閉じる
近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

【尾張の龍・宣言】来年のオールスターにも出たいので気合い入れる

2021/08/23 (月) 18:00 10

今月のコラムでは久留米競輪『スピードチャンネル・スカパー杯(FI)』、いわき平競輪『オールスター競輪(GI)』の振り返りを届けてくれた近藤龍徳選手。山口拳矢選手との初連係の話題からはじまる出場レース本人解説は、今回も無敵の超ド直球勝負。すべて包み隠さない『尾張の龍の書』をたっぷりとお楽しみください。

 netkeirinをご覧の皆さま、近藤龍徳です。前回コラムの後に久留米FI、そして、初めてナイターで開催された、いわき平のオールスターに参戦してきました。結果は到底満足とはいかなかったのですが、同学年のユーサクが優勝して刺激を受けたり、色々と感じることのある開催になりました。

久留米で山口拳矢と初連係

近藤選手の久留米での相棒は山口拳矢選手(撮影:島尻譲)

 まず久留米を振り返っていきたい。番組にも恵まれて決勝まで行き、結果は1・2・5着だった。何が恵まれたかって、なにしろ3日とも、今をときめく拳矢の番手を回ったんだから。実は拳矢とは初対面だったんだ。勝っても負けても何かと話題のルーキーだから、開催前には、自分なりにリサーチかけてからシリーズに入った。

 初日、拳矢は1周半駆けてくれた。オレのためにってわけじゃないけどね。レース前に拳矢が「前取って、引いて、行けるところから行きます」って言うから、「マジかよ、ジャンからでも?」と返したら、「ジャンからでも行きます」と返ってきた。その表情から、“今日のオレ”の頭の中から捲りは消した。結果は拳矢が逃げて、オレが差して1着。オレに抜かれると思ってなかったんだろうな。“名刺代わりの先行”きっちり受け取りました。

 2日目以降、オレは「自分が勝てる仕掛けでいいよ」と伝えていた。オレが千切れなければいい話でしょ。2日目も最終日もえげつない捲り。拳矢の後ろで走って、純粋に「すげー強い」って思った。周りの声を聞いて思うに、拳矢の『自分が勝つ仕掛け』は『ラインの競走になっていない』と映ることもあるんだろう。強いんだからイイじゃんって思うけどね、オレは。

 そもそも自分は先行でのし上がってきた選手じゃない。自分ができないことを要求するようなこともしない。そのままスター街道を突っ走って欲しい。道中の助手席はオレが座っといてやる。

一味違うオールスターの舞台

ポイント制の一次予選で敗退、1ポイントわずかに届かなかった(撮影:島尻譲)

 さて、オールスター。オレは一次予選さえ通過できなかった。1走目は拳矢と柴崎淳さんの3番手。直前の久留米で連係したことが生きていた。1走目を走り終えた感覚としては「このシリーズ、十分に戦える」という手応えを感じた。

 2走目は竹内雄作さんと志智俊夫さんと。ここも3番手の戦いになった。志智さんが外に振って戻ってくる間合いをしっかり見極め、バックを踏まない。これがオレの生命線。最終直線、何とかしたかったけどな。自分の力だけじゃ何とかならないのがGIの舞台。甘くねーわ。

 4日目の選抜戦は先行した稲垣裕之さんと坂口晃輔さんの中を割る形で2着。自分の中では頭(1着)まで行った感覚だったけどね。最終日はオレのミスで、打鐘でバックを踏んでしまった。勝負所でバックを踏んでしまうとオレの出番はない。

 オールスターはシリーズ通して連日ライン3番手の戦い。今のオレの競走得点じゃ当然の位置。5・4・2・7着という結果は当然悔しい。ただその悔しさの中のポジティブな部分を挙げるなら、自分の役割を全うして獲るべき最善の着を獲れたのかな。久留米も含めて、今の伸びは自分でも納得できている。オレは夏場までが賞味期限だから、狙うなら今のうちだよ(笑)。そして、来年のオールスターに出場できるように気合いを入れていきます。本気です。

シリーズが終わり「来年のオールスターも、その次も出続けたい」と決意表明(撮影:島尻譲)

早く思い切り遊びたい

  レースの振り返りはここまでにして、ちょっとプライベートな話を書いてみたいと思う。多分、みんなはオレのことを『遊んでばっかりのイメージ』で見ていると思う。まるで否定できない。遊んでるよ(笑)。でもね、遊ぶことで強くなったと確信している。オレの遊びは練習だ。

 コロナ禍の今はゼロになってしまった遊び。オレは飲み会好きの女好き、基本誘いは断らない。酒は一滴も飲めないんだけどね(笑)。飲み会って、そこに何が転がっているか、何に繋がるか分からない。

 たくさんの人を見て、学んで、吸収して、人を知る。競輪は人がやるもの。ラインは仲間の想いをくみ取り、そして駆け引きし、人間の素が交錯するもの。飲み会なんて情報の宝庫なんだよ。合コンはまさにライン戦。夜のオレにコメント取りが来るのなら迷わず『自力』。

『遊んでばかりの龍ちゃんです』すべて競輪に反映させている近藤龍徳選手(撮影:島尻譲)

“おいしいところ”を持っていくために

 「タツはいつもおいしいところを持っていく」って言われることがある。※おいしいところの意味は各自お察しください

 サマーナイトフェスティバルを優勝して『夜王』って呼ばれ始めたと思ってない? 違うよ。プライベートを知ってる人からはずっと前から呼ばれてる(笑)。競輪選手の中で“夜の規定打席”に達しているのはオレだけだと思う。みんなマジメだからさ。遊びもトレーニングと位置付けているオレからすれば、休まる暇がない。

 競輪で言えば、平原康多さんや古性優作。どのレースを見たって勝負圏のある位置にいる。あの走りを見て、いつもおいしいところだけを持っていってると思いますか? あの一瞬の駆け引きや出し惜しみしない勇気、勝つことに対する嗅覚、夜のオレなら共感できる。昼間の自転車乗ってるときのオレも共感できるように、練習も遊びも精進します。

今月の近藤龍徳語録!!

勝負師とは“流れ”を読めてこそ

 勝負に流れは確実にある。オレはその流れをこうやって引き寄せる。誰もが「無駄だな」と思うようなことを当たり前のように淡々と、些細なことを毎日毎日積み重ねる。小さなことだからきっと周りには気付いてさえもらえない。それでいい。それくらいのことがちょうど良い。丁寧に、大胆に。

【SNSはコチラ】
近藤龍徳Twitter

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

近藤龍徳

Kondo Tatunori

愛知県名古屋市出身。日本競輪学校101期卒。競輪一家に生まれ、競輪一家に育つ。学生時代から頭角を現し、高校総体チームスプリント・高校選抜ケイリンで優勝。レースデビューは2012年7月10日の一宮競輪場で、翌日11日に初勝利。その後も活躍を続け、2014年ヤンググランプリを制し、翌年にはサマーナイトフェスティバルで頂点に立つ。自身が目立つことで競輪界を盛り上げると公言しており、最終目標は「スーパースター」としている。ファンからは”夜王”の愛称で親しまれ、競輪の魅力を発信しながら交流を深めている。

閉じる

近藤龍徳コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票