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近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

【尾張の龍・感謝】コラム連載を始めて1年が経った

2021/12/25 (土) 19:00 8

今月は豊橋競輪『奇跡の米女神のほほえみ杯争奪戦(FI)』と伊東記念『椿賞争奪戦(GIII)』に出場した近藤龍徳選手。今回は『浅井康太選手について』や『地元開催について』など読者から寄せられた質問にも答えてくれました。また2021年ラストとなる今回は『連載スタートから1年経って』というテーマで読者へのメッセージも。いつの時も本音で語る近藤選手、文末の語録も必見です!

レースが続いている近藤龍徳選手、12月は3場所を激走する(撮影:島尻譲)

 netkeirinをご覧の皆さま、近藤龍徳です。競輪祭の後、豊橋競輪『奇跡の米女神のほほえみ杯争奪戦(FI)』と伊東記念『椿賞争奪戦(GIII)』を戦ってきました。レースを振り返りつつ、来年に向けての意気込みを伝えたいと思います。

オレにとっての“頂点”の選手

 12月5日からの豊橋は2・2・3着とまとめることができたけど、自分は何も変わっていない。結果を数字で並べれば良く見えなくもないけど、初日は南潤君、準決勝と決勝は浅井康太さんに付いていっただけ。その豊橋、決勝レースの中継を見ていた人がnetkeirinさんに質問をくれたらしくて。「レース後の浅井さんとフランクに絡んでるけど関係性を教えて」という感じの(笑)。というわけで、今回のコラムは最初に浅井さんのことを書きたい。

 浅井さんは“凄い”のひと言。こっちから何かを聞けば、自分の時間を割いて、細かく丁寧にアドバイスをしてくれるし、それがことごとくハマる。オレたちが困っていることを、浅井さんはすべて通ってきているんだろう。だから、どんなことでも解決策を知っている。オレの中では『頂点の選手』にほかならない。あの人はマジでナンバーワン。

浅井康太選手は近藤龍徳選手にとっての『頂点の選手』(撮影:島尻譲)

 浅井さんと走る時、オレがやることはただひとつ。浅井さんの後輪に集中することのみ。豊橋の準決勝、雨の影響で周りの状況も掴みにくく、距離感もわからなくて。浅井さんとオレは6、7番手。それでもしっかり捲り切ってしまう。頭の中でレースの組み立てが正確にできているから「ここから行けば」が決まる。浅井さんはレースでほとんど後ろを見ない。それが一番凄いんだよな、オレの中では。

 ゴール後、敢闘門に引き上げていく間、ヘルメットをコツンと当てにいくと「タツ、どうだった? 強かった?」ってニヤニヤ悪い顔で聞いてくる(笑)。このやり取りが好きなんだよなあ。だからこそ、ついて行ってワンツーを決めたい。そのワンシーンを楽しみにしてくれている人もいるようだから、必死に食らいついていく。

レース後に“タツ”が近づくと“浅井さん”はニヤニヤしながら「どうだった? 強かった?」(撮影:島尻譲)

ふざけた話が9割、真剣な話が1割の桑原大志さん

 話は変わるけど、デビュー直後の競輪の厳しさも難しさも怖さも何も知らない新人のオレは「名古屋にGIタイトルを持ってきます」とかブチ上げていたっけ。まさに若気の至り。

 伊東記念の2日目に北津留さんと大志さんと連係した。オレは大志さんと色々話をすることが多い。ふざけた話が9割、真剣な話が1割ぐらいの割合。この開催で大志さんから言われたことがある。「タツ君、昔は競輪なめてたじゃん。なんか最近はなめれてないね」って言葉だった。大志さんはどっちのテンションで声をかけてくれたのかな。

伊東記念の開催中に桑原大志選手と話をした(撮影:島尻譲)

「なめる」って言葉は決して聞こえがよくないかも知れない。でもこれはオレの中で変換するなら『自信がある』ってこと。オレは調子が良い時に「自分最強!」とか「どこからでも届くな」とか、『根拠なんてどうでもいい自信』があった。「なめてかかる」くらいがオレの持ち味のはず。周りの人がヒントをくれる。忘れてはいけない“オレらしさ”がある。来年は上手に尖って、上がっていこう。

伊東記念「椿賞争奪戦」準決勝は4着(写真4番車が近藤選手 撮影:島尻譲)

なぜ地元だと気合いが入るんだろう?

 これを書いている今、まだ年末の静岡も残っているけど、来年初めの名古屋開催に思いを馳せてる。今から気合いが入るし、そこを目指して練習の日々。以前、読者の方から質問があった。『競輪選手は“地元3割増し”ってよく言うけど、何で地元だと気合いが入るんですか? タツもいつも高ぶってる気がするし』って。オレも地元名古屋でレースとなれば気合いが入る。こういう質問ならすぐに答えられる。

 と思ったけど、理由を突き詰めて考えてみると、これが意外とわからない(笑)。なんでなんだ(笑)。頑張るのはどこの開催でも一緒だし、地元じゃなくても声援が多いことだってある。名古屋のFIは決勝を外した記憶がないけど「オレ、バンク特性を分かっているから地元では負けない」とかも思わんしなあ。

 オレの中でハッキリ言えるのは、地元戦は『オレが主役』の気持ちで走るってこと。主役だから勝ちたい。来期は2班のスタートになるけど、そう思って走ってもいいでしょ。どの位置にいても関係ない。地元ではオレが主役。この持ち場は誰にも譲らない。この気持ちだけは確かなもの。

コラムを書き始めて1年が経った

連載を始めて1年が経つ(撮影:島尻譲)

 このコラムも始まってもう1年か〜と振り返った時、最初にこの連載コラムの話がきた際に生意気にもお断りさせていただいたことを思い出した。言ってしまえば『やりたくない仕事』だったな。自分のSNSは思ったことを気軽に発信していれば良い。結果が良いときも悪い時も、自分の都合よくコントロールできた。周りにどう受け取られようが気にしてなかった。

 コラムを連載するということはやったことのない『仕事』をするということ。書きたくない時も、特に言えることがない時も書かなければならない。月一回必ず書き続けるってのに縛られるのがなにより嫌だった。「今は書きたくないから」が通用しない。締め切りも待ってくれない。いただいた競輪以外の仕事。与えられた競輪以外の場所。

 発言することに照れくさい時もあったし、恥ずかしい時もあった。オレなんかがって何度も思った。他の連載している選手達は赤いレーサーパンツを履いている。オレは別に強い選手じゃない。そんなオレの言葉には説得力がない。ただの1人の競輪選手。

 そんな選手のコラムを楽しみに読んでくれていたファンに感謝しています。このコラムを通して決意を語って、勇気をもらってたのはいつしかオレの方でした。サンキュー、また来年!

今月の近藤龍徳語録!!

競輪選手たるもの、レースで魅せてなんぼ

 言葉だけじゃなく、走りで伝えていけるように。


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近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

近藤龍徳

Kondo Tatunori

愛知県名古屋市出身。日本競輪学校101期卒。競輪一家に生まれ、競輪一家に育つ。学生時代から頭角を現し、高校総体チームスプリント・高校選抜ケイリンで優勝。レースデビューは2012年7月10日の一宮競輪場で、翌日11日に初勝利。その後も活躍を続け、2014年ヤンググランプリを制し、翌年にはサマーナイトフェスティバルで頂点に立つ。自身が目立つことで競輪界を盛り上げると公言しており、最終目標は「スーパースター」としている。ファンからは”夜王”の愛称で親しまれ、競輪の魅力を発信しながら交流を深めている。

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