アプリ限定 2024/01/20 (土) 12:00 23
『ダービー』と呼ばれる「日本選手権競輪(GI)」に出場するには、1年間の選考用賞金獲得額で上位162位までに入ることが必要となる。他の選考要件もあるが、基本的には「1年間戦った成果が上位の人たち」が争うシリーズと位置付けられている。競輪選手としての頂点への道のりといえる。
現在は12月〜1月までが選考期間なので、現在最後の争いが行われている真っ最中だ。渦中にいる佐藤龍二(35歳・神奈川=94期)は、「今回は2500万円がボーダーになりそう!」と絶叫した。「10年前から1000万円くらい上がってますよ」。売り上げの伸びにともない賞金が増えたことで、喜ばしいところ。
この業界の上位級は2500万円くらい稼ぎますよ、というアピールにもなるので、大いに取り上げたい内容だ。過酷な職業だけに、対価は確実に必要だ。コンスタントに稼ぐ選手もいれば、伊藤正樹(51歳・愛知=71期)のように140走近く走って積み上げる選手もいる。
競輪は開催があって、選手が走ってナンボ。欠車も多くなっているが、追加や補充で開催を助けている選手がいるのも事実だ。チャレンジで昨年141走したのが岡崎克政(38歳・岡山=92期)で、先行中心に、全国で味わいを見せていた。
時に先行一車できっちりと、また時には新人キラーとして若手を苦しめ好配当を、ともはや名人芸のような走りを披露していた。玉村元気(34歳・香川=101期)などは「あれだけ走って1・2班の点数も取って。もう岡崎さんを表彰しないとダメでしょう!」といつものしゃがれ声で訴えていたものだ。
岡崎の141走、1着45回、2着23回、3着23回、着外50回に込められた功績は大きい。
ガールズケイリンの賞金も上がってきて、GIも創設されたので職業的価値の高まりにもつながっている。とはいえ、まだまだ…、上がっていいレベルだと思う。1月17〜19日の立川競輪はガールズグランプリに出場した児玉碧衣(28歳・福岡=108期)、坂口楓華(26歳・愛知=112期)、吉川美穂(31歳・和歌山=120期)の3人が出場する超豪華メンバーだった。
もちろん、賞金は普通の開催と一緒。男子であればGIII級の争いといえるもので、こうしたシリーズを普通開催とGIの間、つまり男子でのGIIIのような位置付け、賞金額のものとしてもいい。まだ進化の途上のガールズケイリンで、やるべきことは多い。
ガールズGIが創設されたことで、出走本数や競走得点もシビアに選手の状況に影響するようになってきた。体系化がなされている今、よりドラマ性が生まれるものを期待したい。
できる限り、選手たちの声を拾い上げてほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。