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前田睦生の感情移入

【吉岡カップ】阿部英斗、師へ捧げる4日間の“魂走”ーー心の底からの思い

2025/08/07 (木) 12:00 3

現地取材時の吉岡稔真氏

小倉では珍しいデイGIII

 4日制以上のGIを開催する年度は周年記念を開催できない。競輪発祥の地である小倉は毎年競輪祭(GI)を行うことになっているので、周年記念はない。協賛競輪などのGIIIが時折あって、今回は第14回大阪・関西万博協賛「第19回吉岡稔真カップ争奪戦(GIII)」が8月8〜11日に行われる。

 8月8〜10日は宇都宮競輪「第1回女子オールスター競輪(GI)」がナイターで開催されるので、デイ、ナイターと豪華な組み合わせになっている。小倉GIIIは吉岡稔真氏の名前が冠されており、FIとはまた違い、小倉勢にとってはさらに「優勝したい」「優勝しないといけない」という切実さがにじむ。

 園田匠(43歳・福岡=87期)、小川勇介(40歳・福岡=90期)が弟子としてデビューし、不動會は多くの賛同者もまじえ、競輪界の一角をなしている。岩谷拓磨(28歳・福岡=115期)と阿部英斗(21歳・福岡=125期)にとって今回は特別なシリーズになる。アヤトの思いとは…。

阿部英斗が師匠に力強い走りを届ける

別格の緊張感

 昨年7月の吉岡杯では小川が優勝した。闘病中の吉岡氏が表彰式に駆けつけ、栄誉を称えたシーンは誰もが心を震わせた。園田や小川はオールスター競輪に出場するので、今回は岩谷と阿部が師匠のために、熱い走りと、最高の結果を届ける役目を果たす。

 アヤト…。小倉競輪場は子どものころからあこがれたステージ。競輪が大好きで、競輪に憧れて、今、選手として走っている。その走りぶり、熱量は一撃で伝わってくる。今年は5月の平塚記念(湘南ダービー)の落車失格で、相当な重傷を負ったのだが、気持ちひとつで早期に復帰。変わらない攻めを繰り出している。

 気持ちで戦うのが競輪。スピードを競うのではなく、意地をぶつけるのがアヤトの戦いだ。特別な4日間、4走。目に焼き付けてほしい。

落車後の岩谷拓磨は…

岩谷拓磨が底力を見せる

 岩谷は直前の富山記念(瑞峰立山賞争奪戦)2日目に落車しているが、“だからこそ”がある。そんな時にこそ、を見せられるか。タクマは大きな注目を集める。普段は柔らかな話しぶりで、愛くるしいキャラクターでも、今回は鬼にならないといけない。

 富山の時にも「次があるんで」と流れを作りたいと燃えていた。結果は落車だったが、根性を見せるしかない。そしてそれは、タクマはもう一度大きなところに挑んでいく選手だと示すチャンスでもある。

 林大悟(30歳・福岡=109期)、林慶次郎(28歳・福岡=111期)の兄弟にしても、松尾透(40歳・福岡=96期)、柳詰正宏(37歳・福岡=97期)にしても、山本浩成(27歳・福岡=119期)にしても…。そして小倉の仁義者・大坪功一(48歳・福岡=81期)にとっても特別な大会。小倉祇園太鼓、わっしょい百万夏まつり、小倉の熱狂は実直で勇壮な猛者たちの衝動。燃える戦いから目を離さないでほしい。

“吉岡稔真”は不滅の英雄


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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