2024/08/02 (金) 18:00 8
自転車競技選手や競輪選手をはじめ、自転車業界に関わるチームスタッフからメディア人までが多数訪れる伊豆の国市のイタリアンレストラン「POMODORO(ポモドーロ)」。たくさんの人に愛され、2024年7月に25周年を迎えた名店だ。日本代表選手へのインタビュー取材日の帰り道、netkeirin取材スタッフで訪問! 窯焼きナポリピッツァは絶品でアツアツ、そしてオーナーシェフ・村越英明氏と奥様・裕美さんのパリ五輪代表選手たちへの“応援の心”も激アツだった。食後、ご夫妻に話を聞いた。(取材構成:netkeirin編集部)
ーーごちそうさまでした。どのお料理もメチャクチャおいしかったです。それにしても店内のサイン色紙はものすごい量ですね。
村越さん ありがたいことにたくさんの選手が来店してくれるので、自然に増えてきましたね。壁スペースがなくなってしまって、これでも整理しているんです。もらったサインは飾られているものだけではないんですよ。
裕美さん スペースがなくなって外国人選手で引退された方などは外して大事にしまっています。本当はすべて飾っておきたいんですけど。
村越さん 泣く泣く整理したよね。
ーーお二人は自転車好きが講じて?自転車に関係して?自転車競技の選手たちが集まる伊豆の国市でお店を営むことにしたのですか?
村越さん いえ、全然そういうわけじゃないですよ。僕も妻も、自転車競技とか競輪はまったく興味がなかったです。お客さんとして選手が来店してくれるので興味を持ったという順序です。ね?
裕美さん はい。それで観ているうちにハマった感じで(笑)。自転車の選手に来店されたいとか自転車好きの人に来てもらいたいとかはなくて、自然にそうなっていた感じなんです。
ーーそうなんですか。これだけたくさんの選手たちが来店しているので、てっきり自転車関係の繋がりがあるものだと早合点していました。
村越夫妻 全然だよね(笑)。今はメチャクチャ応援しているけど!
ーーじゃあ、やはり美味しい料理のもとに自然と選手たちが集まってきたのでしょうね。
村越さん ありがとうございます。活発に選手たちが来てくれるようになったのはブノワがナショナルチームのヘッドコーチ(現テクニカルディレクター)に就任されたあたりの時期です。ブノワがお客さんで来てくれて。ブノワの指示で日本代表選手が伊豆に移住するようになってから、選手たちが来るようになりました。日本人選手だけではなくて、外国人選手も試合や練習で訪れた時に立ち寄ってくれるようになったんですよね。
裕美さん それまでも自転車の選手が来てくれたりはしてたんですが、ブノワが来てからはナショナルチームの人たちや競輪選手がいっぱい来てくれるようになりました。
村越さん 入ってきた時の太ももとかでわかるんだよね、あ、選手かなって。
裕美さん そうそう。やっぱり体つきが違うんだよね。
ーーブノワ氏が来て、日本人選手のみならず外国人選手にまで慕われるお店になっていったわけなんですね。
村越さん 選手が選手を呼んでくれるみたいな流れはありますね。ひとりで来てた人が、後日になって誰かと一緒に来店してくれたり。最近だと脇本君が古性君と一緒に来た時はびっくりしました。グランプリ覇者のコンビ来店(笑)。さすがに大物過ぎるでしょう!
ーー驚きますね(笑)。何か選手がくつろげる工夫などはされているんですか?
村越さん してないです。お客さんはお客さんなので、みなさんに対してくつろげる工夫をしているので、「自転車選手だから」とか「有名だから」とかは考えません。
裕美さん でも選手たちと話をしているとそれがくつろげる理由にもなっている気がします。“特別扱いしない”って言うんでしょうか。普通にやる感じです。
村越さん でも自転車競技や競輪ファンの方も来てくれるようになっていて、こうしてnetkeirinさんにも話しかけられるわけじゃないですか? だから選手のプライベートを明かさないようにはすごく気にしてますね。普通にご飯を食べているお客さん、なわけだから。
裕美さん この間もある選手のファンの方がランチに来てくださって。その方が応援している選手がディナー予約していたんですよ、たまたま同じ日に。ファンの方の気持ちを思えば教えてあげたくなるんだけど(笑)。それはやっぱり違うかって。
村越さん それあったね。しかもその選手はファンサービスが温かくて気さくな人だから、教えても怒られないのは明白だったからね。でもプライベート情報はプライベート情報。やっぱり明かさないのは当たり前のことだからね。
ーーなるほど。当たり前とはいえ、難しそうですね。
村越さん 選手たちが来店したら写真を撮ってもらってお店のインスタグラムに載せることもありますけど、やっぱり配慮しながら。来店パターンがある人なんかは気を付けながらですね。そういうのだけは特別注意しているし気にしています。
来店した選手たちの写真はこちら→ POMODORO instagram
ーーお客さんとして日本代表選手たちが訪れるとパリ五輪の見方なんかも変わるものですか?
村越さん パリに限らず、とにかくめちゃくちゃ応援しちゃいますよ。「親戚の選手がレースに出てる」みたいな気持ちはわからないけど、そういう感情に近いんじゃないかなと思いますね。
裕美さん はい。「シンジ〜!ガンバレ〜!」ってなっていますね。
ーー中野慎詞選手を応援しているのですか?
村越さん 中野慎詞選手は彼が大学生の時からお店に通ってくれているので、もちろん応援しています。でも応援は中野君に限定してないですね。短距離選手とか中距離選手とかもなければ中野慎詞くんも太田海也くんもないです。全員を、チーム全部を応援しています。(店の奥から何やらいろいろ持ってくる村越さん)ほらこれ、色々な人のうちわを作ってるんです。みんながベストを尽くしてくれるといいです。
裕美さん わたしも一緒です。でも太田海也くんと中野慎詞くんみたいな“同期のライバル”みたいな関係性があると、そのレースで良くない結果だった方の選手を応援しちゃいますね(笑)。
村越さん それはあるね。2人がケイリンで戦って勝ち負けがつくと、負けた方の選手に気持ちが向いてしまうんですよね。悔しいだろうなって。次は頑張って欲しいなあって。
ーー太田海也選手もお店に訪れていますよね。
村越さん 海也くんも来てくれます。海也くんといえば“最初のサイン”がうちに飾られていますよ。まだ“いかにもなサイン”っていうサインがなくて、名前を普通に色紙に書いてもらった形のものが。初めて来店してくれた選手によっては駆け出しみたいな時もあって、パリ五輪の代表選手だと垣田真穂選手がそうだった。でも今はキレイなサインらしいサインを書いていますよね。(お店の入り口を指して)あそこに垣田選手の2種類のサインが見れますよ。
ーー選手の歴史を知っているのですね。
村越さん 歴史がどうかわからないけど、みなさん伊豆で過ごして、自分の挑戦をしているわけでしょう。僕はパリ五輪も楽しみだけど、その先のロス五輪だって今から楽しみにしちゃってるんです。もうすでにそこを目指して頑張っている若い選手たちもご飯を食べに来てくれているんですよ。125期の阿部英斗くんや森田一郎くん、中石湊くんとか。
ーー今年デビューのホープですね。
村越さん 太田海也くんも中野慎詞くんもそうでした。みんな長い時間をかけて戦って、五輪の代表選考に賭けて頑張っていましたよね。太田りゆちゃんも東京でリザーブ選手だったけど、今回は正代表です。パリ五輪で日本代表チームの活躍が楽しみです。
裕美さん みんな頑張って欲しいです。悔いのないように。それでまたご飯を食べに来て欲しいです。
ーーうちわを作ったり横断幕を作ったり、熱のある応援を感じます。
村越さん 本気で応援していますよ。でも外国人選手も来てくれるし交流があります。東京五輪では外国人選手にピッツァを100枚配達することになったりも(笑)。お店をやっていての関わりで自転車の世界を知ったので、日本人選手だけを応援しているわけではないですね。世界最高峰の舞台だから、みんなに頑張って欲しいです。
ーー東京五輪でピッツァを配達しまくった話は「morecadense」さんの記事で読みました。あの記事メチャクチャ面白くて印象深いです(笑)。
村越さん 大変だったんですよ(笑)。コロナ禍だったし、焼くピッツァの量もハンパじゃなかったし、非接触で配達しないといけないしで。記事にもしてもらったし、いい思い出ですけどね。
裕美さん どんどん追加注文の電話が鳴ったよね(笑)
村越さん そうそう、ブフリからね(笑)
ーー面白いエピソードばかりですね!
村越さん でも寂しいエピソードだってあるんですよ。外国人のコーチは役目を終えて母国に帰っちゃう。日本チームの中距離のクレイグ・グリフィンコーチもお店によく来てくれたんだけど、もう帰ってしまって会えませんから。そういうのは面白いだけじゃなくてやっぱり寂しいす!
ーーパリ五輪で特別注目している競技はありますか?
村越さん 全種目に注目しているのでひとつには絞れないな。でも今回男子のチームパシュートからは目が離せません。リザーブ選手の松田祥位くん、選考には惜しくも選ばれなかった兒島直樹くんもうちに来てくれるお客さんなのですが、チームパシュートの正選手としては短距離を主戦場にしている中野慎詞くんが選ばれました。五輪の出場枠の関係でそのような選考になっていると聞きましたが、ルールなら仕方がないと思います。でもその裏には選手たちの語られない気持ちがあるはず。そういうものをひっくるめて、どんな結果になるんだろうって、興味深いんです。
裕美さん 私もひとつには絞れないですが、8年当店に通ってくれてますし、東京五輪では悔しい姿を見ているので、太田りゆちゃんの自転車競技の集大成に注目しています。
ーー五輪開催中は自転車競技ファンのお客さんも訪れるかもしれませんね!
村越さん ピッツァを届けに行ったとき、東京オリンピック・男子チームスプリントの金メダルメンバー4人全員からサインをもらいましたし、スプリントの金メダリスト・ハリーラブレイセンのサインもあります。金メダリスト全員のサイン揃ってるのはおそらく日本でここだけかも。選手たちのサインを見て、間近に存在を感じながら、うちの料理を楽しんでもらいたいですね。
裕美さん 8月11日には地上波でも放送されますし、もちろん当店でも流していますので、来られる方は一緒に応援しましょう。御来店お待ちしております!
ーーそれでは最後に「がんばれ、ニッポン!」で記事を締めたいと思いますので、せーの!
村越夫妻 がんばれ!ニッポン!(拍手)
ーーアポなし取材にも関わらず、お時間を頂戴してすみませんでした!ありがとうございました!
村越さん ところでnetkeirinさん、僕、佐藤慎太郎選手に来店して欲しいんですよ。一度慎太郎さんが伊豆でトレーニングをしていて来てくれそうなタイミングがあったんですけど、スケジュールが過密で実現しなかったんです。連絡もしてくれたんですが。僕は同い年で、慎太郎さんの頑張る姿に刺激をもらってて。netkeirinでコラム書いてるでしょう?うちのことアピールしておいてください。
ーー慎太郎選手からコラム原稿を受け取るタイミングでお伝えしておきます!
あいさつをするだけのつもりがすっかり取材をはじめてしまいましたが、閉店間際の忙しい時間帯にも関わらず、たくさんお話を聞かせてくれた村越さんと裕美さん。窯焼きのナポリピッツァだけではなく、「小エビのアヒージョ」や「和牛のたたきカルパッチョ」も絶品中の絶品で、本格イタリアンをアットホームに愉しめるお店でした。各種アルコールも揃っており、netkeirin取材スタッフはイタリアンビール「モレッティ」を味わいました。「ほろ苦いビールにトマトの甘みもバッチリ味わえるマルゲリータを合わせると最高だな!」と至福のひとときを過ごしました。自転車好きでイタリアン好きなら、伊豆の国市「POMODORO(ポモドーロ)」に行かない手はありません!
※記事中にピッツァの配達に関するエピソードがありますが、東京五輪開催中の特別対応であり、通常はデリバリーはございません※
【店名】
POMODORO(ポモドーロ)
【場所】
〒410-2201 静岡県伊豆の国市古奈264-4
【電話】
055-947-4181
【営業時間】
・平日11:00〜14:30(L.O.14:00 ※13:45入店まで)/17:30〜22:00(L.O.21:30 ※21:00入店まで)
・日曜祝日11:00〜15:00(L.O.14:30※14:15入店まで)/17:00〜21:00(L.O.20:30 ※20:00入店まで)
【定休日】
月曜日(祝日の場合は翌日)
※月2回 月曜日と火曜日の連休有 ※SNSで発信
【備考】全席禁煙
netkeirin取材スタッフ
Interview staff
netkeirin取材スタッフがお届けするエンタメコーナー。競輪の面白さをお伝えするため、既成概念を打ち破るコンテンツをお届けします。