2025/01/09 (木) 12:00 21
和歌山競輪場の大阪・関西万博協賛「開設75周年記念 和歌山グランプリ(GIII)」が1月10〜13日に開催される。昨年大会は古性優作(33歳・大阪=100期)の貫禄勝ちといっていいだろう。近畿の総帥として、危なげのない4日間の立ち回りだった。本人としては道中に物足りなさを感じていたようだが、最終日に向けて修正。
後ろから見た腰の高さ、といった箇所を東口善朋(46歳・和歌山=85期)に聞くなどし、少しずつでも上昇を企図していた。ただし、このシリーズ後もしばらくは「う〜ん」と古性が納得する感じはなかった。成績は残せていても、実感するのは「弱い」ということだけ。昨年前半の古性の表情には陰りがあった。
「晴れやかでしょう!」
こういって光を見つけたと喜んでいたのが5月いわき平ダービーの前検日のことだ。ナショナルチームの練習に参加したことで、「自分の甘さを知った」。覚悟ができたことで、長いスパンで強くなる道が見えた。そして、その後のGI2回の優勝とグランプリ制覇につながった。
まだ道の途上。もっと、強くなる。
ちょうど一年前には、和歌山記念の前検日で「今年のキーマンは寺崎浩平君」と古性は話している。間違いなく寺崎浩平(31歳・福井=117期)の昨年は一皮むけたものであり、今年は“獲る”一年に向かう。今開催は寺崎はいないが、窓場千加頼(33歳・京都=100期)がそれ以上の走りを見せるか。
窓場としては、近畿ラインで決める、また古性とのワンツーを狙いつつ、“自分が1着で…”の一年にしないといけない。「昨年は要所要所で2着だった。それがなぜ2着だったのかを突き詰めて」の一年に挑む。オールスター決勝や、向日町記念(平安賞)決勝の脇本雄太(35歳・福井=94期)との激闘の末の戦いは素晴らしいものではあっても、ゴールではなかった。
念頭から近畿地区の大事な記念があり、ここでインパクトを与えられるか。窓場にとっては、すでに正念場だ。地元和歌山勢も脇役にとどまらない。キーマンは窓場であり、また中釜章成(27歳・大阪=113期)といった名前も挙がりそうだが、石塚輪太郎(31歳・和歌山=105期)や南潤(27歳・和歌山=111期)も重要な役割を求められる。
新山響平(31歳・青森=107期)の長い一年も始まる。昨年の終盤に波に乗れたことで、今年も変わらない新山らしい走りが見られると思う。初のS班として参戦予定だった岩本俊介(40歳・千葉=94期)は欠場となってしまった。体調を整えて、もう一度しっかり準備して出走してほしい。年齢を重ねてのS班なので、焦らず、構えてほしい。そしてレースでは、攻めてほしい。
菅田壱道(38歳・宮城=91期)、松本貴治(31歳・愛媛=111期)は今年のGI制覇をかなえるためのスタートシリーズ。ヤンググランプリを衝撃のコース取りで制した纐纈洸翔(22歳・愛知=123期)は、ラインの先頭でどう戦っていけるかを、もう一度つくり直していく。
古性の一年間が、競輪界の一年になっていく。際立つ強さ、競輪選手としての抜きんでた姿勢は、他の選手の憧れ。しかし、憧れるだけじゃない奴らばかりが揃っていて、キバを研いでいる。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。