2022/03/10 (木) 12:00 3
加藤慎平の「筋肉診断」。今回は大垣競輪「水都大垣杯(GIII)」に出場する谷口遼平選手を解説する。
⚫︎谷口遼平
今回の水都大垣杯は、地元の山口拳矢選手が出場するものの、中部地区全体としての戦力を考えるとやはり劣勢だ。そんな中、中部軍団のキーマンは谷口選手だろう。決勝戦に多数の戦力を送り込むには、谷口選手の活躍が必要だ。
谷口選手は、身長は169cm、体重は70kg(公式プロフィール上)。体格は完全に一般成人男性だが、れっきとしたS級1班の選手である。競輪選手のあるあるの1つに「公式プロフィールと実際のサイズ違いすぎ説」を唱えているが、彼の場合は現在でもさほど変わっていないだろう。体重は若干重くなっていると思うが、実際の見た目は明らかに細身だ。
筋力的なアドバンテージはないが、谷口選手の一瞬のスピードはGIでも充分通用する。どこにその瞬発力が秘められているのか。
ポイントは関節と腱の反射力にある。簡単に言うと、ペダルを高速に回す能力が優れている。要するにペダルを上から下へ、下から上へと切り返す速さだ。実をいうと、このペダルを動かすのに筋力的なパワーは必要ない。軽量級の彼だからこそ持ち合わせているスキルとも言える。
最近は落車や失格などもありリズムに乗り切れていないが、間違いなく彼のスピードは中部軍団にとって大きな戦力になる。持ち味の捲くりも格上選手との対戦時にも引けを取らないだろう。2次予選以降はまだ人気を集めない可能性が高い。狙うなら今だ。
⚫︎本レースで注目すべき選手は…?
斡旋されたSS級選手は平原康多選手、守澤太志選手、郡司浩平選手の3人。そこに山口拳矢選手が加わっての争いか。やはり平原選手、郡司選手の自在性が中心になるが、山口選手のスピードは二人を凌駕する可能性も。位置取りはSS二人に劣るが、互角以上に戦えるだろう。
山口選手のポイントは、中部軍団の選手をいかに決勝戦にのせる事が出来るかどうかだ。準決勝あたりでは、先行策を取らなければならない状況に置かれる事も考えられる。
加藤慎平
Kato Shimpei
岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。