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鈴木誠のハイブリッド展望

【東日本発祥倉茂記念杯予想】平原の4連覇に赤信号? 鍵を握るのは先行も辞さない郡司の動きと、桁外れたスピードで突っ込んでくる新山の捲り!/鈴木誠の展望

2023/01/22 (日) 12:00 9

現役時代はKEIRINグランプリを優勝するなどトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大宮競輪場で開催されている東日本発祥倉茂記念杯の決勝レース展望です。

平原が4連覇を果たすには、前を任せられた吉田の走りにかかっている!

 記録的な寒波が近づいていることもあってか、東日本発祥倉茂記念杯も厳しい冷え込みの中での開催となっています。

 この時期の大宮競輪場は、少しでも天気が崩れると雪やみぞれが降ってくることもあります。選手生活33年を振り返ってみると、雪で開催が順延になったのは3度ありました。そのうちの2回が大宮競輪場で、しかも2日間順延となった時には驚きました。

 この時期の大会に出場する選手たちは、他の選手だけでなく、寒さとの闘いにもなります。その際には脚にアップクリームを塗って、ウォーミングアップをすると、いつの間にかほてってくる程に脚が温かくなりました。

 また、選手生活の後半にやっていたのが、顔見せが終わってからすぐに風呂場へと直行。足湯よりもまだ深い位置まで脚を入れて、温まった状態でレースに臨んでいました。今大会でも足湯ならぬ「脚湯」をした上で、レースに臨んでいる選手もいたのではないのでしょうか。

 決勝メンバーは初日の特選とほぼ一緒になりました。これもSS班の4人を含めた実力者たちだからこそ、過酷なバンクコンディションも苦にせず、順当に勝ち上がってきたと言えます。

 特選と同じ並びとなったのが、関東ラインの吉田選手-平原選手-宿口選手と、北日本ラインの新山選手と佐藤選手。南関東ラインも特選と同じく郡司選手が前、深谷選手が後ろの並びとなり、3番手には萩原選手が付けました。そして中本選手は特選と同じように単騎となっています。

 一度、手の内を見せあっているメンバー構成となりましたが、この決勝でも先行が濃厚なのが関東ラインです。番手の平原選手は大会4連覇がかかっていますし、3番手を固める宿口選手も、SSの重圧から解放されたのか、ゴール前での伸びの良さが目立っています。

 ただ、前を任された吉田選手のかかりが悪いのが気になります。準決勝も4車で先行態勢に入りますが、内にいた皿屋選手を交わし切れず、結果として番手に入る形での勝利はラッキーと言えました。

 決勝でも先行態勢に入った時に、先に抜け出していたラインに抵抗される可能性があります。また、捲りに切り替えたとしても、同じ自力型の新山選手、郡司選手と比較すると、分が悪くなってしまいます。

 しかも、この決勝では郡司選手の先行もあり得ると見ています。初日は後方からのレースとなってしまった郡司選手ですが、その後は500バンクでの走りを掴んだかのように連勝を重ねています。決勝で再び深谷選手の前を主張したあたりからしても、よっぽど調子もいいのでしょう。

 前受けするのは車番通りならば関東ラインとなりそうですが、その場合には南関東ラインが中団となります。後方から北日本ラインが抑えに入ったのを見て、一気に郡司選手は仕掛けていきそうです。

 この展開となった場合、番手の深谷選手が差し切る可能性も充分にあると思います。準決勝の走りを見ても、やはり自力を出すと強いと思わされましたし、車券の配当的にも決勝では狙ってみたくなります。

 捲りに回った場合の関東VS北日本ですが、先ほども書いたように、今大会では吉田選手よりも新山選手の方が状態が良く、またスピードでも吉田選手を上回っています。

 新山選手のスピードならば、長い見なし直線も味方に付けて、ゴール前で郡司選手と深谷選手を一気に交わしてしまうのかもしれません。

 4連覇がかかる平原選手ですが、これも吉田選手が先行できるかどうかが鍵となりそうです。もし、その展開となったとしても、次は番手で、郡司選手と新山選手の捲りを止めなければいけません。

 それでもここまで3連覇、9度の大会優勝を果たしているように、平原選手にとって大宮競輪場は走り慣れたバンクでもあります。他のラインが捲って来る前に、早めに番手捲りを繰り出せるような展開になれば、また記録は更新されるはずです。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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