2025/11/09 (日) 12:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は小田原競輪場で開催されている「北条早雲杯争奪戦」の決勝レース展望です。
これまでは8月に(23年は4月)に開催されてきた【北条早雲杯争奪戦】ですが、今年はスタンドの解体工事もあって、開催時期が11月にずれ込みました。
真夏に行われていた頃からすると、かなり過ごしやすくなった感もあります。それでも、秋を通り越して、一気に冬を迎えたようなこの寒さは選手たちには堪えますね。
この解体工事で1センターのスタンドが無くなり、ホームが向かい風となりました。これで影響を受けるのは先行選手たちであり、レースを見ていても逃げ切りが決まらなくなった印象を受けました。
それでも小田原は333バンクかつ、「すり鉢」とも呼ばれるほどにカントもキツいので、先行したラインが有利であるのは間違いありません。
それもあってか杉浦選手、松井選手、中野選手と、今大会でバックを取っている選手たちが決勝に進んできました。残念だったのは、準決勝で前受けをしながら、抑えられた時に後方まで下がってしまった新山選手です。
グランプリ出場に向けての賞金争いも激しくなっているだけに、ここは確実に決勝に勝ち上がるためにも、積極的なレースを見せて欲しかったとの思いもありました。
そう思うと、初日から常にバックを取り続けているだけでなく、準決勝でも2着に粘り込んだ杉浦選手は持ち味を存分に発揮しています。
移籍して成績を落とす選手もいる中で、杉浦選手は移籍後のFIでは2度に渡って決勝へと進出。そして、【北条早雲杯争奪戦】でも、栃木に所属してからは初の決勝進出を果たしました。
杉浦選手としては同じ栃木に、同世代の眞杉選手がいるのは刺激になっているはずです。また、関東地区の番手選手はS級の層が厚く、結束力も強いだけに、これまで以上に先行選手として活躍していきそうです。
結束力と言う意味では、この決勝に4名が勝ち上がってきた南関東地区も侮れません。自力選手の層も厚く、SS班には岩本選手、そして現時点の賞金ランキング9位の深谷選手もいます。
この決勝にも郡司選手と松井選手が勝ちあがってきました。この2人が同じ番組となった時には松井選手-郡司選手の並びが多いのですが、初日の特選では郡司選手-松井選手の並びとなりました。
郡司選手は初日のコメントの中で、「今後(のレース)も見据えてと、(松井)宏佑も人の後ろを回ることで動きや気持ちなど得られるものもある」と話しています。南関東の並びは、松井選手や深谷選手がラインの先頭を走ることが多く見られます。ただ、それも調子次第で決めていけるのならば、更にラインでの結束力は強くなるだけでなく、勝ちあがりも楽になっていくはずです。
この決勝の並びも初日の特選と同様に、①郡司選手-⑨松井選手の並びとなり、その後ろを⑤和田選手-⑥菅原選手が固めました。
4名ともに地元(神奈川)の選手であり、ラインの先頭を任された郡司選手は、ラインから優勝者を送り出すべく、積極的な走りをしてくるに違いありません。
関東ラインは④杉浦選手-③鈴木選手。⑦中野選手の後ろには、過去に連係実績のある⑧橋本選手の混成ラインとなり、②山田選手が単騎戦となりました。
車番を生かしてスタートを取った郡司選手が前受けをするようならば、その後ろが関東ライン、切れ目を狙っている山田選手で、8番手が中野選手となります。
後方となった中野選手は前を抑えに行きますが、郡司選手は突っ張らずに中野選手を前に出して、中団から杉浦選手の先行を待つと見ています。
先行した杉浦選手を郡司選手は早めに捕らえにかかりますが、杉浦選手がかかりきっていて、郡司選手の脚色が悪くなるようならば、松井選手が早めに番手捲りへと切り替えてくるはずです。
この展開となれば、3番手にいる和田選手との裏表が3連単の本線となります。また、直線が短い小田原バンクだけに、松井選手だけが出切ってしまうと、後ろには杉浦選手の後ろにいる鈴木選手と、捲ってくる中野選手が2着に入ってきます。
穴となるのが杉浦選手と郡司選手が叩き合いをして、中野選手の捲りが決まる組み合わせとなりますが、この時は橋本選手や山田選手も車券に絡んでくると、かなりの高配当も期待できます。
印としては◎⑨松井選手、〇⑤和田選手、△⑦中野選手、×①郡司選手に打ちます。印を振っていない選手の中では、杉浦選手の先行から抜け出してきそうな③鈴木選手に注目しています。
準決勝が行われた3日目には、3連単での10万車券が3本も飛び出していました。最終日の小田原の天気は雨予報であり、決勝が行われる午後4時過ぎには風速も強くなるようです。重いバンクコンディションと、思わぬところから吹き込む風が、波乱を巻き起こす可能性はありそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。
