2021/10/20 (水) 11:51
10月21日から始まるG1「第30回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」は、6年ぶりに新潟県の弥彦競輪場で行われる。唯一の村営競輪場として、弥彦は頑張っている印象が強い。日本でも名高い弥彦神社の敷地内にあるというのも興味を引く。山々に囲まれた雰囲気は長閑さを感じながらも、ファンの声援は熱い。筆者も何度か足を運んだことがあるが、スタンドとバンクの距離が近いため、迫力を身をもって感じることができた。余談になるが、弥彦神社は他の神社と違う参拝の作法である。多くの神社では二礼二拍手一礼であるが、弥彦神社は二礼四拍手一礼となっている。詳細までは把握していないが、弥彦神社に行くなら覚えていて損はないだろう。
平原康多選手(SS・埼玉87期)
さて、この開催で最も注目しているのは、平原康多である。現在(10月20日現在)の賞金ランクは7位。年末のKEIRINグランプリを考えると正念場だろう。以前、旧知の記者から「平原は賞金でグランプリに出ようとは考えていない」と聞いたことがある。要するに、G1タイトルを獲って堂々と出ることが、彼にとってのグランプリなのだ。今年は立川記念、大宮記念を連覇するなどいいスタートを切り、全日本選抜も決勝進出(8着)と決して悪くはなかった。しかし、歯車が狂い始めたのは日本選手権が終わってからだ。練習中の落車で高松宮記念杯を欠場し、その後も落車が続き、体はボロボロの状態に陥ってしまった。だが、ここにきて9月の松阪記念から前回の久留米記念まで完走できている。2場所前のG2共同通信社杯も優勝は成らなかったものの、準優勝と明らかに動きは良くなってきていた。本人の表情も明るいと聞いた。
平原は今でこそ埼玉登録だが、元選手の父・康広(28期・引退)の関係で幼少期から弥彦村近くの岩室で育った。特別な意識はないだろうが、心の片隅には地元意識があるかもしれない。その弥彦でタイトルを獲ってグランプリ出場を決めるストーリーは、日本人好みかもしれない。いずれにせよ、ここ数場所の動きをみれば、十分過ぎるほどの可能性はあるだろう。
山口拳矢選手(S2・岐阜117期)
もう一人は、やはり山口拳矢だ。9月に共同通信社杯を制したが、あくまでもG2である。本当に強いのか? これからいくつもタイトルを獲っていける器なのか? 今回は真価が問われるシリーズになりそうだ。これは筆者だけでなく、ファンも思うことであろう。最低限決勝に進出し、優勝できなくても3着以内に入れるような走りを見せてくれれば、期待は膨らむ。この他、グランプリへ賞金で凌ぎを削るボーダーライン上の選手達の走りにも注目していきたい。
Text/Norikazu Iwai
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター