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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

平原康多の引退について

2025/05/23 (金) 18:20 14

 深夜に飛び込んできた、平原康多の引退のニュース。競輪界の末端にいる僕でも、衝撃的だった。

(撮影:北山宏一)

 もちろん、取材現場では、何度も顔を合わせているが、僕の立場では、情報を知るよしもない。だいたい、過去の大物選手でも、引退間近になると、噂が飛び交い、それが事実となるパターンが多かった。netkeirinで、平原康多のコラムを担当している記者は、秀逸で、選手との信頼関係も厚い。情報漏洩もなく、淋しいニュースとなったが、奇麗な出し方だった。

 関東の記者である僕としては、やはり、関東の選手に対して思い入れが深い。これまで、どれぐらい記者として平原康多に、世話になったか分からない。調べて貰えば分かるが、netkeirinのアクセス数は、何百万の単位だろう。

(撮影:北山宏一)

 まだ、コロナ渦の前だが、京王閣のGIで落車して途中欠場の開催があった。記者として、帰る時のひと言が欲しく、駐車場で出待ちしていた。痛々しい姿だったが、写真も撮り(普段は、落車している選手の写真はモラルからも撮らない)、本音ベースの言葉を貰った記憶がある。あとは、こちらも聞きづらい事があり、近寄ると「町田さん、物欲しそうな顔をしていますね」と笑い、平原選手自ら、言葉を発してくれた事もあった。毒舌記者としては、お世辞は言わないし、ファンが思い描いている人間性のままである。

 ただ、選手の走りとしては、前を残す事を美学としているので、車券は買いづらい選手だった。「番手から出るのは簡単。だけど、それでは自力選手が育たない」。この言葉を何度、聞いたか分からない。車券としては、前を庇わず、一気に踏んでくれる村上義弘や、武田豊樹の方が買いやすかった。

 これから関東の競輪はどうなるのだろうか。今の競輪は"個"の力より、地区の勢いが重視されている。あの神山雄一郎、武田豊樹でさえ、関東同士の競りがあった。僕の記憶が確かならば、平原康多は、このレアなケースを経験していないはず。平原康多と武田豊樹は関東の精神的な支柱だった。これから眞杉匠や吉田拓矢に、この役割が期待されるが、強烈なリーダーシップを発揮するタイプではない。小林泰正に、その気質があるが、まだ選手としての実績が足りない。やはり、眞杉匠の意識改革が、これから大事になってくる。

眞杉匠(左)と平原康多(撮影:北山宏一)

 限界を超えて、この決断に至ったのだろうが、解説者としてもS班になれる。あのトーク力があれば、本放送のCS、緩い番組のYouTubeと両方こなせる。何より、選手との距離が近いし、選手心理も詳しく語れて、そのギャップがない。苦しみぬいた選手生活でしょうが、もう、平原康多以上の選手は出てこないと思っている。

(撮影:北山宏一)

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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

町田洋一

Machida Yoichi

基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。

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