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古性優作に感じた村上イズム

2022/01/08 (土) 10:19

古性優作に感じた村上イズム

「KEIRINグランプリ2021」(静岡競輪場)は、大阪の古性優作が初出場、初制覇の快挙を成し遂げた。
関東3人、郡司浩平に東北勢、清水裕友と松浦悠士の中国勢。古性は位置を決めずに単騎で臨んだ。筆者は当初、静岡競輪場に足を運ぶ予定であったが、仕事の関係で行けなくなった。ネット投票にしようかとも考えたが、少しでも臨場感を味わいたく、サテライトに出掛けた。グランプリとあってサテライトは活況であった。寺内大吉記念杯を打ちつつ、その時を待っていた。

グランプリメンバーが決まった時は、平原の頭で勝負と決めていたが、時間が経つにつれ、そんなに単純な競走になるかと頭を悩ませた。先行するのは吉田拓矢でいいとして、宿口陽一が番手捲りを放てば、平原が有利なのは間違いないが、百戦錬磨の9人であることを思えば、平原とて早めに踏み込まなければならないだろう。
出した結論は、平原の2着付けだった。あとは、1着を誰にするか? 平原の後ろにいる選手が一番、優勝に近いはず。古性優作、清水裕友、郡司の3人を1着にして、3着は古性、清水、郡司に加え松浦悠士、佐藤慎太郎を選んだ。結果的には万車券を取れたのだが、予想では平原が直線で早めに抜け出したところを、その後ろが追い込むというもの。

平原の後ろは初手から古性だった。吉田が先行し、宿口が番手捲り。ここまでは100%。しかし、何と古性はすかさず捲ってでたのだ。これには平原も驚いたことであろう。平原だけでなく、多数のファンもそう思ったに違いない。古性としては平原の動きを待つのではなく、自分で決めてやるという強い気持ちがあったのだろう。平原が切り替えたが時は、すでに遅し。古性は独走でゴールを駆け抜けた。

レースを見ていて、村上義弘が優勝した2012年の京王閣グランプリを思い出した。あの時は深谷知広が打鐘過ぎから先行して浅井康太、村上で最終ホームを通過。村上は浅井の動きを待たず、バック前から捲って出て行った。レース後のコメントでは「自分のタイミングで出て行くと決めていた」と。今回の古性も全く同じであった。そういえば、車番を決める時、古性は敢えて4番車を選択した。「尊敬する村上さんが初めてグランプリを獲った時の4番車だから」。村上も古性に対して「同じ匂いがする」と言っていたと、どこかのスポーツ紙で見た。最近は目立った成績のない村上ではあるが、村上イズムはしっかりと受け継がれていると感じた。
ファン目線から言わせてもらえれば、古性は買いたくなる選手である。第一に、後方に置かれない強みがあり、何かをしてくれるという期待感があるからだ。聞くところによると、練習ではとことん自分を追い込むタイプであるらしい。表情をあまり表に出さない寡黙なタイプでもあるが、それが玄人受けするのかもしれない。この一年はグランプリチャンピオンとしての重責を担い走ることになるが、変にスタイルを変えず、古性らしいアグレッシブな競走を貫いてほしい。

Text/Norikazu Iwai

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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