の90億円を上回る91億2742万5000円で、前年の川崎を3.7%上回った。新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威をふるう中での結果としては、まずまずだろう。しかし、いつのまにか4日制G1の売り上げラインが90億円に設定されているように思う。やはり、最低でも100億円をラインにしてもらいたい。競輪も確かに売り上げは伸びているが、ボートレースや競馬の比ではない。何度も書いてきたが、目標設定が低すぎるのではないか。100億という数字に戻った時、またはそれに近い数字になった時に初めて、関係者には喜んでもらいたい。
Text/Norikazu Iwai
Photo/perfectanavi編集部(取手競輪場にて)
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター