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前田睦生の感情移入

【競輪の連係】番組マンの意図と選手としての信念、並ぶべきか…悩む…

アプリ限定 2024/11/09 (土) 12:00 39

法月成祐は悩みに悩んだ

並びであまりにも悩むケース

 立川競輪場で8日に初日を行ったFII「東京スポーツ杯」だが、2日目のメンバーが発表されると、法月成祐(50歳・神奈川=77期)が熟考に入った。「どうしたらいいでしょう…」。パターンが多く、優先順位も分かりづらいものだった。

 12Rの準決は7車立ての3分戦で、他のラインが2車ずつ。一つは村上竜馬(28歳・広島=115期)ー牧剛央(51歳・大分=80期)なので、地区的にその後ろはない。

 可能性を残すのは、治田知也(26歳・新潟=121期)ー渡辺航平(47歳・東京=79期)の関東ラインと、菅田謙仁(32歳・宮城=109期)ー金子兼久(47歳・宮城=81期)の宮城コンビ。法月は初日に荒川達郎(25歳・埼玉=123期)ー渡辺の3番手を回っており、「渡辺君の後ろに付くべきなのかな…」。

 しかし、「菅田君と連係したこともあるんですよ」。むむむ…。

番組マンの意図を汲むことも

現場では密着取材を図る熱心な記者の姿がある

 番組の意図として想像できるのが、関東ラインの3番手だ。渡辺の地元の立川という場所で、ライン3車にするには…。初日の連係がヒントとなり、法月は渡辺の後ろを選択しやすい状況ではある。

 ただし、選ぶのは選手であって、意に沿う必要、義務はない。時には、「む、番組さんはこういう意図ですよね」と考慮して、それに沿うようなこともある。基本的には自由なので、興味深いシーンなのだが、選手としては本当に決められない場合もある。

 今回の法月は、「単騎で、自分でやる」と決意したわけだが、こうした並びについての考えを取材することは、楽しい、ともいえる。人間が走り、人間模様が織りなすのが競輪のレース。3番手を固めることがセオリーといえる場合でも、勝負がかかっている状況で我を通さないといけないこともある。

今まで、を尊重するレーサーも多い

服部克久は心で走った

 またこの初日の3Rでは服部克久(43歳・熊本=90期)が、ケガでボロボロの体の中、奮闘するシーンがあった。服部は同県の下田和美(51歳・熊本=72期)に任される形だった。直前の和歌山でも連係したが、実っていない。

 それでも下田は「カツ(服部)に任せる」と話した。服部としては「下田さんは練習仲間でずっとお世話になっている人。和歌山で失敗しているし、北日本の後ろとかに行ってもらっても」と考えていたが、下田は今までの関係を重視して、服部を信頼していた。

 レースでは服部が中団確保から伸びて3着。近況の不振の中、動きが良かった。「ホームで1車になっていた高橋舜(23歳・宮城=125期)君にスイッチできれば一番良かったし、下田さんにもチャンスが…」と振り返っていたが、現状でできる苦闘は明らか。下田は自身の着は良くなくても「カツは、戻るバイ」と復調へ太鼓判へ押していた。

「下田さんが任せてくれて、気持ちが入った」。苦しい時に、仲間が背中を押してくれることもある。並びを決めることは、ただそれだけでなく、仲間への思いを伝える事でもあると、改めて感じさせるシーンだった。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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