2024/11/13 (水) 12:00 16
松阪競輪「施設整備等協賛競輪in松阪 The Leonids Cup(GIII)」が11月14日に開幕する。小倉競輪祭(GI)に出場できない皿屋豊(41歳・三重=111期)が、何としてもGIII優勝を…と意気込むシリーズだ。
皿屋が伊勢市役所の職員として働き、そこから一念発起して競輪選手になったことは有名だ。家族があり、その決断は勇気がいるもの。「自分には時間がないので。24時間、競輪のことを考えています」と懸命に強くなろうと努力を重ね、GIの常連選手になった。競輪祭の出場権をつかめなかった分は、地元でGIII初優勝のチャンスと前を向き、攻め立てる。
皿屋の強さの根底にあるのは、挑戦者としての気持ちだろう。今でも20代の選手たちが相手でも、果敢に先行勝負を挑む。レース後に「いいオジサンなんですけど」と言いながらも、流れる汗の輝きは、その表情を少年に変える。大きな決断をして、勝負の道を行く、カッコイイとしかいいようのない人物だ。
125期でデビューした鹿児島の寺師幸成(33歳・鹿児島=125期)はそんな皿屋に憧れを抱き、追いかけている。伊藤ハムで働いていたサラリーマン。安定した生活を投げ捨て、戦いの場に身を置いている。似た経歴の皿屋に対し「本当にすごいです。自分も」と息を弾ませるものだ。
競輪選手は自分の力、単純なスピードだけでなく、ラインの動きや、複雑な読み、あらゆる手を尽くして強者に向かうことができる。基本的にズバ抜けて力の差がある選手にはかなわないものの、どうにかして…が発生しやすい。
他競技から、または自転車経験がなくとも、活躍している選手は多い。世の中に広く競輪を知ってもらう、という点において皿屋の功績は大きい。たくさんの選手が、どの選手も血のにじむ努力をしているのは、取材の中で知っている私だが、今回は戦い続ける皿屋の優勝を見たいと思う。
自転車競技の経験があり、アマチュアから活躍して競輪選手になるケースも無論、多々ある。東矢圭吾(26歳・熊本=121期)はひと回り年の離れた兄・東矢昇太(38歳・熊本=98期)が自転車に乗る姿を見て、憧れてきた。兄と同じように中央大学に進学し、今、競輪選手として戦っている。これからの熊本を牽引する、いや、中心人物として活躍していい存在だ。
昨年10月久留米代替の熊本記念準決では嘉永泰斗(26歳・熊本=113期)と中本匠栄(37歳・熊本=97期)を、今年10月熊本競輪場で開催となった記念でも準決で嘉永と中川誠一郎(45歳・熊本=85期)を決勝に導いた。
エリートとはいえ、看板を地道に磨き、いきなりの上位進出ではなく、丁寧に、それでいてどう猛に上を狙っている。今回は、結果を求める。
最後になるが、復帰する菊地圭尚(44歳・北海道=89期)の大復活も…と期待したい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。