2024/07/17 (水) 11:00 21
netkeirinでミッドナイト競輪の予想を執筆する研究ユニット「チャレンジ魂」のA子さんは、映画『ガチ星』(江口カン監督、2017年)に感銘を受けた競輪ファンの一人です。
チャレンジ戦をメインに楽しむA子さんは『ガチ星』公開当時、たまたま立ち寄ったDVDレンタルショップでこの競輪映画と出会いました。主人公がチャレンジ戦で戦うシーンにとても興奮したと語ります。
「『ガチ星』のさまざまな競輪シーンを思い出しながら、日々チャレンジ戦の予想に精を出しています。特にこの時期(7月)は、他ジャンル(スポーツやその他の業種)から転向したオールドルーキーや勢いのある若手など、多くの新人が本デビューしてくるので、わくわくしています」と話しています。
新人たちの本デビューに、『ガチ星』に登場したルーキーたちの姿が脳裏をよぎるようです。
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映画『ガチ星』の主人公・濱島浩司は、かつてプロ野球で投手として活躍しました。30代で戦力外通告を受け、引退後は自堕落な日々。
現実に向き合えず、夜遊び、酒、タバコ、パチスロに耽る日々。妻に去られ、愛する息子と会える時間も限られます。
すさんだ生活に、救いの手を差し伸べたのは親友でした。彼が経営する飲食店で濱島を雇い、再起を促します。しかし、濱島はその恩人の伴侶と許されざる関係に陥ってしまいます。
ある夜、道端を歩いていると、暗闇からその親友が現れます。濱島の裏切りを知り、ひどく動揺しむせび泣きながら「もう二度と近づかないでください」とだけ言い残し、消えてしまいました。再生を信じてくれた恩人に対する濱島の仕打ちに、見る者は言葉を失います。
濱島はどん底の人生から抜け出すため、藁にもすがる思いで、アラフォーにして競輪学校(現在の「日本競輪選手養成所」)に飛び込みます。なんとか卒業し、40歳のオールドルーキーとしてデビューを果たしました。
しかし、プロの競輪選手として新たな道を歩み始めたものの、怠惰な生活は相変わらずで、なかなか成績を上げられません。そんななか、あるレースでの落車事故をきっかけに、心を入れ替えることになります。病院でひたむきにリハビリに打ち込む若いルーキーを目の当たりにし、自分に足りなかったものを真に理解したのです。「分かった!」と喜びに満ち、身の回りの嗜好品を捨て去ります。以後、生まれ変わったように競輪に向き合い、少しずつですが成績を上げてゆくのでした。
逆境の時に支えてくれる存在こそが真の友と言えるでしょう。しかし、濱島はそのかけがえのない親友を裏切り、再び会うことができなくなってしまいます。感謝の言葉を伝える機会さえ失ってしまった喪失感は、観る者の心にも重くのしかかります。
多くの償いきれない過ちを抱えながら、濱島はただひたすらにペダルを漕ぎ続けます。レースでもがくなかで、心の傷と向き合い、40代でようやく大人へと成長していきました。敵は結局、自身の内にあったようです。戦いの後に周囲を見渡せば、かつて彼を見限ったように見えた多くの人たちは、遠くから温かく見守り続けていました。
濱島の競輪人生は、あと何年続くのでしょうか。もし60歳まで現役を続けたなら、残り20年。元気に駆け抜けてほしいものです。多くの新人が本デビューする7月のチャレンジ戦では、『ガチ星』のさまざまな競輪シーンを思い浮かべながら観戦してみてはいかがでしょうか。
(netkeirin編集部・木村邦彦)
【映画の情報】『ガチ星』、監督:江口カン、出演:安部賢一、福山翔大、モロ師岡、博多華丸、初公開:2017年8月25日
netkeirin取材スタッフ
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