2021/09/02 (木) 12:00 4
加藤慎平の「筋肉診断」。今回は向日町競輪「平安賞(GIII)」に出場する脇本雄太選手を解説する。
⚫︎脇本雄太
公式プロフィールでは身長180cmと長身の部類に入る。体重は72kgとあるが、今は間違いなく増えているはずだ。
デビュー当時を思い返すと、たしかに線の細さが目立っていた。明らかなパワー不足を感じさせる事もあり、レースの重厚感に欠け、頼りない印象すらあった。
しかし、今では世界基準のボディーを手に入れ、日本代表の地位を確固たるものとしている。長きに渡り在籍した、自転車競技ナショナルチームでのトレーニングと食事法のおかげだろう。
そんな脇本選手の四肢(手足)は、日本人離れして長く、付随する筋肉量も充分にある。そのうえ股関節と肩甲骨の柔軟性が高い。長身にもかかわらず器用で、自転車を速く走らせる為の身体的条件がすべて揃っていると言えるだろう。脚力が世界基準なのもうなずける。
世界を掴みかけた『ユータワキモト』のレースが、国内競輪で継続的に見られる事が楽しみでならない。
余談だが、筆者は脇本選手とはよくプライベートで一緒にゲームをしている。
夜な夜なオンラインで集まって一緒に遊ぶのだが、脇本選手はめちゃくちゃゲームが上手い。腕前は『世界基準』と言っても過言ではない。僕の周りにもゲーマーは沢山いるが、その中でも群を抜いている。
しかも付き合いの良さも一流だ。朝方まで付き合ってくれた事も多々ある。きっと彼は「オタク気質」なのだろう。東京オリンピックが終わったいま、心ゆくまでゲームを楽しんで欲しい。
⚫︎本レースで注目すべき選手は…?
見所は東京オリンピック組の脇本雄太選手、新田祐大選手のSS級レーサーだ。国内復帰戦のオールスター競輪を経て、間違いなく400バンクにも、クロモリ製自転車にもアジャストしてくるだろう。
さらに、賞金ランキング1位の松浦悠士選手も出場する。この3名が4日間の中心となりそうだ。
唯一割って入るとすれば、S級1班の22歳・眞杉匠選手か。眞杉選手のスピードがSS級三強にどこまで肉薄するのか、筆者も注目している。
強者にスピードタイプが揃った向日町記念、まだまだ暑さが残る夏の京都のハイスビードバトルから目が離せない。
加藤慎平
Kato Shimpei
岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。