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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志の関心】驚異的なスピードで進歩する技術 アスリートとAIの未来を考える

2023/05/23 (火) 18:00 11

 netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。
 先日行われた「日本選手権競輪」は岐阜の山口拳矢君が、GI決勝初進出で見事、優勝を飾りました。単騎の戦いになった決勝戦ですが、拳矢は冷静に展開を読み、焦ることなく直線の入り口前から早めに踏み込み優勝しました。

 お父さんはご存知の山口幸二さん。親子2代でGIを勝ったのは、22年ぶり3組目の快挙です。拳矢、本当におめでとう。中部に新しい風が吹いてきたので、私もこの風に乗って頑張ります。

親子でGI制覇となった山口拳矢選手(左)と山口幸二さん(撮影:北山宏一)

デジタルテクノロジーの進化

 今回はAIをはじめとした「デジタルテクノロジー」について書いていきたいと思います。医療、ビジネス、そしてスポーツの世界でも、デジタルテクノロジーの進化には驚かされます。最近は対話型AIサービス(チャットGPT)が話題ですし、「AI」という言葉をよく耳にしますね。

 将棋界では、羽生善治さんの予言が有名です。羽生さんは1996年に「将棋で人間がコンピューターに負けるのは2015年」と話し、実際に2013年にプロ棋士がコンピューターに敗れました。今では、現在は20歳にして史上初の年間グランドスラムを達成した藤井聡太さんらが、AIの戦い方などを取り入れていると聞きます。

 私達の生活でも、携帯電話の主流がガラケーから今ではスマートフォンに変わりました。時代の流れには逆らえないな、と感じます。プラスになることは積極的に取り入れていかないと、時代に取り残されてしまうのかもしれません。

デジタルテクノロジーには希望があふれている(写真:イメージ)

 競輪界でも新しいことを取り入れ始めています。
 ダービーの地上波中継では、117台のカメラによる「自由視点映像」を導入していました。これはスポーツ中継では史上最大規模だそうです。

 中継では優勝者の視点からのレース映像が流れるなど非常に面白いものでした。普段の中継や競輪場では見られない目線だと思うので、ファンの方も楽しめたのではないでしょうか。

 また、競輪用語やルールの解説があり、初めて競輪を見る方にもわかりやすかったのではないかと思います。ルールがわかってくると、ラインの意味や駆け引き、テクニックが見えてさらに面白くなるはずです。

 競輪は迫力のあるレースが、人間の力で行われているのが魅力だと思います。これをきっかけに視聴者の方が競輪に興味を持ってくれたら嬉しいですね。

地上波生中継されたダービー決勝。117台のカメラによる「自由視点映像」が導入された(撮影:北山宏一)

アスリートとAIの未来は?

 では、これからアスリートはデジタルテクノロジーとどう付き合っていくことになるのでしょうか?

 例えば、トレーニングでもこれからは、AIを搭載したロボットがトレーナーになったり、選手の栄養管理から体のメンテナンス、メンタルケアをしてくれる時代も近いのでは、と感じています。

 今もスポーツ界ではデータや技術を駆使して選手にアドバイスをするアナリストが活躍しています。いずれはパートナーのようなロボットが選手の体を分析して、一人ひとりに合った練習メニューを組んだり、ケアをしてくれるような時代が来るのではないでしょうか。

AIがトレーニングのメニューを組む時代も近いか(写真:YouTubeCH「カラフルスタイルTakashi Kaneko」より)

 昨年、サッカーW杯で「AI審判」が話題になりました。野球でも海外ではAI審判を導入しているそうです。もしかしたらいつか、競輪の判定でもAIを導入する日が来るかもしれません。

 とはいえ、よく耳にする「人間がAIに仕事を奪われる」という可能性は気がかりです。AIの得意分野と人間の得意分野を合わせて、よりよい未来が広がるといいですね。

デジタルテクノロジーは“希望”である

 個人的には、技術進歩に期待することはたくさんあります。

 たとえば車の自動運転。私はレースに参加するとき車で行くのですが、実際に自動運転が導入されれば事故も減るでしょうし、安心できますよね。

 それから医療の進歩です。これまで完治が難しかった病気やケガが治るようになれば、希望を持てる人がたくさんいると思います。競輪選手の場合、ケガが原因で引退することがほとんど。私の酷使してきた腰も、昔のように限界まで追い込める体に治してもらえたら… と、期待せずにはいられないのです。

「酷使してきた」身体で鍛錬を重ね、走り続ける金子貴志選手(photo by Shimajoe)

 ちなみに私が大好きな植物も、今ではコンピューターで管理されているハウスがあると聞きます。自動で光を照らしたり、水をやったりと便利そうですが、私はまだそこだけは導入したくないと思っています。

 なぜなら自らの手で水をやったり、文字通り“手塩にかけて”育てていきたいからです。もちろん新しい技術も取り入れていきたいですが、人間の研ぎ澄まされた感覚のようなものまで、AIに支配されたくないな、と考えてしまいます。

手塩にかけて育てたアガベ(写真:本人提供)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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