2024/11/06 (水) 12:00 12
四日市競輪場で「開設73周年記念 泗水杯争奪戦(GIII)」が11月7〜10日にナイター開催で行われる。パリ五輪に出場した中野慎詞(25歳・岩手=121期)はケイリンで決勝に進出。なんとか銅メダルか…という形に持ち込んだが、最終4角の落車で無念の結果に終わった。
早くから北日本の次世代エースとしての期待をされてきて、五輪で大きな結果を…。それはまだ成就しなかったものの、鎖骨骨折のケガを治療し、直前の函館FIは3連勝。守澤太志(39歳・秋田=96期)を重い函館バンクで振り切った。
守澤は今回も一緒で、S班の新山響平(30歳・青森=107期)、佐藤慎太郎(48歳・福島=78期)と北日本に豪華メンバーが揃った。新山は賞金争いの“ド”がつく渦中にいて、シンタロウも可能性を残すところ。ただしそれ以上に「中野が競輪祭にいれば、北日本あるぞ!」と思わせることができるか…がある。
北日本勢の随所の活躍は明らかだが、他地区に比べれば苦戦していると言っていい。そのどこか灰色の空を、中野が吹き飛ばすか、に注目したい。
眞杉匠(25歳・栃木=113期)と松浦悠士(33歳・広島=98期)は11月3日にサテライト水戸で一緒にトークショーを行っている。競輪的な地区でいっても敵同士ではあるのだが、競輪を盛り上げよう!という点においては仲間。呉越同舟ということで、普段の柔らかい笑顔とレースぶりが正反対の2人のセットは興味深かった。
2人とも、10月弥彦の「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」の動きは良く、準決敗退となったが、競輪祭も楽しみ、と率直に思わせるものだった。それぞれ関東、中四国で援軍も多い構成。北日本もだが、決勝に数多く上がれるかが重要になる、普通は…。
“普通は”なのだ。青森記念決勝がある。北日本大結束としても、眞杉や松浦は、その時はその時で、と何でもできるので、もしかしたら頭が痛いのは新山だけなのかもしれない…。
頑張れ! キョウヘイ!
ここでやっと名前を出すことになるのが失礼で申し訳ないのが、地元の浅井康太(40歳・三重=90期)だ。昨年大会を経験と気迫で制した。衰えることのない競輪仙人の美技が光った一戦があった。無論、今回も…。浅井に年齢は関係なく、よどみなく流れる川のように、走り抜く。
輝きを取り戻してほしいのは柴崎淳(38歳・三重=91期)だ。壊れた腰は天才を地上に降ろしたものだが、まだまだGIでもう一度の期待はかけられる。寬仁親王牌の最終日は気持ちを見せる1着。かつての天才の泥臭い走りに込められていたものは何だったろう。
来年5月の日本選手権競輪(ダービー)は名古屋競輪場で開催される。出場が危ぶまれている柴崎で、まだ来年1月まで選考期間があるとはいえ、切羽詰まっている状況だ。地元記念でヒットを飛ばし、出場安泰まで。歯を食いしばって、勝ち上がっていく。
10月京王閣記念の時の「ルーキーシリーズ2024プラス」は森田一郎(23歳・埼玉=125期)の完勝だった。今回の注目は、山崎歩夢(19歳・福島=125期)。京王閣記念の時のエントリーでも書いたが、ひるむことは必要ないと思う。
本デビュー戦での、ある意味、衝撃的な失格。先頭誘導員早期追い抜きだったのだが、かなり追い抜いてしまった。しかし、長嶋茂雄の初打席を思い起こしたオールドファンも多いかと思う。
4打席連続空振り三振。いや、歩夢のインパクトの方が大きいだろう。さすがに「インパクトあります!インパクトビッグマン!」みたいなことはしないと思うが、レースでのインパクトで、失格の分を取り戻していく。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。