2024/05/19 (日) 15:00 5
【五稜郭杯争奪戦】が行われている函館競輪場は、希望斡旋の申し込みの数にも表れているように、選手からの人気が高い競輪場です。
特に初夏から夏にかけては気候も最高で、現役時代は必ず後泊もして、この時期ならではの美味しい海鮮料理を堪能していました。
ただ、海に近い競輪場と言うこともあって、開催3日目もバンク内には強い風が吹いていました。最終日は好天かつ、夜になると風が落ち着く予報も出ているだけに、決勝に臨む9選手はいいバンクコンディションでレースを迎えられそうです。
決勝の並びですが、神奈川の②松井選手-⑤郡司選手の3番手が、①佐藤選手となる東日本ライン。同じく3車でのラインとなったのが⑨古性選手-④三谷選手-⑦東口の近畿ラインです。
並びがどうなるかと思っていた中四国の3人ですが、⑧岩津選手-⑥棚橋選手は岡山両者で並んだものの、③小倉選手は単騎戦となりました。
ラインは3つに分かれましたが、岩津選手の先行は無いだけに、実質的には二分戦のレースとも言えます。古性選手もタテの脚はありますが、先行が濃厚なのは松井選手となるでしょう。
1番車に佐藤選手が入ったことで、前受けをするのは松井選手となりそうです。ただ、最近のレースでは、突っ張り先行を見せていないだけに、後方となった岩津選手が抑えに行った時には、すんなりと引くと見ています。
先頭に立った岩津選手を交わしていくのは古性選手となりますが、先行態勢に入る前に松井選手が一気にカマシて行くはずです。
松井選手は勝利をあげた二次予選の上がりが11秒フラット。準決勝でも11秒4で捲ってきました。ナショナルチームでも活躍していたスピード能力の高さは勿論のこと、今大会は、生まれ故郷である北海道の気候もあっているのでしょう。
古性選手も今大会の出来は抜群です。その上、初日の特選から万能選手と呼ぶに相応しい、多彩なレースを見せています。
それでも、松井選手がトップスピードでカマシ切るだけでなく、その後ろを郡司選手がしっかりと固めているようならば、さすがの古性選手でも逆転は難しくなってきます。
◎は松井選手の番手から抜け出してくる郡司選手であり、〇はその後ろにいる佐藤選手。△の古性選手に逆転の目があるとするのなら、カマシて行った東日本ラインに飛びついていった時となります。
穴は×の松井選手です。後ろがもつれた上に、ジャン過ぎの4コーナー辺りから捲っていけたのならば、そのまま逃げ切る可能性もあると見ています。
ここまで3連勝の岩津選手ですが、自分から動かざるを得ない展開となれば、持ち味を発揮するのは難しそうです。単騎の小倉選手は、車番的に東日本ラインの後ろからのレースとなりそうですが、他のラインが動き出した時に、上手く切れ目に入っているかでしょう。
北日本では唯一の決勝進出を果たした佐藤選手は、準決勝で松井選手の後ろに切り替えた走りは見事でした。決勝でも、松井選手の後ろから突き抜けてくる車券も押さえておきたくなります。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。