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近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

【尾張の龍・価値について】優勝賞金“1万円のGI開催”と“1000万円の裏開催”があるとしよう

2021/07/19 (月) 17:00 13

今月は近藤龍徳選手が出場した地元戦『西日本カップ 中スポ杯・CTC杯(FI)』の決勝レースの振り返りからはじまり、6月に大垣でラストランとなった『父・近藤幸徳選手について』などを届けてくれました。常に筆力全開の近藤選手。今回も一字一句見逃せない熱き龍徳節をとくとお楽しみください!


 netkeirinをご覧の皆さま、近藤龍徳です。前回のコラムから奈良ナイターFI、名古屋FIを走ってきました。それぞれに違った悔しさが残ったシリーズでしたが、手応えもありました。8月の「オールスター」出場も決まって気持ちは高まってきています。

悔しい戦いが続いたが気持ちは次へ向かっている(撮影:島尻譲)

悔しかった地元戦の決勝

 期が変わって、初戦が地元の名古屋。「西日本カップ」とあって豪華メンバーだった。オレは浅井康太さん(三重)と3日間一緒で、3日とも番手を回らせてもらった。悔しかったのは決勝。浅井さんが最終ホームからいいスピードでまくっていって、ヒデさん(山田英明・佐賀)が最終バックで踏み込んで応戦。ヒデさんを越えれば、浅井さんとの直線勝負…と思った瞬間、予想外のことが起きた。

 浅井さんがヒデさんを越えたあと、ヒデさんがハウス(前輪が前走者の後輪と接触すること)して、外れて横に飛んできたんだ。オレはヒデさんに当たって万事休す。レース前に浅井さんは「オレが早めに仕掛ける展開になったら、お前が獲れ」って言ってたけど、逆に怖えよ(笑)。その瞬間は確実に心で会話していた。

 結果はまくりが決まって浅井さんの優勝だったから、抜けなかったとしてもゴール勝負はしたかった。優勝するつもりで入ったわけだし、あそこで勝っていたら価値があったのにな。

すごい選手、すごい父

 6月に父・幸徳(52期)が38年の選手生活を終えた。ラストランの大垣は、オレも現地で見せてもらった。

ラストランの大垣では近藤龍徳選手の自転車に乗り、気迫の先行で魅せた父・幸徳選手

 父はデビュー10年目にC型肝炎を発症。その頃の話を記者さんに聞くと「ゴール後にぶっ倒れて、担架で運ばれてきた。顔色がどんどん悪くなって、これは大変だと周りが騒ぎ出すと、10分くらいして医務室から出てきて『お待たせしました』と、明日の番組を見て平気な顔でコメントを出す」こともあったらしい。

 何年か前に腰の手術(脊柱管狭窄症)をした時は、さすがに話し合ったけど、「クビになるまで走りたい」って結論になった。オレも言ったよ、「それが近藤幸徳でしょ」って。そして、諦めずに最後まで走り切って、悔いなく選手生活を終えた。辞めるまで一回も言えなかったけど、すごい選手だし、すごい父だなって思う。

地元・名古屋競輪場での練習中の一幕

 父は通算3261走したけど、それだけあの緊張感や、命を削る感覚に向かい合ったってこと。オレはまだ10年、790走しかしていない。ここから何年、何回やるんだろうと思うと、長く走っている選手に対して本当にリスペクトがある。

オールスターへの切符

  前々回のコラムで書いたけど、今年はオールスターのファン投票で、『投票お願いします』と一言も言わなかった。自分なりに試してみた、現状を知りたくて。結果は、出れた。これにはびっくりした。この場を借りて「ありがとう」と心からお礼を言いたい。

 今年のファン投票は1位が平原康多さん。2位が悠士。これもちょっと驚いたな。今年前半の悠士の活躍でも1位になれないのか、と。オレの野望であるオールスターのファン投票1位が、あらためて険しい目標なんだと思い知らされた。でも、野望と掲げた以上、中途半端はできない。強くなれば、必ず1位は取れる。まあ見ていてよ。

日本選手権競輪の開催中にリラックスしながら談笑する近藤選手と松浦選手(撮影:島尻譲)

GIタイトルだけはカネじゃ買えない

 オレの選手としての目標は、やっぱりGI制覇。オレは他の選手とよくこんな話をするんだ。「優勝賞金1万円のGIと、1000万円の裏開催。どちらに出たいか」という話。「1000万円の裏開催がいい」って言うんだ、笑いながらね。でも「そうじゃねえだろ」って、いつも熱くなってしまう。

 1000万円で買えるものなんてたかが知れてる。車だって高級時計だって買える。カネを出せば手に入る。いいもんだって食える。でもタイトルは、カネを出しても買えない、カネを積んでも手に入らない。それが『タイトルホルダー』という価値。

 よく『GIは一番気持ちが強いヤツが勝つんだ』なんて言うけど、そんなことはない。あれは嘘だ。気持ちで獲れるならとっくに獲ってるヤツは山ほどいるから。

気持ちだけでは『タイトルホルダー』にはなれないと語る近藤龍徳選手(撮影:島尻譲)

 オレは本気でタイトルが欲しいと思っているし、もっと言えば全競輪選手が「夢はタイトルホルダー」であって欲しい。お客さんはそんな戦いを観たいでしょ? 望んでるんでしょ?

今月の近藤龍徳語録!!

感動は与えるもんじゃない、届けるもん

 感動させるためにやることなんかひとつもない。こっちから押しつける感動なんてどうせ安物だろ。オレは押し付けない。プレゼントしてやるよ、感動という名の記憶を。

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近藤龍徳

Kondo Tatunori

愛知県名古屋市出身。日本競輪学校101期卒。競輪一家に生まれ、競輪一家に育つ。学生時代から頭角を現し、高校総体チームスプリント・高校選抜ケイリンで優勝。レースデビューは2012年7月10日の一宮競輪場で、翌日11日に初勝利。その後も活躍を続け、2014年ヤンググランプリを制し、翌年にはサマーナイトフェスティバルで頂点に立つ。自身が目立つことで競輪界を盛り上げると公言しており、最終目標は「スーパースター」としている。ファンからは”夜王”の愛称で親しまれ、競輪の魅力を発信しながら交流を深めている。

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