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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志と愛弟子】4年に一度の“真面目な食事会” 私が弟子たちに望むことは…

2025/06/24 (火) 19:00 12

 netkeirinをご覧の皆さん、金子貴志です。暑い日が続いていますが、皆さん、体調管理に気をつけてくださいね。今回は弟子の内藤久文(117期)、花田雄飛(127期)と楽しく食事をしてきたことを書いていきたいと思います。

弟子二人と食事会

 まずは食事ですが、もちろん焼き肉です(笑)。ずっと内藤がお薦めしてくれていたお店に行ってきました。内藤は交友が広く、お店も詳しいのです。

 本題に入る前に、焼き肉の話を(笑)。新鮮な食材を炭火で焼いて食べるのは格別で、箸が止まりませんでした。3人とも大盛りのご飯をあっという間にたいらげました。締めは軽く炙った豚肉をポン酢でいただき、その美味しさに衝撃を受けました。

愛弟子の内藤久文選手(右)と花田雄飛選手(本人提供)

3人では初めての「真面目な話」

 内藤は7月からS級に昇格します。花田はデビュー2戦目(ルーキーシリーズ)の四日市2日目に落車をしてしまいましたが、ケガは大事には至らず一安心です。

 今回は、これからのことについて色々と話しました。内藤がデビューする前にも、真面目な話をする食事会をしています。内藤とは5年ぶり、花田とは初めての機会で、3人でのこういった食事会は初めてでした。

 本デビューを控えている花田には、まずプロ意識について話しました。プロの世界は結果が全てですが、どうやって「魅せながら勝つのか」も重要です。どのような戦法であっても自分のスタイルを確立して、ファンの方に「あいつの走りが好きなんだよ」と言われるような選手になってほしいです。

(撮影:北山宏一)

 競輪中心の生活ですが、プロである以上レース以外でも見られていること忘れず、責任ある行動をとらなければなりません。例えばゴミが落ちていたら拾うなど、自分のためだけではない行動が自然にできる人間になってほしいです。最初は日ごろから意識が必要かもしれませんが、そのうち自然にできるようになるはずです。トレーニングにはさまざまな理論がありますが、基本は“スクラップアンドビルド(破壊して再生させる)”。単純なことほどごまかしがきかず、難しいのです。自分に合ったタイミングを見極め、意識と体をどうコントロールしていくかが重要なのです。

 先日横綱に昇進した大の里関は、とても研究熱心な力士として知られています。学生時代から相撲に向き合い、人一倍考え、こだわり抜いて今の地位を手に入れたというのをテレビで見ました。整理整頓もきちんとしているそうで、競輪選手も意識して身の回りをきれいにしている人は多いように感じます。どの世界でも共通している部分があるのかもしれません。

キャラクターが真逆の二人

 競輪の魅力は、力だけなら敵わない相手にも勝てる可能性があることです。花田にも、その醍醐味を感じてもらえたらいいなと思っています。そのために初心を忘れず、行動力も大切にしてほしいですね。身近には内藤という先輩や、GIでも活躍している兄弟子の深谷がいるので、いろんなことを聞いたり、合宿に行ったりしてその経験値を学んで競輪IQを高めていってほしいです。

(撮影:北山宏一)

 内藤は7月からS級に上がるので、周りが一層ハイレベルになります。9車立てのレースでも勝てるように、気持ちと体をしっかり準備して臨んでもらいたいです。この食事のあとには完全優勝し、成長を感じています。

 内藤と花田はキャラクターが真逆です。絵に描いたような体育会系の内藤と、頭がよく文化系の花田と話していると、見える世界が違ってとても面白いです。二人には常識にとらわれず柔軟な思考をもって、新しいことにもチャレンジしていってもらいたいです。

 花田は握手会などのイベントに参加するほどのアイドル好きで、推し活が花田のモチベーションになっています。昔だったら「趣味に時間を使うなら練習しろ」と言われたかもしれませんが、今はそんな時代ではありません。見方を変えれば、ファン心理を知るのは競輪選手にとっても大事なことです。どの世界でもトップになるのは大変なことですし、アイドルも競輪選手も“人の魅力”を知れば知るほど応援しがいがあるはずです。個性をどんどん発信して、世の中に存在を届けてほしいです。もしかしたら、競輪を知らないアイドルファンが競輪を知るきっかけになれるかもしれません。

 内藤はプロ野球の独立リーグ出身です。NPB入りは叶いませんでしたが、セカンドキャリアとして競輪の世界に飛び込んできました。内藤は推し活には興味がないようですが(笑)、野球の世界を知っているのは彼の強みでしょう。内藤も花田もさらに広い視野、斬新な視点、固定観念に囚われることなく、二人の時代を築いていってもらいたいです。

二人のキャラクターは真逆(本人提供)

次の「真面目な会」は4年後

 私も弟子たちを見ているだけではなく、一緒にグレードレースを走りたいと思っています。内藤と花田がこれから成長していくのが楽しみです。

 次の“真面目な食事会”は4年後に開こうと思っています。なぜ4年かというと、五輪と同じスパンで考えているからです。内藤は前回の食事会から振り返り、「もっとこういうふうにできたんじゃないか」と思うことが多いと話していました。4年ごとに果たして自分たちはしっかり競輪に向き合ってこられたのか? その結果がどうだったのか? しっかり振り返り、それが次の4年に繋がっていきます。私自身も弟子たちにいろいろ話した以上、気を緩めることはできないので、自分を見直す機会として大切な場にしたいです。

 話していると時間はあっという間に過ぎてしまいました。焼き肉を食べ終わってから、喫茶店で話の続きをしましたが、話はつきませんでした。弟子二人との時間は、私にとって有意義でしたし、勇気をもらうことができました。4年後にまた内藤と花田と焼き肉を食べながら、振り返るのが楽しみです。

喫茶店でも話はつきず(本人提供)

私が弟子たちに望むこと

 私も4年後、8年後に目標を設定して、それに向けて取り組んでいます。ちなみに、12年前に目標設定して取り組んでいる『デッドリフト5回×220kg1万セット』は、もうすぐ達成を迎えます。

 このコラムでも何度か書いていますが、私の経験から言えることは『何を目標に置くのか』『目標から逆算して、どう取捨選択するか』に尽きます。まず自分がどうなりたいのか、そこからやるべきことが見えてきます。過ぎた時間は戻ってきませんが、結果が出ようが出まいが“理由のある選択”に間違いはありません。

(撮影:北山宏一)

 たとえば『GIを獲る』という目標を掲げたとして、どんな環境を整えるかは避けて通れません。何を取り入れて、何を犠牲にするのか… 選択肢を削りながら勝負していかなければなりません。私が弟子に望むのは、強くなることはもちろんですが『愛される選手になってほしい』『何かで突き抜けた選手になってほしい』ということです。

 今もこれからも、悩みにぶつかることはあるでしょう。そんなときこそ新しい知識を求めたり、視野を広くもって取り組んでほしいです。人はひとつのことをやり切ったときに、「こういうことなのか」と感じることができるものです。私自身もまだまだ“突き抜ける”ために、やるべきことがたくさんあります。弟子たちと一緒に成長して、ともに悩んで、前に進んでいけたらと思っています。

(撮影:北山宏一)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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