2021/06/23 (水) 18:00 7
尾張の龍は夏に暴れる! 5月24日〜6月13日の間で3つのシリーズに参戦し、すべての戦いで決勝進出を果たした近藤龍徳選手。今回は出場レースを振り返りながら『感じたこと・感じていること』を届けてもらいました。真夏に向かい、上へ上へと突き進む昇り龍から目を離すことなかれ!
松山はいろいろ考えさせられた大会だったな。初日は「自力」のコメントでマスコミ関係者がざわついていた(笑)。2日目はスタート牽制があって、誘導を追って脚がいっぱい。正直残り2周の赤板の時点で「お客さんごめんなさい」と思った。3日目は川口聖二君を追って、直線で伸びて1着。あれはオレのコース。決勝は久米康平君が「タツさん付いてもらえませんか」と言ってきてくれての連係だった。
決勝を振り返ると、優勝した町田太我君と、菊池岳仁君の117期対決がどうなるのかがレースのキーポイントだったと思う。お互いが「絶対前に出させない」って、ライバル心むき出しの激突になるんじゃないかって、オレたちは思っていた。叩き合いになることで、自分たちのチャンスが巡ってくる。…でも、実際はそうじゃなかった。
オレは先行でのし上がってきた選手じゃないから、若手に前を任せる時も「先行してくれ」とは思わない。「先行しろ」という言葉は「後ろはオレが全部止める」って意志とセットだと思っているから。オレは自分の仕事にそんなに確信を持っていない。先行できるのなら、駆けた方がいい。誰にも抜かれない力があるなら、先行が一番勝ちに近い戦法。先行は『若手の下積み』なんかじゃないでしょう。お客さんだって、下積みなんかにベットさせられたらたまったものじゃない。そう思わない?
競輪には見えない“流れ“ってヤツがある。岸和田の準決勝。シゲ(吉田茂生)が先行して、オレは車間を切って援護したんだ。改修後には3コーナーのスタンドがなくなって、そこで突風をまともに食らって止まった。真後ろには伊原克彦さん西岡正一さん。自分は3着権利だったけど、食われて4着のパターンだった。それが、直線で西岡さんが落車。なんと3着。
松山の2日目も5着権利。先に書いたけど、誘導を追っかけて、打鐘でもうダッシュする力は残っていなかった。結果、6着で入線して「終わった…」と思ったら、岩本(和也)さんの失格で繰り上がり。他人の落車や失格を喜んじゃダメだ。運が良い方にも悪い方にも動くのが“流れ”。何かの力が動き始めているな。オレの場合、夏限定かも知れないけど(笑)。
松山ではどういうわけか、自分に対する声援が凄かった。松山走ると自分がジャーニーズかEXILEなのかと錯覚するわ(笑)。地元戦みたいだった。そんな声援を受けて、改めて考えた。オレはどういう選手になりたいんだろうって。競輪選手はみんなそうかもしれないが、自分もやっぱり地元愛は強い。だから、地元の名古屋記念に毎年呼ばれる選手になろうと思うんだ。それには、もちろんS級1班として。
同時に、自分とファンの立ち位置も考えた。よく選手が優勝インタビューとかで「応援してくれたファンのおかげで勝てました」っていうけど、オレはちょっと嘘くさいなって思ってて(笑)。オレが優勝した時は「応援してくれたファンのために優勝しました」って言いたいかな。綺麗事って言われるかもしれないけど、それがオレの本心。
ファンへの発信は目立ちたくてやっているわけじゃない。自分の気持ちをストレートに表しているだけ。周りにとやかく言われる筋合いもない。オレはこれからも『競輪をメジャーにする』ってテーマをちゃんとやっていく。まず、選手がメジャーになって、その人がやっている仕事が競輪選手っていうアプローチが今どきじゃないかな。そのために自分でできる発信を最大限していく。
他にもアイデアはある。高校野球の組み合わせ抽選会みたいに、番組を完全抽選にして「近藤龍徳、〇R〇番車」ってとこから中継で見せちゃうとかね。そうしたらレースの前にひと盛り上がりあるじゃない? これ楽しそうじゃない?
自分の考えが古いのか、新しいのかは分からない。何年かかるか分からないけど、オレなんかの力じゃ何も変わらないかもしれないけど、競輪をメジャーにするためにできることをやっていくよ。
「負けたくない」違うだろ、「勝ちたい」だろ
負けたくないってことは引き分けでも良いんだろ? 勝手にやっとけよ、そんな勝負。オレはそんな勝負には興味はねぇ
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近藤龍徳
Kondo Tatunori
愛知県名古屋市出身。日本競輪学校101期卒。競輪一家に生まれ、競輪一家に育つ。学生時代から頭角を現し、高校総体チームスプリント・高校選抜ケイリンで優勝。レースデビューは2012年7月10日の一宮競輪場で、翌日11日に初勝利。その後も活躍を続け、2014年ヤンググランプリを制し、翌年にはサマーナイトフェスティバルで頂点に立つ。自身が目立つことで競輪界を盛り上げると公言しており、最終目標は「スーパースター」としている。ファンからは”夜王”の愛称で親しまれ、競輪の魅力を発信しながら交流を深めている。