2023/04/19 (水) 18:00 9
netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。今回は「一から組み立てる楽しみ」とそこから生まれる新しい発見について書いていきたいと思います。
先日、白井一機さんが新しい自転車を注文したので、一から組み立てる様子を撮影しました。自転車を組み立てるとき、白井さんはとても楽しそうに作業をします。
白井さんを見ていると、私が小学校低学年の時に流行したミニ四駆を思い出しました。ミニ四駆はカスタム性が高く、パーツもカラーリングも一から選び、作ることができました。カスタム自体が楽しい作業なのですが、個性を出して自分だけのオリジナルを追求するのが面白かったです。一から作ることで愛着も増しますし、自分の理想へ近づける作業の大切さを覚えられます。私と同年代の読者さんはもとより、40歳前後の方は「あのモーターが速いらしい」とか「あのシャーシが軽いらしい」とか情報収集しながら、ミニ四駆のカスタムに没頭した人も多いのではないでしょうか?
実はこのミニ四駆のカスタムの楽しさは自転車にも共通するものがあります。競輪選手の使用するフレームはフルオーダーをするのですが、角度や色などを何にするか考えるだけでもワクワクします。何種類かあるパーツの中から、好みのものを選んで、それらを組み立てていきます。組み立てが終わるとセッティングになります。ハンドルの幅やサドル角度を自分に合ったものに調整していきます。そのセッティングは実際のレース中の選手のフォームに表れます。発走機についた時、サドルの角度やカラーリングを見たりするのも、競輪観戦の楽しみの一つにしてもらいたいです。
競輪選手は愛着を持って自転車に乗り、自分の100%の力を発揮させるために1番いいセッティングを常に探し続けています。成績にも影響するところですし、体を鍛える練習と同じように重要な部分です。予想を楽しむ人は選手の自転車の変化、フォームの変化などからも調子を推理できるかもしれません。
大切な自転車ですから、レース後はキレイに磨きあげます。雨の日は拭くだけではなく、チェーンにオイルを挿したり、錆びないようにメンテナンスを施します。選手によっては全部のパーツをばらして、細かくメンテナンスをする人もいます。冒頭でミニ四駆の話を書きましたが、ミニ四駆を大事にしていた時と同じ気持ちです。ここは大人になっても変わりません。
ひと通りの作業が終わって、白井さんが淹れたこだわりのコーヒーを飲みました。好きなものを見ながら、おいしいコーヒーを飲むのは最高の贅沢ですね。
当たり前のものを当たり前のように思っていたら、新しい発見や進化はありません。完成品は便利ですが、一から組み立てることによって愛着も湧きますし、長く大切に使う意識が芽生えます。壊れても直すことができるので、こだわって使用するものには“アジ”が出てきます。
選手の立場からすると、単にレースを見てもらうよりも「自転車にも興味を持ってもらいたいな」と思うことがあります。好きな選手がどんな色の自転車に乗っていて、どんなフォームで乗っているのか。何か変化したことがあるのか。自転車で競うレースですから自転車に注目してもらうと、お客さん側からも思わぬ発見があるかもしれません。少し話は逸れますが、独特の発走前ルーティンでお客さんを楽しませる選手もたくさんいるので、そんな部分も楽しんで欲しいです。
私は最近、赤から黒の自転車にイメチェンしました。選手によってはラッキーカラーに変えたりしている人もいます。今回はそういったことにも目線を向けて欲しい意味で、私が感じている競輪の魅力のひとつとして紹介しました。白井さんが自転車を一から組み立ている様子は前編・後編と分けてYouTubeにアップしています。興味のある方はぜひご覧ください。
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金子貴志
Kaneko Takashi
愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。