2025/09/10 (水) 15:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松阪競輪場で開催されている「ウィンチケットミッドナイトG3」の決勝レース展望です。
【ウィンチケットミッドナイトG3】は、レース名の通りに深夜の時間帯に開催されている大会となっています。
現役時代は夜遅い時間のレースを終えると、アドレナリンも出ているのか、寝付くまでに時間がかかりました。
解説者となった今でも、レースを振り返るだけでなく、選手のコメントや並びを聞いていると更に時間が経つので、結局、寝る時間が遅くなってしまいます。
そして、次の日のレースまで時間を調整するのもなかなか大変です。予想の仕事をしている自分でもそう思うのに、実際に大会に出ている選手たちや、関係者の皆さんは、時間を合わせていくのが更に大変かと思います。
それでもミッドナイト競輪は多くのファンの方から支持をいただいています。そこには競走得点順に1番車から選手が並んでいくという分かりやすさもあるのでしょう。
9車とは違った、7車ならではの予想の面白さもあると思いますし、ミッドナイト競輪をきっかけに、更に競輪に親しむファンの方が増えて欲しいと思います。
今大会で注目されていたのは、グランドスラマーでもある新田選手の参戦でした。
初日のS級予選では果敢に先行していくレースを見せるも、ゴール前で永澤選手に交わされての2着。3着権利となった準決勝でも先行していきましたが、直線で失速して4着に敗れています。
展開的にも3着までには残ると思っていただけに、まだ状態的にはいい頃まで戻り切っていないのでしょう。最終日は7レースに出場しますが、そこでは強い新田選手の走りを見せてもらいたいです。
決勝に進んできた7名ですが、中四国の3名がどう並ぶかに注目していました。
並びですが⑥立部選手-⑤吉本選手の九州2車の後ろに、①岩津選手-⑦高原選手がつけてここは4車のライン。そして、②小原選手-④永澤選手の北日本2人の後ろには、③香川選手がつけての二分戦となっています。
ここは立部選手の先行1車となりました。1番車の岩津選手が前を取ってしまえば、先行した立部選手の番手にいる、吉本選手の裏表が3連単の本線となります。
ただ、2番車の小原選手もスタートがいいだけに、スタートが取れたのならば先行、場合によってはイン粘りもあるのではと見ています。
小原選手と吉本選手を比較した場合、横の動きが強いのは小原選手となります。インから立部選手の番手を取り切ってしまえば、小原選手に勝機が見えてきます。
穴と言えるのが、今大会は動きの良さが目立っている永澤選手です。初日のS級予選で新田選手を交わし切ったのは、永澤選手の調子が良かったとの見方もできます。
印としては九州と四国で並んだ、4車のラインが強いと見て、◎⑥立部選手、〇⑤吉本選手。そして7車立てだからこそ、何かしてきそうな△②小原選手、そして×④永澤選手に打ちます。
今大会はガールズも好メンバーが揃いました。ガールズの決勝では124期の在校1位となった竹野選手と、128期の在校1位である酒井選手の一騎打ちとなった感もありますが、當銘選手、熊谷選手、増田選手もG1に出ているような実力者です。
勢いは酒井選手に感じますが、地元の竹野選手も、おいそれと引き下がるわけにはいかないでしょう。ガールズ決勝、S級決勝共に、皆さんのアドレナリンが更に出てくるようなレースが期待できそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。