2021/08/06 (金) 15:45
コロナ禍の五輪が始まった。その中で日本は前回のリオ五輪を上回るメダルを獲得(この原稿を書いている時点)するなど、好調だ。特に目を引くのが、私の世代には縁のなかった(?)スケートボード。自分の子どもと同じくらいの年齢の選手が活躍している。柔道も立派だったし、卓球にも感動。ソフトボールも金。中心選手の山田恵理の父は、元競輪選手だそうだ。そんな話しを聞くと、つい嬉しくなってしまう。個人的にはスポーツクライミングを見て、こんなに面白いのかと思った。
さて、自転車競技のトラックレース。女子ケイリンでは小林優香が準々決勝に進出。もしかして、決勝に進出してメダル獲得か?と、大いに盛り上がり期待した。ところが、5日の準々決勝で敗退。ネットで応援していたが終わった瞬間、私は物凄い脱力感に襲われた。ガールズケイリンで真の女王は小林だと思っている。決して洒落たコメントはないが、そこがまた実直でいい。可愛さを全面に押し出さず、真摯に競輪に取り組んでいる姿勢が、デビュー当時から好きだった。3年後のパリでリベンジを目指すのか? それともガールズケイリンに専念するのか? 今はまだ分からないが、やっと世界と互角に戦えるようになったのだから、パリを目指してもらいたいものだ。
男子はこの原稿の時点でスプリント、オムニアムが終了している。新田祐大は予選突破ならなかったが、脇本雄太が健闘した。予選ではタイム9秒518の日本新をマークした。30人参加で9番目とは驚いた。スプリントは中野浩一氏が世界選手権で10連覇を成し遂げ、1984年のロス五輪では日大の学生だった坂本勉氏が銅メダルに輝いたものの、その後は泣かず飛ばす。そこから注目はケイリンに移っていった。正直、大きな期待はしていなかったのだが、脇本は3回戦に進出と気を吐いた。気になったのは7日に控えるケイリン予選、8日の決勝への反動だ。脇本はそんな計算をするタイプではないだろう。それは普段の競輪を見れば一目瞭然だ。果たして新田、脇本の結果は? 次回に触れたいと思う。
その新田と脇本だが、10日に始まるオールスター競輪に出場予定となっている。10日が初日ということは9日が前検日になる。8日に五輪を終え、そのままオールスター競輪とは過酷すぎる日程だろう。仮に新田と脇本が金、銀を獲ったらメディアは黙っていない。他のメダリストと同じようにテレビ出演依頼が殺到するであろう。テレビ出演を断り、オールスターに出るのもどうか? もちろん、メダリストの雄姿を見たいということもあるが、オールスターは無観客が決定している。何よりも重要だと思うことは、競輪選手を世の中にアピールすることだ。そして、ぶっつけ本番でレースに参加させること自体が厳しいと考える。どう考えても、8日まで五輪に集中しているのだから、すぐに最高のパフォーマンスを演じられるか疑問だ。そのあたりをJKAなど関係団体はどう考えているのだろうか。目先の売り上げにこだわらず、「競輪」をアピールする。これが本当に最後のチャンスとなるだろう。
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター