2025/02/19 (水) 12:00 16
netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。立春が過ぎたというのに列島を寒波が襲い、競輪も中止になるところもありました。皆さん、体調を崩さないようにしてくださいね。
今回は趣味である植物の話と、日本競輪選手養成所に入所中の弟子・花田雄飛君のことについて書きたいと思います。
私が植物の魅力に取りつかれてから、もう3シーズン目になりました。この3年間はあっという間に時が過ぎた感じがします。少しずつ植物のことがわかってきたと思っていたのですが、先日大切に育てていたお気に入りの植物が枯れてしまいました。
植物は育成ライトや水と風の条件を揃えても、まったく同じように育つことはありません。いろいろ勉強したり、詳しい人に教えてもらったりして自分では「完璧」と思って育てていても、突然枯れてしまったり、形が整わなくなってしまうことがあります。
植物も生き物なので“絶対”ということはなく、「こうしていれば大丈夫」と思っていたことが突然覆ったりします。今回枯れてしまったことは残念ですが、無駄にせず経験値にして、今生きている植物を大切に育てていきたいと思います。答えがないことも植物の魅力です。まだまだ勉強することがたくさんありますね。
人間にも、植物にも寿命があります。限りある命だからこそ、一日一日時間を無駄にせず、大切に過ごしたいものです。
私にとって、人生で大きな割合を占めているのが競輪です。私たちは当たり前のようにレースに参加できているのではなく、周囲の支えがあり、毎日の厳しいトレーニングに耐えて初めてレースに参加することができています。
競輪では、調子と結果は別物です。不調でも展開がよくて勝てるときもあれば、好調なのに大敗することもあります。植物も同じで、うまくいっていたはずの鉢が急に枯れてしまったり、元気がなかった鉢が結果的にうまく育ってくれることがあります。取り巻く状況は絶えず変わっていきますが、終わりの時を迎えるまでに何ができるのかを考えながら、毎日を過ごしています。
そして今は変化の時代で、常識だったものがすぐに常識ではなくなってしまいます。競輪も植物も『極めたら終わり』というような簡単なものでないからこそ面白く、奥深い魅力にはまってしまうのです。どちらも知れば知るほどに「まだ先があるんじゃないか」「その先の世界を見たい」と思わせてくれます。
植物は遅かれ早かれいつか枯れる日が訪れるものですが、私が育てているアガベという植物は、枯れる前に花を咲かせるそうです。アガベの寿命は一般的に10〜30年ととても長く、一度花が咲くと枯れてしまうと言われています。
「ひと花咲かせる」という言葉がありますが、アガベはまさに一生が終わる間近に“ひと花”咲かせるのです。人生、どこで花が咲くかもわからなければ、咲かずに終わってしまったと感じる人もいるかもしれません。でもそれは誰かが評価するのではなく、自分の中で「咲かせた」「やりきった」と思えることがあればいいと思うのです。命尽きる前に花を咲かせたアガベに、きっと後悔はないでしょう。
私もデビューした頃は、引退なんて考えたことはありませんでした。今は30年も選手生活を続け、だんだんと終わりが近づいてきているというのを実感しています。30年という月日は、アガベに例えれば花が咲く頃と思うと、いっそう時間の大切さに気付かされます。今後も後悔のないよう、やれることをやっていくつもりです。
ちなみに、植物を部屋に置くとメンタルヘルスに好影響を及ぼすということが、科学的に証明されています。リラックス効果だけでなく、知的生産性が向上するということもわかっているのです。植物には天然の加湿器になり、空気を綺麗にしてくれる種類もあります。いろんな角度から生活を豊かにしてくれると思いますので、みなさんも植物を家に置いてみてはどうでしょうか? ぜひ緑に触れて、植物の魅力を感じてみてください。
さて、弟子の花田雄飛君が3月にいよいよ日本競輪選手養成所を卒業します。最初の挑戦は二次試験で落ちてしまい、悔し涙を流していたのがまるで昨日のことのようです。自分が競輪学校にいたときはとんでもなく長い時間に感じましたが、弟子が入所してからはあっという間に感じるのだから驚きます。
養成所の年末休み、花田君が地元に帰ってきました。直接会うのは久しぶりでしたが、その顔つきを見るとまた一段と成長しているように感じました。
同期には早期卒業した市田龍生都君がおり、デビュー後は圧倒的な強さで快進撃を続けています。そしてこの127期はゴールデンキャップが過去最多の24名という、成績優秀者が多く揃った期です。
花田君にとっては同期の活躍は嬉しい反面、悔しい思いもあるでしょう。ですが、このハイレベルな期で合格し、養成所生活を送ることができたというのは本当に価値のあることだと思います。強い候補生たちと訓練して、悔しい思いをたくさんしたと思いますが、その思いを力にしてデビュー後は“追いつけ追い越せ”の気持ちで頑張ってもらいたいです。まずは、無事に卒業して、豊橋に帰ってくる日を楽しみに待っています。
もちろん私も、花田君から刺激をもらって頑張っていきたいと思います。それが相乗効果となってお互いを高め合っていけると思います。
一足早く125期でデビューした高野信元君は、本デビュー前に大ケガをしてしまいましたが、だんだん成績が安定してきました。大変だったと思いますが、本人は「いい勉強になった」と前向きで、とても頼もしく感じています。
高野君と花田君には切磋琢磨してホームバンクの豊橋と愛知県を盛り上げていってほしいです。私自身も若手に負けないように、一日一日、一走一走気持ちを込めて走っていきたいと思います。そしていつの日か、花田君と一緒のレースを走れることを楽しみにしています。
そして21日からは5年ぶりに豊橋でGIが開催されます。愛知からは藤井侑吾君が出場予定でしたが、残念ながら欠場となってしまいました。
愛知県からの出場は誰もいませんが、豊橋をホームにしていた弟子の深谷の活躍に期待したいです。前回は今の地元である静岡記念を強い内容で優勝し、いい流れでGIに来ると思います。
真冬の豊橋のコンディションは厳しく、寒くて風も強いです。2020年の全日本選抜も強風だったのを思い出します。深谷はそういった特徴も掴んでいると思うので、どんなレースが見られるのか今から楽しみです。
私も初日と最終日、山田二三補さんのたこ焼き屋さんを手伝いに豊橋競輪場に行きますので、ぜひ遊びに来てください。“勝負飯”にアツアツのたこ焼きを食べて、熱いレースを楽しんでもらえたら嬉しいです。
【SNSはコチラ】
金子貴志YouTubeCH|カラフルスタイル
金子貴志X(旧Twitter)
金子貴志instagram
金子貴志
Kaneko Takashi
愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。