2021/09/18 (土) 17:46
10月2日から新しい競輪である250競走「PIST6 Championship」が、千葉競輪場で始まる。千葉競輪場と言ったが、正式には「千葉JPFドーム」。地上4階、地下1階の多目的施設だ。千葉市は売り上げの低迷から一旦は廃止を決定したが、民間企業が立ち上がり、ドーム型の施設を作り、結果的に存続となった。そして先日、開幕発表記者会見も行われた。
概要を簡単に説明すると大会は2日制。1日を昼夜に分けて行われる。1レースは6人で争われ、6周回1500m。S級、A級の区別はない。賞金も上位3着までと厳しいものになってる。五輪競技としてのケイリンがモデルになっているようだ。ルールも国際ルールに準拠となっている。既存の競輪を知らない人間でも、スポーツ性を全面に押し出した250競走なら興味を持つかもしれない。ただ、開幕を目前に控えながらメディアでの説明が不足しているというのか、スポーツ紙で大々的に報じているところはないと感じる。盛り上がり感に欠けていると思ってしまう。
ここでいくつかの問題点を挙げていきたい。まずは級班の区別がないとなると、実力差がハッキリしてしまうため、車券的な魅力が薄れるのではないだろうか? また、国際ルールに準拠と謳っているが、果たして国際審判の資格を持っている人間が何人いるのか? ガールズケイリンも国際ルールに準拠のはずだが、国内で国際審判の資格を持っている人間は少ない。そんな状態でスタートしたから、ファンにとっては納得いかない判定も多々あると感じる。基本的には真っすぐ走り、横の動きは禁止されているのであるが……日本流のあいまいなルールだろう。競輪のイエローラインの踏み切り失格も「2秒程度」と、「程度」をつけるあたりは日本らしい。公営競技である以上、白か黒、明白なルールが必要だ。
観戦用座席は2000円と5000円。ただし、その場内で車券を買うことはできない。あくまでもウエブでの投票になる。レースをみるだけでこの値段について高いか安いか、判断が分かれるところであろう。あくまでもターゲットは既存のファンではなく、今まで競輪を知らなかった人間になる。欧米と違い自転車はマイナー競技である。どこまで浸透できるかがポイントになろう。
賭け式については、単勝が復活する。これは新規ファン獲得には良いことだ。知人の競輪選手を応援に来ても、それ以外の選手は知らない。そうなると車券を買わない。そういった意味では単勝復活は賛成である。1000円買って、1200円になる。これで満足できる人間なら、嬉しいことであろう。賞金が3着までなのもいい。既存の競輪は最下位でも賞金が出ている。これでは引退間近の選手も無事に走れば賞金を得られる。車券を買う側にとっては、納得できない部分でもあった。プロである以上、結果を残したから賞金を得るというのは当然だからだ。
良い点もあるのに、残念ながら周知が徹底されていない。五輪に出場した新田祐大や脇本雄太が走れば、問題なく勝てるだろう。将来的には短期登録制度を活用して、海外選手の参加も検討されているとのこと。そこで新田や脇本が五輪のリベンジを果たすストーリーなら盛り上がるだろう。
Text/Norikazu Iwai
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター