かなり微妙な内容もあったが“近畿のマーク屋の序列について”は、お陰様で好評を得た。村上兄弟、稲川翔、古性優作、東口善朋に感想を聞いていないが、彼らは大きな心の持ち主である。毒舌ロートル記者の戯言だと思い、きっと許してくれるはずだ。各地区でこれをやって欲しいという声もあったので、第二弾として北日本について考えてみたい。

　昔からの歴史があるせいか(揉める事件も多かった)、こんなにタレント揃いの地区は他にない。北日本の総帥と言うか総統は誰が考えても新田祐大で間違いない。これにマーク屋の序列を考えた時に佐藤慎太郎、守澤太志、成田和也と続く。今の慎太郎先生なら、ここ1、2年で急激に脚が衰えるとは思えない。この先数年、この態勢が続いて行くはずだ。

　意外かもしれないが、慎太郎先生は、“気配りの人”だ。見えないところでの先輩や後輩へのフォロー、愛ある若手への叱咤と、カウンセラーや自己啓発本を書いたとしてもベストセラーになると思う。昔の南関のマーカーみたいに、いざこざがあった方がお互い切磋琢磨する。高木隆弘、東出剛、渡邉晴智が元気のあった時代は、認める、認めない論争があった。いつか守澤が慎太郎先生を抜いてトップに君臨する時が来るが、本人の性格を考えると、そこを追い求めていない。政治家で言えば、慎太郎から自然に守澤に政権を禅譲する形だろう。

　点数でなくマーク屋の序列なら4番手が大槻寛徳、5番手が和田圭だと思っている。大槻が弥彦の親王牌で菅田壱道を厳しく叱責したのは良い光景だった。今はサラリーマンレーサーに甘んじている和田だが、個人的には守澤以上の存在になれると思っている。これは本人の生き方だし仕方ない。荻原尚人や櫻井正孝のグループと違い、弟子達にも放任主義なのも面白い。

　基本的な脚力とポテンシャルがあるのだから、菅田は、近畿で言う古性優作の存在になれるし、なって欲しい自在選手。本人は絶え間ないトレーニングをやっているが、ここ1、2年、結果が出ていない。菅田が普段から良いレースをやっていれば、G1の決勝で、新田祐大が男気を出すと思っている。普段は捲りでも、ビッグレースの目立つところで菅田が、ラインに貢献してきたのは事実。

　ベテランマーク陣も良い味を出していて、齋藤登志信、内藤宣彦、竹内智彦は、存在感がある。竹内と大槻で同県同士の競りと言うのもあった。もう競る時代でないし、そう言われればそれまでだが、北日本はタテの鋭い追い込み選手ばかり。点数をアップした渡部幸訓、佐々木雄一、阿部力、大森慶一と、時代に合った走りをやっているが、成田和也の競走得点と同列には考えたくない。捨てゲームで競る姿を魅せるのも今後必要ではないか。

　どうしても古い記者だから、そこに行ってしまうのだが、佐藤友和と山崎芳仁の関係性だ。今の松浦悠士と清水裕友の走りをやっていれば、本人達だけでなく、周りにも、かなりの波及効果があったと思う。齋藤登志信はGII止まりだし、菊地圭尚は記念すら獲っていない。“たらい回し作戦”をやっていれば、北日本に、数多くのタイトルホルダーが誕生したと思っている。これは山ちゃんより、友和に聞きたい話だし、当サイトで企画物にして欲しい。今だから言える「友和の本音トーク」が炸裂して面白い企画になると思う。僕は、この手の話しをまとめるのが苦手だし、有能な敏腕記者達にお願いしたい。

　近畿と違い、北日本は自力があれば番手を回れる甘い風潮がある。それはS級トップからチャレンジまで変わらない。そこが稲垣裕之と山崎芳仁の差である。ただ、地味かもしれないが、登志信や内藤が3番手にいるとラインが機能する。ある意味、作戦は的確だし、ファン目線でレースを考えてくれるので車券は買いやすい。2段駆けのレースも、番手が勝つだけでなく、3番手を引き込む事も大切だからだ。