2025/03/27 (木) 08:00 6
ウィナーズカップは古性優作の優勝で幕を閉じた! いやー、それにしても、あの決勝メンバーでの小回りバンクは“展開ひとつ”としか言いようがない。レースを振り返ると、寺崎浩平が新山響平を受けると郡司浩平がすかさず仕掛けるも寺崎が合わせ不発に。最終2コーナーから眞杉匠が会心のまくりを放ち、優勝かと思いきや、さすが古性! 絶妙なブロックで止め、最後は縦脚を伸ばして優勝。古性の捌き、逃げた新山の粘り、これはもう手に汗握るナイスレース!
今回、改めて思い知らされたのは、7車立てと9車立ての決定的な違い。7車立ては「順番が来たら!」みたいで行けるんだけど、9車立てはそうはいかない。初手の位置取りが、もう命取り。全日本選抜でも感じたが、小回りバンクは特に“先手必勝”ということ。後手に回った時点でもう挽回不可能レベル。これをどう打開するか? それがトップレーサーたちの腕の見せ所。競輪は、ただの力勝負じゃない。戦略がモノを言う奥の深いスポーツ。だからこそ、想像力が掻き立てられるんだよね。ボケてる暇なんてない!
さて、ウィナーズカップの興奮冷めやらぬ中で開幕する前橋GIII。S班は不在だが、骨太なメンバーが揃った。まずはベテラン荒井崇博。昔ながらの競輪を醸し出し、縦脚も健在。宇都宮FIでは弟子の橋本瑠偉とワンツーを決めていた。これはもう、別格。和田真久留はオールラウンダーに変わりつつあり、このバンクなら打ってつけの戦法がハマるはず。さらにかましまくりの佐々木豪、上昇気配の鈴木玄人、ベテランマーカー小倉竜二、直線強襲の東口善朋も侮れない。
どこからでも狙える曲者揃いの競演は一筋縄ではいかない! すんなり決まる事もあるが、それ以上に高配当の夢が広がる。このバンクなら前から飛びつけば内が有利。自力自在型を軸に勝負どころで前々に攻める菅原裕太、安彦統賀は面白い。そして、最近はちょっと停滞気味なものの五十嵐綾にも期待できる! さあ、どんなドラマが待っているのか、ワクワクが止まらない!
五十嵐の走る9Rを狙ってみる。まず並びから整理する。⑦小川丈太-①阿竹智史-⑧連佛康浩の中四国、⑨安彦統賀-②志村龍己の関東コンビ、④五十嵐綾-③荻原尚人で東北コンビ、南関は⑥塚本瑠羽-⑤二藤元太の細切れ戦となっている。
初手は荻原がスタートを決め、五十嵐の前受けからになる。あとは枠なりで小川、安彦、塚本の順(⇐④③・⑦①⑧・⑨②・⑥⑤)。これなら塚本が押さえ、安彦が切る展開になる。まくりたい安彦は小川を行かせれば中団が取れる。阿竹が展開有利に抜け出し恵まれ小川の残り①-⑦、この後ろを取った安彦がまくり強襲逆転①=⑨までが本線になる。
さて妄想は『阿竹がスタートを決め、小川の前受けになる時』だね。枠なりでこのあとを安彦が追う。そうなると五十嵐が切り、塚本を迎え入れる。逃げたい塚本を安彦が叩いていき、両者もがき合いの展開が出来上がる。脚をためる五十嵐がまくって荻原との④=③。小川、阿竹が力で強襲する展開まで妄想し①③④⑦ボックスを〆にしとくかね。
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。